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質問で決まる!しっかり議論できるオンライン会議の設計とは

皆さん、こんにちは。ゴール・システム・コンサルティングのシラスです。よろしくお願いします。

私は最近、生産管理や新製品開発の改革プロジェクト、営業担当者向け研修など幅広い領域のお手伝いをさせて頂いております。以前でしたら当然、これらのプロジェクトを対面で進める前提で組み立てますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりオンラインで進めざるを得なくなりました。その意味では、オンラインでの対応に苦心した一年と言って良いと思います。

オンライン体制も1年ほど経ち、振り返ってみると4つの質問を上手に使うことができれば議論が活性化することに気づきました。皆様のオンライン会議の進め方の参考にして頂けると幸いです。

オンラインって、なぜだか会話が盛り上がらない…

オンラインってなぜだか会話が盛り上がらない・・・。そんな悩みを抱えている方はいらっしゃいませんか?先日のたじたさんのコラムでも解説していましたが、私自身もリアルとの違いを感じています。私がそれを特に強く感じたのは、6人程度のグループに対して質問した後でした。
ここではまず、「質問」をカギにオンラインのコミュニケーションの特性を考えてみたいと思います。

一度基本に立ち返って、質問にはどのようなタイプがあるのか確認してみましょう。

オンライン会議で司会者が行う4つの質問

まず、質問の基本形は次のようになります。

オープンクエスチョン 答える側が自由に答えられるような質問
例)「~についてどう思いますか?」
クローズドクエスチョン 答えが限定されているような質問
例)「~について賛成ですか?」

さらに会議やワークショップで人が増えると、質問の対象がその場全体なのか、特定の人なのかで分けられます。以下のような質問ですね。

場に対する質問 答える人が決まっていない質問。
例)「皆さん、このことについてどう思われますか?」
個人に対する質問 答える人が決まっている質問。
例)「鈴木さん、このことについてどう思われますか?」

そうすると、表のような質問の分類ができます。

プレゼンテーション1

私がオンライン会議やオンラインでのワークショップを進める時、思い返すと以下のような意図で質問を使い分けていると思います。

1.場に対するオープンクエスチョン
様々なアイディアをもらって議論を発散したい時。主にメンバー同士で会話を始めて欲しいと思う場面で使います。

2.場に対するクローズドクエスチョン
あまり議論が盛り上がっていない場面で、私が敢えて強めの意見を言ってその反応を引き出す時に使います。また、議論の最後の確認で使うこともあります。

3.個人に対するオープンクエスチョン
議題に対する見方をお互いに共有する際に有効です。特に議論の最初に集中的に多用します。また、議論が熟したところでキーマンや意思決定者の意向を確認する時にも使います。

4.個人に対するクローズドクエスチョン
議論を聞いていて、意見を言いたそうにしているにも関わらず発言していない人に対して「〇〇さん、今の議論で本当にいいですか?」といったようにタイミングを見計らい差し込みます。


活性化のカギは「場に対するオープン・クエスチョン」

ワークショップや会議を進める人は、この4つの質問を使い分けながら場を発散させたり、収束させたりします。オンラインだと、特に場に対するオープンクエスチョンの使い方が活性化のカギを握ります。

例えば「皆さん、この問題に対してどう思われますか?」という場に対するオープンクエスチョンを行った後、沈黙が続く場面があったとします。対面だったらそんなに待たなくても(長くて10秒くらい)言葉が出てくる場合が多いでしょう。沈黙が続くと、皆さんの表情を眺めながら個人に対するオープンクエスチョンに切り替えるオプションも使えます。

個人に対するオープンクエスチョンをする時、皆さんの表情や視線を見て「絶対俺に振るな!」なのか、「思いはあるけれどもまだ言葉にできていない」のか察しがつきます。これがオンラインだと、非常に分かりにくいんです(敢えて話したくなさそうな人に話を振ることもありますが、それもやりにくい)。

参加者の視線はつかみづらいですし、オンラインだと、考えている時の表情も画面上から伝わりません。そして通信環境の関係でビデオをオフにする参加者がいると、全然分かりません…
視線や表情が読み取れないと、個人に対するオープンクエスチョンで場を回収するオプションが使いにくくなりますね。そのため、場に質問を放り投げるようなことができなくなってしまいます。

場に対するオープンクエスチョンをするときは、議論の発散や参加者に主導権を渡したい場面だと思います。この質問が有効に機能しないためにあまり意見が出ず、「オンラインだと会話が盛り上がらない」と思ってしまうのではないでしょうか。

