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中国エンタメ市場 質の劇的進化の秘密

みなさん、こんにちは。
中国企業にヘッドハントされ3年弱、中国と日本を行ったり来たりしてゲーム企業でACGコンテンツのプロデュース、開発スタジオのアドバイザーをしていました。
ACGというのはAnime、Comic、Gameの略で、ジャパニーズスタイルのそれらを中国で指す言葉です。
私が日本でテイルズオブシリーズやゴッドイーターシリーズ、アイドルリズムゲームなどでいわゆるクロスメディアプロジェクトのプロデューサーをしていたので、中国でもそのようなビジネススキームでジャパニーズスタイルのスマホゲームアプリを仕掛けて行きたいということで、contactをもらいグループCEOが北京から3度も日本を訪れて、口説かれて入社しました。

中国企業のCEOというとワンマンで、トップダウンでブンブン事業を回して、成果も拙速に求めるイメージだったのですが、落ち着いていて日本と日本文化をリスペクトしていて、中長期でのリターンと成長を考えている人で、その脇を支えるCTOやACGコンテンツのスタジオ長も、同じマインドセットで意気投合したのです。
ちょっと失礼な言い方かもしれないけど、こんな中国人経営者もいるのかと驚きました。

さてそんなキッカケで毎月、大陸へ飛行機で飛んで月の10~15日ほどホテル暮らしで現地滞在をする生活がはじまりました。
そこで限られた一次情報だけで知っている中国とは明らかに異なる、今の中国をヒシヒシと感じる日々が訪れます。

滞在して知った今の中国については下記の投稿もご覧頂けると嬉しいです。

実際に現地のアニメ会社、ゲーム会社などを訪れて現場を見たり、話をしたりする経験を多く持てたことは貴重でした。
2015年当時でもすでにかなり技術的にも表現的にも、中国企業の力は上がっており、数年のうちに日本企業のそれと肩を並べてくることは明白でした。

その原動力はいくつかあるのですが、

①特にゲーム開発に関わっている人たちの熱意は非常に高いこと
➁労働時間の規制が緩いので滅茶苦茶働くこと
③新しいもの、良いものを作るために必要なことに対して貪欲なまでの探求心を持っていること
④みな、楽しいそうに働いてること
⑤日本やアメリカなどへ留学し、就業して帰国した若者たちが、学んだこと身に着けたことを活かしていること
⑥広大な市場を有しているので、多種多様な製品を受け入れる土壌があること
⑦国策として自国のエンタメ企業や市場へ投資や支援を行っていること

これらが私が生で感じたり知ったジャンプアップの要因です。
もはや、レベルアップとかではないのでジャンプアップと表現しています。

そんな中でも衝撃的だった映画はHero is Backです。
これは西遊記の孫悟空を主人公にしたフル3DCGの長編アニメーション作品で、中国本土でも爆発的なヒットをしましたし、数年経ってのことですが、日本でも劇場公開されました。
ドリームワークスやピクサーなどで働いていた中国人が主体となって制作されたのですが、ストーリー、カメラワーク、キャラクター造形、演出とハリウッドスタイルで、クオリティーが高く面白い作品でした。
予算的にも製作期間的にもかなりかけてはいますが、素晴らしいので一度見てみることをオススメします。
ただ、残念ながら制作チームは様々な投資を受けて散り散りになってしまっていて、同じチームで作品が作られることはもうないようです…。

こちらは昨年、日本でも話題になりましたが、ジブリっぽい方向性の2D長編アニメーション作品です。
こちらも素晴らしい出来の作品で、日本でもファンを作っています。
次回作に取り組んでいるそうなので、そちらも楽しみですが中国市場は日本とは異なり、3DCGアニメーションも1ジャンルとして確立されており、日本のように2Dアニメの方が人気売上的に良いという傾向はありません。
Web配信の3Dアニメーションシリーズでは「不良人」という武侠ものの作品も中国では大人気でした。

もはや言わず知れた「原神」です。
こちらはMiHoYoという上海にあるゲーム会社の作品です。
創業者は上海交通大学に通っていた学生たちで、同人で作った「崩壊学園」がヒットしたことで、会社を設立して「崩壊学園2」「崩壊3rd」とゲームを作ってきています。
まだ彼らが「崩壊3rd」のプリプロを作ってるタイミングで訪問したことがあるのですが、それまでは2D横スクロールのゲームしか作ったことがなく、3Dアクションゲームに初挑戦しており、四苦八苦していました。
そこからこれほどまでのゲームを作り上げるのは、創業メンバーの熱意が大きく、それに賛同した社員たちがいたことだと思っています。
彼らはEVAが大好きで、その他の日本のアニメやゲームをリスペクトしていて、自分たちもいつかそういう作品を作りたいという強い想いでゲームを作っていました。
崩壊3rdはかなりEVA風味がするのですが、それはこういう背景があるからです^^

こちらはNetEaseの作品で、PUPGのパクリと揶揄されたものの驚くべき短期間で開発を終えてローンチされて、そのスピード感に驚かされました。
また、パクリと言われるかもしれないものの面白さをしっかりと再現できていることは凄いことですし、市場の一角に大きな橋頭保を築くまでになっています。

このように中国のゲームは~というステレオタイプなイメージは過去の話です。
先端を行く多くの中国企業のクリエイティビティーはすでに日本企業と同等か場合によっては超えているかもしれません。
日本企業が発祥の米国企業を凌駕したようなことが、もうすぐそこに来ていると思います。
歴史は繰り返すのかなと思います。

最後まで読んで頂きましてありがとうございました。




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