商品ネーミング、ブランドネームの秘訣を紹介!
製品ネームやその製品がブランドそのものを代表に育った場合にはブランドネームとなるわけですがネーミングは商品開発において非常に重要な要素の一つです。
商品開発において、競合商品に対してHUT(Home Use Test)やBHUT(Blind Home Use Test)で60:40以上のスコアで勝つ製品を考え出すのがマーケターやプロデューサーの重要な役割です。
しかし、それらの役割の人たちには重要な仕事があと2つあります。
それは「ネーミング」と「パッケージング」です。
通常は、このネーミングとパッケージ開発の作業は製品と平行して進められます。
ゲームであればキービジュアルもネーミングも商品企画のかなり早い段階で検討され、制作されます。
そして商標調査や登録といったことを初期段階で行います。
※HUTとは
Home Use Testの頭文字をとったものでホームユーステストのことです。
市場調査の調査手法の1つで、新製品や改良品を調査対象者の自宅へ送付し、一定期間利用、または試飲、試食してもらい、その評価をアンケートで答えてもらう形式で行われます。
特徴としては、普段の生活に近い状態で利用、試飲・試食してもらえるため、よりリアルな回答を得やすいということが挙げられます。
また、同様に試飲・試食を伴う調査である会場調査と比較してコストを抑えることができるのもメリットとしてあります。
BHUTとはこの調査の際にブランドイメージによる評価影響を避けるために、ブランドや製品名を隠して行うホームユーステストのことです。
▼ネーミングとは
商品名とパッケージデザインは、製品の性能そのものに直接関係はしませんが、消費者の購入決定と取引業者や小売店の取り扱い意欲に対して極めて大きな影響を与えます。
ゲームが発売されるまでの流れについては下記の過去noteをご覧ください^^市場が成熟してくると製品の差別化の余地はどんどん小さくなります。
少子化による市場の縮小も加わってきている現代の食品や日用品のマーケティングでは、特に価格を維持し、指名購買を増やさなければなりません。
そのためには、ブランドイメージをよくし、ブランドの価値を高めていく必要があります。
ブランドイメージは、やはり、製品そのものの良さが基礎になります。
そこには色濃く、ゲームであればプロデューサーの目的意識やイメージがその出来映えに投影されます。
ネーミングとパッケージの決定はますます重要な意味を持つようになっています。
商品名は、ブランドイメージの形成に大きく影響し、末永くそれが製品の価値の一部を構成することを忘れてはいけません。
製品コンセプトとブランドポジショニングを見事に言い表しているブランドネームは、
①少ない広告予算で、しかも、短い期間で消費者に、その商品の名前を覚えてもらうことができます。
➁その商品がどんなものであるのかも、その特徴をよく理解してもらうことができます。
この場合のブランドポジショニングとは、競合上差別的優位性のあるベネフィットを意識的に強調することを意味します。
強調して、その領域での地位を確かなものにしていく戦略的決定です。
▼レーザーディスクの事例
ネーミングの事例としてパイオニアが1980年に発売した「レーザーディスク」がよく語られています。
当時のパイオニアは第3の柱としてVTRかビデオディスクかという二者択一で悩んでいたそうです。
そしてVTRで先行していた松下を筆頭とする大手家電メーカーとの競争を避け、レーザー方式のビデオディスクを選択したそうです。
レーザー方式のビデオディスクは光学技術を使っているので、AV(Audio visual)機器としてVTRやVHD(Video Highdensity Disk)に比べて、性能面でははるかに優れていた。
つまり、レーザー方式は盤面に接触する針がないことから、音質はハイファイサウンド(High fidelity)が使えるので高品質であり、また映像機器としても水平解像度が350本対240本(VHDは250本)の差があり、大きくこれら2点の差別化ポイントがありました。
他社のVHD方式はビデオディスクと言っても、ディスク盤上に記録された信号を金属膜電極をつけたダイヤモンド針でなぞっていって、盤面と針先で形成されるコンデンサの静電容量変化を読み取り、映像と音声を再生する仕組みでした。
結局、他社のVHD方式は接触はしないが依然として針を使っていました。
パイオニアはデパートなどで針を使わない光学式のビデオディスクのデモンストレーションを繰り返し行いました。
しかし、一般消費者は針を使う方式のVTRと混同していて違いの理解をしてもらうことに苦労していたそうです。
パイオニアでは新製品発売時に
・ターゲットユーザーをどう設定するのか
・そのターゲットが求める性能、機能、デザイン、価格などのマーケテ
ィング要素をどう定めるか
ということについて、マーケティングの専門家を集めて、意見を聞く制度を設けていました。
この時もレーザー方式のビデオディスクのデモンストレーションを行った後「みなさんだったらターゲットユーザーをどう設定されますか」と積極的傾聴を行ったそうです。
この会議に参加されていた一橋大学の田内幸一教授は「パイオニアのビデオディスクは光学式であり、光学式は全く針を使わない」ビクターのVHD方式のビデオディスクとの混同を避けるには「ビデオディスクとは呼ばず、例えば"レーザーディスク"と言ったらどうか」と発言されたそうです。
これを聞いたパイオニアのビデオディスク事業部長の工藤氏は、すぐにこの製品名を「レーザーディスク」として一気に宣伝や販促の前面に押し出すことに決めました。
結果的に
光学式ビデオディスク=レーザーディスク=パイオニア
という図式を作り出すことに成功し、松下・ビクター連合やシャープ、東芝などの大手家電メーカーとの競争に勝利しました。
差別化がネーミングの一撃で成功したのです。
この背景には、パイオニアは早い時期から商品カテゴリー別に個別ブランドを持っており、ブランド中心のマーケティングを展開していて、このような差別化のやり方について、当時のオーナー社長の松本氏をはじめとした経営陣がよく全体を理解していたことがあると言われています。
商品名というのは、単に商品を区別するためにだけついているのではなく、製品から商品になっていく商品価値のかなりの重要な部分を構成しています。
ブランド力が強くなればなるほど、ブランドネームは商品そのものよりも大切になっていきます。
▼ブランドネームは企業と製品の価値を高める
もし、SEIKOの時計から「SEIKO」というブランドネームを外してしまったら、その時計が実際には世界のSEIKOと同じようにシャープなデザインで、精度の高い高級な腕時計であったとしても、そして半分の価格にしても買う人はだいぶ減るでしょう。
これはSEIKOの時計の価値の大半がSEIKOというブランドの価値だということを意味しています。
確かに製品のモノとしての価値は基本的には、
①製品の性能
➁感覚表現としての価値を持つ製品デザインから生まれる
しかし、そのブランドに対して消費者が抱く「イメージ」や「好き嫌いの感情」、そして「良いものであるという総合評価」はブランドの価値を決めてしまいます。
ブランドネームが極めて重視されるのは、これらの価値を構造的に取り込んで、差別化までもっていく働きがあるからです。
ブランド・エクイティ(ブランドの資産価値)は
①知名度
➁知覚品質
③連想
④愛着
⑤法的な保護
の5要素から成立していると言われています。
次回も引き続き、ネーミングについての話を書きたいと思いますので、よろしくおねがいします!