夢のはなし 第二夜『スライス・オブ・ライフ』②


▽1話目はこちら




車庫は、学校の裏側の道よりもさらに裏手にあるさびれた空き地のようになっている場所にあった。貧相で3階ほどありそうな狭く天井の低い立体駐車場だ。
その周りはよく見る、緑だか鉄の錆びた茶色だかの日焼けをしてよれたフェンスに囲われている。立体駐車場のコンクリートを支える鉄は一部むき出しになっていて錆びついている。何年も前に書かれたようなスプレーの落書きがコンクリートの壁にそのままにされており、雑草も自由に生えたままのその敷地内はだいぶ長い間管理されていないように見えた。
汚いタイヤや古いベニヤ板なども散乱しているし、現在使われているようにはとても思えない。

車庫には新顧問と、よく職員室にいるところを見かける先生(少し紅の豚にでてくる豚の登場人物に似ていると思っているのでこっそり紅先生と呼んでいる)と私の3人で向かった。
夕方前なのに薄暗い立体駐車場に入る。お目当ての車は1階奥の左手にあり、出口までの道のりは簡単そうだが、コンクリートが破損している場所や、大きな雑草が生えている場所を避けようと思うと狭く、ベニヤ板などが大量に立てかかっていたり大きな物が置いてあったりして出入口がとても狭いので、車を動かすのは慎重にするべきだと紅先生は言った。
3人でできる限り車が出せる程度の道を手早くできる確保し、私たちはようやく車を出す作業に取り掛かることにした。

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