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映画『幸せになるための27のドレス』は幸せになるための推し事のススメ!

わたしは8歳で自分の生きがいを見つけた

そんな語りかけから始まる『幸せになるための27のドレス』は、わたしが大好きな映画のひとつです。そして、わたしがカフェでアルバイトをしていた時に店内で流れていた映画の中で、「この映画のタイトルって何?」とお客様から一番声をかけられたのもこの映画でした(しかも男性が多かった)。

さもありなん。この映画は『プラダを着た悪魔』の脚本家が手がけたロマンティック・コメディ。周りの幸せのために頑張ってきたヒロインが自分の幸せを見つめ直し、新しい一歩を踏み出す様子が明るくテンポ良く描かれています。もちろん女同士の戦いも健在(笑)。

ヒロインのジェーンはいとこの結婚式で花嫁のピンチを救ったことから人生の大切な日に力を貸すことの喜びを知り、結婚式のとりこになりました。大人になった彼女は花嫁の付添い人、いわゆるブライズメイドとして忙しい毎日を過ごしながら、いつか自分自身もその日を迎えることを夢見ています。

花嫁のスピーチでは「ありがとう、ジェーン」と名前をあげてお礼を言われるあたり、彼女がどれほど花嫁に信頼されているかが伝わってきます。結婚式を挙げたことがある人なら準備の大変さはご存じのはず。わたし自身も結婚式に携わる仕事をしているので共感する部分がたくさんありました。そう、わたしにとってもジェーンにとっても、結婚式は推し事なのです。

そんなジェーンの片思いのお相手は会社の上司でもあるジョージ。なんと彼はジェーンの妹テスに一目惚れしてしまい(しかもジェーンの目の前で)、あっという間にプロポーズまで突き進みます。2人から結婚式の準備を頼まれたジェーンは泣きたい気持ちをグッとこらえ、準備に取りかかります。何故なら結婚式はジェーンの推し事であり生きがいであり、ジョージのこともテスのことも大好きだから。好きなことには頑張れちゃうんですよね、これが。悲しいことに。

幼い頃に母親を亡くしたジェーンは家族を支えてきたしっかり者。そして、責任感が強くて世話焼きなお姉さんを振り回すのはどこの世界でも、愛嬌があってみんなに愛される自由奔放な妹。親戚のおばさんには、「先に妹が結婚するのってつらいわよね」なんて声かけられることもきっと、よくあること。というかこういうおばさんって世界共通なんですね。自分がそうならないように願うばかりです(くわばらくわばら)。

何でもかんでも我慢してしまうジェーンに友人はこう言います。「もっと自分の思うことを言ったら?」と。でも、言わずに自分のことをずっと後回しにしてきたジェーンにとってはその方法さえ見つかりません。受け入れてもらえなかったら?嫌な顔をされたら?不安ばかりがつきまといます。

そんなジェーンの本音を引き出してくれたのがケビンでした。「結婚式なんて無駄だ」と初対面で言い放ったケビンの第一印象はもちろん最悪。だからこそジェーンも彼には何でも言えたのでしょう。彼とのテンポの良いかけ合いも自分を飾る必要がないからこそ。

ケビンは仕事のためにジェーンに近づくのですが、近づいたら近づいた分だけ彼女の魅力に引き込まれていきます(そうこなくっちゃ)。ジェーンが「NO」と言えるように練習相手になってくれたり、結婚式に悲観的なのも実は傷を抱えているからとか。そうです、恋って反発から始まるんです。これぞロマンティック・コメディの王道!大好きだ!

ジェーンには現実的にも心の中にも開かずの扉があり、そこには映画のタイトルにもなっている27着のブライズメイドのドレスが入っています。実際は閉まりきらなくてオープン状態なのですが(そういうところが可愛い)。

自分にとって大切なものが他人にとってもそうであるとは限らないのが現実。そして、結婚していないというただその一点だけで自分が未完成な人間に思えてしまうことも。わたし自身、そういう価値観の中で育ってきたこともありプレッシャーを感じていました。だからこそ、ジェーンもクローゼットの中を誰にも見せることができませんでした。自分自身を否定されたら誰だってつらいし痛いし傷つきます。

その扉を開けるきっかけとなったのがケビンでした。ジェーンが自分から扉を開けたと言ってもいいでしょう。彼はジェーンが唯一、自分の心の内を見せることができた人です。だから裏切られたと知った時、本気で傷ついて本気で怒りをぶちまけることになったのですが、ようやく自分の気持ちをさらけ出すことができました。だけど、覚えたばかりのそれをコントロールできないジェーンはふとしたことが引き鉄となり、人生最大最悪の姉妹ケンカを招くことに……。

それでも経験したからこそ得られることがあります。誰かの人生では脇役かもしれないけれど、自分の人生まで脇役でいる必要なんてない。自分の人生の主役は自分しかいない。そして、自分を幸せにできるのも。頑張れジェーン!負けるなジェーン!彼女の勇気がわたしの勇気になる。ジェーンが頑張ってくれるならわたしも頑張れる(気がする)!

『幸せになるための27のドレス』を初めて観た時は自分が結婚式の司会者になるなんて思いもしていませんでした。あと、40歳を過ぎてまだ独身でいることも(笑)。まだまだ肩身の狭い思いをすることもありますが、わたしは結婚式の仕事が好きです。推し事をしている自分が好きです。

これから先も自分に迷うことがあれば、この映画を観て今日の自分にエールを、それから明日の自分には勇気を送りたいと思います。だから、同じように頑張っているあなたにも受け取ってほしい。ジェーンからのメッセージを。


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