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ギフテッドのお子さんとのdialogueの体験記1

京都大学 教育学研究科 認知心理学講座の修士課程を休学し、京大生で運営するGOALOOK学習塾の副代表に就任。現在はギフテッド教育に関心を持ち、オンライン教育サービスdialogueの立ち上げに取り組んでいます。(サービス概要はこちらから)

今日はオンライン対話サービス dialogueでの、中学生A君との対話の体験記を書いていきます。

A君について

中学三年生のA君はいわゆるギフテッドでIQが総合で140、特に言語理解のIQは150と抜きん出ています。歴史、宗教、哲学の話が好きで、同じく人文学を愛する私とよく対話をするのですが、知識量だけではなく、そこに伴う思索の深さにいつも感動します。私は仏教や東洋哲学が好きなので、よくその話をするのですが、その難解で抽象的な議論を高精度で理解していくだけでなく、その内容を整理してわかりやすくまとめて伝える能力が群を抜いているように感じています。

そんな才能溢れるA君ですが、高校進学を見据えて内申点を得るため学校に行かないといけないけど、なかなか行くことが出来ず困っていました。

彼は繊細な五感を持っているので、視覚や聴覚に強い刺激が入ると体調を崩してしまうほか、強い倫理観故に同級生が人の悪口ばかりいっていることや先生の態度が許容できずストレスが溜まる。

空気を読む能力もずば抜けて高いので、場の空気を乱さないように学校にいるときは自分の興味のある話ではなく、ゲームやつまらない話に合わせて楽しいフリをして過ごして、しんどくなっていく。

そうして自分の意見や感情を抑え込み、素直に表現することが出来なくなり、内側にどんどんストレスが溜まっていき、それが家で爆発してしまう。そこから他者に心を閉ざすようになり、学校にも行けなくなり、勉強にも手がつかなくなり、抗不安薬を飲みながら部屋に閉じこもる日々を過ごす、という状況になっていました。

A君との対話

そんな彼と私で週一回の対話をすることにしました。

内容はさまざまで、ある日は捕鯨問題について捕鯨に賛成する日本と反対する西洋諸国のそれぞれの主張の是非について語ったり、ある日は今後の社会ではどういう人材が必要になるのか?それを踏まえてどんな教育が必要になるのか?を議論したり、またある日はなぜ学校では理不尽なルールを強要されるのか?というそもそも論について日本社会の構造から議論しました。

基本的にはお互い好き勝手に話したいことを話しているだけで、気をつけているのは、相手の立場を尊重し理解しようとすること、その上で自分の立場や意見も堂々と表現すること、これだけです。

対話による変化

たったこれだけのことを週2回しているだけですが、それによるA君の変化は驚くべきものでした。

まず対話の直後に目に見えて元気になり、「その後の晩御飯ではご飯を3膳おかわりしてモリモリ食べてました」とお母さんから嬉しい知らせが届きました。

また対話を続けるうちに、倫理観が強すぎて他者を許容できなかったり、場の空気を読みすぎて体調を崩してしまうという自分の特性を、捉え方によっては素晴らしい才能であると思えるようになっていき、思考に柔軟性が生まれていきました。

いつしか抗不安薬がなくても夜眠れるようになり、外に出て人と会う機会も増えていきました。

またいじめを受けてトラウマとなっている過去の記憶も、「あの時は自分も周りも異常な状況だったな笑」と笑って話してくれるようにもなりました。

平気で人を傷つける友達や、それを見て見にふりをする先生対して怒るのではなく、彼らは彼ら、自分は自分、持って生まれた特性が違うのだから仕方ない、と割り切って考えられるようになり、生きるのが楽になったと言います。

今は自分が本当にやりたいことを実現するため(これが何かは秘密らしいです)、灘高校の受験に向けて一日6〜7時間の勉強を頑張っています。

これらは対話を始めてから1ヶ月〜2ヶ月で起きた変化です。

まとめ

なぜ対話をするだけで、これだけの変化が起きるのか?

それは広く世界を見渡せば自分の事を認めてくれる理解者が少なからず存在していること、そして学校という社会で押し付けられる規範や価値観が全てではないこと、それらを学問的な対話を通してこの社会を俯瞰して眺めてみる中で気づいたからだと思います。

今でも彼は、自分を素直に表現できず他者の意見にあわせてしまい、それが自らの倫理観とかけ離れたことであるが故にメンタルと体調を崩してしまう、そんな自分に悩み苦しんでいます。でもそのような自分をまず知ること、そしてそのような資質を持つことは決して悪いことばかりではなく、良い側面もあることを対話を通して彼は学び取っていきました。その上でこの社会で生きていくために自分はどうしたらいいのか、どうしたいのか、それを彼は真剣に考えながら日々を生きています。

学校という狭い社会から一旦距離を置き、学問の世界に飛び込んで自由な対話をすることで広い世界の存在を知り、それにより学校の先生の価値観、そして自らの価値観と生き方を再考していく。

そんな営みの中で、その子が、その子らしい人生を歩めるようになると私は信じています。

それでは、また。

オンライン対話サービス dialogueについて

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