ポイントは「議論への参加意識」

オンラインのコミュニケーションでは場に対するオープンクエスチョンが機能せず、議論を発散させにくいとすると、我々としてはどのようにして対処していけば良いのでしょうか。

「場に対するオープンクエスチョンを使わないで議論をする」ということを思いついてやったこともあるのですが、「〇〇さん、どう思いますか?」をひたすら繰り返すことになり、私が詰問しているような場になってしまって非常にやりにくかった経験があります。
そのため、考える方向性としては「オンラインでも場に対するオープンクエスチョンが機能するような条件をどのように整えるか」を考えた方が良いと思います。

場に対するオープンクエスチョンは、答える人が決まっていないという特徴があります。そのため、この質問に答えてもらうために必要なのは、メンバーの「議論への参加意識」です。
実は、対面であれば「皆さん、どう思われますか?」と聞きながら特定の人を見つめたり、近づいたりして、一名に対して参加意識を強めるような動きを私たちは知らず知らずのうちにやっていたわけです。しかし、オンラインの環境でそのようなことはできません。
対象を特定することができないため、「どうやればメンバー全体として議論への参加意識を高めることができるか」と、私は考える方向性を絞り込みました。

議論への参加意識を高めるために気を付ける2つのこと

恐らく「議論の参加意識」についての説明は、アカデミアにおいて様々な要因が議論されていると思います。
学術的な視点で要因を挙げて行き、対策を打つことができれば非常にキレイなのですが、実務的にはいろいろ試行錯誤しながらうまくいく方法を探ってきました。ここでは私がオンラインでのメンバーの意識を高めるために、気を付けていることをご紹介したいと思います。

1.くどいほど「何のために議論するか」を確認する
当然のことに思えるかもしれませんが、メンバーの意識を高めるにあたっては目的を共有することが非常に大事となります。議論の目的を確認することは、オンラインでは重要度が高いです。

この議論の目的には、二つの要素があります。「①プロジェクトの目的」「②今日議論する内容」の2つです。特に「①プロジェクトの目的」の確認は本来、毎回行っても良いくらいだと思いますが、惰性で忘れがちになってしまいます(自戒を込めて…)。もし、「オンラインで議論が盛り上がらないな」と思ったら、まず自分たちが取り組もうとしているプロジェクトや会議の目的を改めて確認すると良いでしょう。

2.オンライン会議は3人まで!
議論する人数を減らせば、議論が活発になります。具体的には、議論するチームの人数を3人までにしてみましょう。今までの経験上、皆さん積極的に議論します。思い起こせば、私自身も6人より3人の会議の方が多く発言しますし、これは肌感覚としてよく理解できますよね。9人いる部門会議で議論をしたいなら、3チームに分かれてやった方が効率的でしょう。

以前、対面でワークショップをしていた時、議論が進まないチームに対して「議論が停滞しているのは1チームあたりの人数が多すぎるからだよ。人を抜けばいい」とアドバイスしたことがありました。それがオンラインでは如実に表れます。実際に少人数だと「皆さん、どう思われますか?」のような場に対するオープンクエスチョンを行っても積極的に答えてくれるチームが増えてきます。

もし答えに時間がかかった場合でも、個人に対するオープンクエスチョンでフォローすることが可能になります。なぜならば、人数が3人ならば全員の意見を聞いても時間があまりかからないからです。
後のフォローができれば、場に対するオープンクエスチョンが使いやすくなりますから、議論の発散が必要な場面でもオンライン会議が使いやすくなるはずです。

事前準備が万全であればスベらない

最後はかなり身も蓋もない話になりましたが、オンラインでしっかり議論をしようとすると、基本に忠実であることが問われていると感じます。目的を確認すること、全員で議論ができる体制を作ることは基本中の基本ですから。
今まで出来ていなかった部分は対面であればアドリブで何とかしていたのでしょうが、オンラインだとそれらを事前に設計する必要があります。この「事前の設計が大事」というのは、オンライン会議において無視できない特性だと思います。

コロナ禍もまだしばらく続きそうですし、コロナ禍が収まったとしてもオンラインでの会議は引き続き残るでしょう。オンライン会議を円滑化することは、チームの生産性を引き上げる意味において引き続き論点になってくると思います。

またオンライン会議で何か気が付いたことがあったらご紹介したいと思います。最後までご覧頂き、ありがとうございました。

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