🎮ゲームデザインのイロハ その3

これまで2回書いてきましたので、下記にリンクを貼っておきます。

その3を書いていきます。
今回は「世界観」と「ルール」について書きます。
世界観を作るというのは、平たくいうとどういう文化レベル、どんな国家があるのか、宗教、科学技術レベル、言語体系、政治体制、人種、時代設定、主要登場人物といった世界を形作る主たる要素について、包括的に考えて組み上げていくことです。

これは、何を描くのかどんな遊びを提供するのかといった作品テーマとも影響しあって決まっていきます。
どうして決まっていくという表現をするかというと、本当に決めていくというより、自然とパズルのピースがはまるようにある時にパパパッとはまりはじめる時が来るのです。
これは創作活動をしたことがある人だと分かると思います^^
天から降ってくる感じとか、閃きとかそういう感覚に近いです。

ここが決まるとコンセプトアートを描くデザイナーや、専門の会社へ発注して、文字情報からビジュアル情報に変換していきます。
言葉だけでは伝わりませんからね。
そして、ここではそれなりやりとりの往復が発生します。
下記がコンセプトアートの実例です。
これはゴーストオブツシマの開発チームがネットで公開しています。

ここまでくるとアート全体のディレクションをするための指針もはっきりしますし、どれぐらいのアートアセットが必要なのかを算出していくこともできるようになります。
もちろんアートスタイルとゲームルールとも密接につながっているので、リニアに決まっていくというより、行ったり来たりしながら形作られていきます。

正直、コンセプトアートでワクワクしたり胸が熱くなったりしないのは、ダメです。
プロデューサーはこのコンセプトアート段階で最初の目利きをしていて、軌道修正をはかります。
実際、私が開発立ち上げをしたゴッドイーターは発売されたアートスタイル、世界観とは初期はまったく違うものでした。
そこをブラッシュアップしたり変更する部分で、マーケティングリサーチを取り入れて定性調査や定量調査を行いました。
これはいわば、見た目での説得力やお客さんの興味関心を引く部分になります。

今回のもう一つのテーマであるゲームルールの話に移りますが、こちらは中身の話になります。
ゲームというのはプレイヤーが無敵のスーパーマンだとダメですし、敵(CPU)が無敵でも成立しません。
お互いにできることとできないことの組み合わせやバランスを定めているものがルールです。
だるまさんが転んだを思い出して頂けると分かりますが、子供は多数ですがだるまさんは1人で、非対称になっています。
また、子供はだるまさんが後ろを向いてる間しか動けない。
だるまさんは見ている時であれば動いてる人の名前を呼べばゲームオーバーに何人でもできます。
ただし、ずっと見ていることはできないという縛りがあります。
子供の方の創意工夫のポイント(プレイヤースキル)としては、見られなければ良いので、気づかれないように接近したり、他の子どもに注意を引いてもらうといった連携技で対抗できます。
このように、双方に制約条件と強みを持たせているのがルールです。

そして、レベルデザインという言葉がありますが、これはゲームルールに乗っ取って遊びのバリエーションを舞台装置の方で設計、設定する仕事になります。
コンピューターゲームであれば、高低差があったり、空中にも通路を用意したりすることで、一味変わったゲームの舞台を作り出すことができ、同じルールの中でも違うゲーム体験を味わえるようにできます。

学生の作るゲームで良くあるのは、このゲームルールができていないことです。
できることだらけだったりしてプレイヤーが圧倒的有利だったり、そもそもプレイヤーとCPUの間に制約条件と強みが明確になかったり、チグハグな組み合わせになっていて、何が楽しいゲームなのか分からないという作品が多かったりします。
なので、まずはシンプルなルールの遊びを考えることがはじめることをアドバイスしています。
市販されているゲームのような複雑な要素、ルールで組みあがっているものをいきなり作ろうとしないというのは、一つのコツだったりします。

ということでその3はこの辺で終わりたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。