言葉の鏡　50句

蜃気楼なんでもない日に戻った日

アナタ探しに彷徨い廻る九龍城

小籠包もっと遠くへ旅に出る

薄闇へ蛍の涙がふわりふわり

三日月夜　新しい地層に愛植える

梅雨空からモラトリアムが降りて来た

散り散りの私を鼓舞し夜間飛行

日照リニモ豪雨ニモ負ケズ濃紫陽花

入道雲 〉ビミョウなことの四捨五入

ミラーボール月の兎よ永遠に

ニューウェーブへ一斉開花の鹿の子百合

“幸せ”になりたくないの、濃紫陽花

鱗雲　終わった夏の破片たち

溜息のマーブル色の日曜日

しなやかに心を殺し青蜜柑

白薔薇夢と現と恋と死と

恋が生焼け言葉の分量まちがえて

アンドロメダ姿を消した言葉たち

星月夜呪いキレイに叶うよう

真夜中に磨きはじめる言葉の鏡

恋はキライ愛はニガテで、冬りんご

コールドムーン心はもっと自由なはずだ

星廻りスレ違えばいい来世がある

愛の底に有る虚無と赤いバラ

カレイドスコープの世界観まわしてみる

ミニムーン３度目の脱皮してる僕

地の果に愛しみの虹かかる夜

駆け抜けた躰の記憶カシオペヤ

麻辣火鍋、金曜毎に鬼女になる

ホワイトデイ返って来たのはダークチョコ

この愛に定義はしないチューリップ

尾びれ振る思想が偏る春暁に

春の川　脂肪の憑いた恋を斬る

白塗りしたマグノリアの血と藉は

誰もいない十六夜に破るオブラート

スルスルと呪縛が解けて梅綻ぶ

生あくび麒麟の空に春消えた

コロナ禍と桜吹雪とスズメの舞い

新しい忘却として花水木

質量を増す胸の中のホログラム

幻の美しい毒　邂逅は

青嵐アメノウズメと踊ろうか

頬杖の仮象の国のアマテラス

ミント水　泣いた今夜の月の名は

梅雨曇　素鏡に映す本音かな

忘れ貝、星の轟音、ジンジャーエール　

二人静ずっとパラレルでも根は一緒

額紫陽花　新しい星の生まれるところ

修司忌のコーラの泡の強すぎて

秀麗な虚脱を見せる隕ち椿

2020
Maya.

#俳句
#Haiku
#形象
#詩
#poetry
#poem