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【ゲームレビュー/ネクロバリスタ】時間とコーヒーが紡ぐ淡い愛の物語

レビューを簡潔にまとめ!
 本作は死者が立ち寄るカフェを舞台にしたビジュアルノベル。死者がカフェに居られるのは24時間。しかし、店主の「マディ」は死者から時間を巻き上げているという。本作はとある死者が現れたことでひとつの結末を迎えるまでのストーリを描きます。カフェ文化が根付くオーストラリア・メルボルンの歴史を反映した世界観で、幻想的なカフェ空間も味わえます。

基本情報
シングルプレイ
言語:公式日本語対応
価格:1,980円(2021/08/12時点)
配信プラットフォーム:Steam、Nintendo Switch

【どんなゲーム?】

ネクロバリスタは死者が”あの世”に行く前に立ち寄るカフェを舞台にしたビジュアルノベル。カフェ『ターミナル』は死者と生者が共存できる唯一の場所、しかし、死者が居られるのは24時間というルールがあります。

このカフェを営むのはネクロマンサーのマディ。本作のネクロマンサーには「死者に残された時間を操れる能力」があります。ちなみにネクロマン”シー”は魔術のことでネクロマン”サー”はその魔術を使う職業のことだそうです。

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マディはコーヒーの知識もネクロマンシーの知識も博識で、「死の評議会」と呼ばれる行政の圧力も跳ね退けるほど芯の強い女性。しかも、24時間のルールは行政に厳しく監視されているにもかかわらず、カフェの地下ではナイフゲーム(自分の指の間にナイフを突き立てるやつ)で死者から時間を巻き上げるというグレーな行為もやってるという。

彼女がそういったリスクを冒してまで時間を巻き上げる理由は何なのか?今作はある死者がカフェにやって来たことで、ひとつの結末を迎えるまでのストーリーを体験することができます。

本作はビジュアルノベル作品となりますが、単なる紙芝居ではなく、モーションが加わったアニメチックさが特徴です。シャフトアニメの物語シリーズを感じさせる、読み手を飽きさせない演出の工夫が楽しかったですね。

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【どんな人におすすめ?】

クリアまでは4時間くらいでした。物語のメインとなるノベルパートと、喫茶店を歩き回りながらサイドエピソードをアンロックしていく探索(のような)パートがあります。サイドエピソードはあくまでおまけなので無理にアンロックしなくても、本編に影響ないので大丈夫です。

また、物語は分岐のないストーリーなのでアニメを見ているような感覚に近いかもしれません。身構えずに味わうのがいいでしょう。テキストの自動送りがないので人によってはちょっと面倒かも。

音楽はオーストラリアの作曲家ケビン・ペンキンが担当。『メイドインアビス』といった日本のアニメのBGMなども手掛けていて表情豊かなサウンドが揃っています。

あと2点補足しておくと、ひとつは、黄色いワードはクリックすると解説やモノローグが読めます。もうひとつは、矢印キーの左で5回までセリフを戻せます。

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【ゲームを終えて、考えたこと】

終始小気味よいセリフに囲まれて、最後も爽やかなエンディングだったのでとてもよかったです。

先ほども少し言いましたが演出が印象的でした。単にキャラクターにフォーカスしたアングルだけでなく、カメラを急に引いたりしていろんなカメラワークを差し込んだり。

セリフが長いシーンでも聞き手(読み手)を飽きさせない演出で工夫をしているところもおもしろかったですね。

ちなみにネッドというかつて野盗だったキャラがいますが、オーストラリアの実在の人物だそうです。ウィキペディアで調べた程度ですが、見た目も性格もどうやら史実に基づいているらしい。カフェ文化の根付くオーストラリアのメルボルンを舞台として設定しているだけあってその辺の文化も色濃く反映した作り込みを感じますね。(ちなみに音楽担当のケビン・ペンキン氏もメルボルン在住らしい!)

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あと探索パートでカフェを歩き回れるんですが、内装がもう素敵すぎ。開放感に優れたウッド調の内装で、大木を囲うようにカウンター席があったり、スチームパンクな風景が見渡せるカウンター席、観葉植物をおしゃれに壁掛けした席や本棚に囲まれた席、そしてなんとビリヤード台まで。

VRで没入したいクオリティ。コーヒーを楽しむためのVRゲームがあったらおもしろいかもしれないですね。

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こんなカフェがあったら行ってみたい。

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