1月12日 サンデーモーニング感想

風をよむ「アメリカ・イランの危うさ」

アメリカによる司令官殺害に対し、
イランのミサイルでの報復で一気に高まった戦争への不安。
この間、「第三次世界大戦か!?」という言葉がネット上に多くあがるなど、
世界中で飛び交った。

アメリカトランプ大統領
「追加の懲罰的経済制裁を発動する…」 
1月8日、
アメリカのトランプ大統領は経済制裁の強化で対応すると発表し、
とりあえず戦争の危機は回避されたかのように見えている。

しかし今回の騒動は、
「戦争と政治」の危険な関係を改めて考えさせるものでした。
番組では一つのヒントを与えてくれる本があるとして
「戦争プロパガンダ10の法則」を紹介した。

ベルギーの歴史学者アンヌ・モレリが、
20世紀以降の戦争には、為政者が共通して行う
「10のプロパガンダの手法」があると、
そのメカニズムをまとめ2001年に出版。

10のプロパカンダの手法
① 我々は戦争をしたくはない
② 敵側が一方的に戦争を望んだ
③ 敵の指導者は悪魔のような人間だ
④ 我々は偉大な使命のために戦う
⑤ 敵はわざと残虐行為に及んでいる
⑥ 敵は卑劣な兵器や戦略を用いている
⑦ 受けた被害は小さく敵に与えた被害は甚大
⑧ 芸術家や知識人も正義の戦いを支持
⑨ 我々の大義は神聖なものである
⑩ この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である

政治が、国民を戦争に駆り立てる手法に警鐘を鳴らした。

本に書かれた「法則」は、
今回のアメリカとイランの対立にも、如実に見てとることができる。
まずは、第1の法則「我々は戦争をしたくはない」

アメリカトランプ大統領
「我々は戦争を止めるために行動した。戦争を始めるために行動を起こしたのではない」

トランプ大統領が語ったこの言葉は、
「第1の法則」の、「戦争直前に語られる言葉」として挙げられている。

アメリカトランプ大統領
「イランはテロ支援者であり、その核兵器開発は文明世界を脅かしている。
我々は決してそれを実現させない」

この発言は「第4の法則」にある
「偉大な使命」、そして
「第9の法則」の「大義は神聖なもの」という内容に通じるように見える。

また第7の法則にある「受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大」という項目は

イラン国営テレビがニュースで伝えた
「アインアルアサド基地の重要地点へのミサイル攻撃で、
テロリストである米兵、少なくとも80人が死亡した」

ミサイル攻撃の被害をこう訴えたイラン側に対し、
アメリカ側は人的被害はなかったと発表。
イラン側の国内向けプロパガンダではないかと指摘された。

こうした手法が「法則」としてまとめられるほど、
為政者は様々な手練手管を使って、世論を操ろうとする。
実際、そうした例は歴史上数多く見られる。

例えば、第1次世界大戦当時、
戦争に賛同する世論の形成に利用された逸話が、
この本でも紹介されている。

「神様、私にはもう手がありません。いじわるなドイツ兵に切られたのです-」


無名作家が書いた「手を切断された少女の祈り」という作品。
真偽も定かでないこの話は、フランスやイギリスで大きな話題となり、
ドイツに対する敵意を大きく煽る効果をもたらした。

そしてこのエピソードと同じ手法が、
70年以上あと、ほとんど同じように使われた。
敵の残虐さをアピールし、戦争を肯定させる、
そうした顕著な例が、湾岸危機のさなか、1990年のアメリカで見られた。

アメリカ議会で証言した少女
「イラクの兵士たちは保育器から赤ちゃんを取り出し
保育器を持ち去って、赤ちゃんを冷たい床の上で死なせました」

クウェートに侵攻したイラクに対し、
開戦の是非を巡り揺れていたアメリカの世論は、
この少女の議会証言で、一気に開戦へと舵を切った。

しかし、この証言はのちに、全くのウソであった事が判明。
アメリカの政治的思惑に利用される形となった。 

こうした「戦争プロパガンダ」は決して他人事ではありません。
日本もまた太平洋戦争当時、
対立するアメリカやイギリスに対して、
「鬼畜米英」とののしり、国民の敵愾心を煽りました。

その一方でアメリカもまた、
日本人を「ジャップ」とさげすみ、野蛮凶悪な
国民であるかのようにアピールし世論を誘導した。

繰り返される「戦争と政治」の危うい関係。
今回、あわや戦争となった事態の背景に、
アメリカ市民は、トランプ大統領の政治的思惑を、冷静に感じ取った。 

ニューヨークの男性
「トランプ大統領は、以前『再選のためにオバマが戦争を始めるだろう』と言っていた。
じゃあ、あなたはどうなんだ?…ってこと」

ニューヨークの男性
「残念だけど戦争のリスクは、まだ高まっていると思う。トランプ氏が大統領である限り、それが続くだろう」

いつまた政治の都合で起こるかもしれない戦争の危機。
「戦争プロパガンダ 10の法則」は、こう警鐘を鳴らしている。

「戦争が終わるたびに、我々は自分が騙されていたことに気づく。
そして(中略)『もう二度と騙されないぞ』と心に誓う。だが(中略)我々は、
性懲りもなくまた罠にはまってしまうのだ」

→大統領選挙が控えているトランプ大統領にとっては
この時期は選挙に勝つことしか考えていないのか。
戦争を「やる」「やらない」のどちらの選択をすれば支持者を獲得することができるのかを
あらゆる情報網を駆使したうえで、政治的判断をしているのか。

もし、これが正しければ非常に危険な人物であること改めて感じます。
世界のリーダーであるならば今世界に足りないものは何か、
考えたうえでの行動が必要なはずです。

環境汚染、地球温暖化を加速させる戦争などやっている場合ではない。

歴史は繰り返してしまうのか。
今の時代はSNSが普及し、より一層、情報操作しやすい環境にあると思います。
非常に危険な時代であること再認識せざるを得ません。

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