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読者感想文:わたしの名店
素敵な大人の方々が素敵な居場所を素敵な文章で綴っている素敵な本でした。
紹介されているのは、映えてバズって、並んだり待ったり予約困難だったりな「名店」ではなくて、
近所にあって思い立ってふらりと立ち寄れて、料理も飲み物もおいしくてちょうど良い距離感の接客で、気が抜けたりホッとできたり癒されたり。という名店。
どれもとても魅力的でしたが、一番気になったのはジェーンスーさんの行きつけのバー。下戸をあ
読書感想文:パリのすてきなおじさん
やられたな、と思った。
タイトルとおしゃれな感じの表紙から、雑誌やアド街的なおじさんコレクション本だと思って読み始めたら意外に重い本だった。
最初の2-3人は確かにただの素敵なおじさんで、ファッションのこだわりとか仕事に対するプライドとかがかわいいイラストと手書き文字で綴られる。
しかし。
ページをめくるにつれて、おじさんを通じて語られる内容が徐々に重たくなるのだ。移民、難民、人種差別、性的マイ
読書感想文:幸せへのセンサー
吉本ばななさんのこれまでの作品に散りばめられていたこと、大事なこと、がまとめられた本。吉本さんの作品はをおおかた読んでいる私はおさらい気分で、この辺のこのことはあの小説のあの子が言っていたな、とか、これはあのエッセイで語られていたな、とか、思い出しながら読みました。
「幸せへのセンサー」、うまく聞こえて対応できるもある。めためたに混乱するときもある。
混乱するのは体のどこかからセンサー反対派が
読書感想文:チャリング・クロス街84番地
編者のヘレーンさんはNY在住の脚本家ということで、当初はうっかりクールな都会女性をイメージしたけれど、読み進めていくうちに全然違う気がしてきた。多分この人、気さくで世話好きな下町のおばちゃん的な人なんじゃないか。
だってヘレーンさん、「そっちは食品不足と聞いたから」というだけの理由で会ったこともない海の向こうの古本屋さんに肉やら卵やらの食べ物の小包を(頼まれてもないのに)じゃんじゃん送るのである。
読書感想文:生きるとか死ぬとか父親とか
壮絶。
なんだか壮絶。
読み終わってしばらくはほかの言葉が出てこなかった。借金、病気、婚外恋愛、その他色々。身内の厄介事のオンパレードにひとりっ子である著者のスーさんが1人で向き合い、1人で受け止め、周囲にサポートされながらガシガシと対処する壮絶な中盤がずしりと心に残ってしまったからだ。
シングルイズドラッグ。独身は麻薬。
スーさんがデビュー作の最後でユーモア混じりに叫んでいた言葉が、この本を読ん
読書感想文:ポップラッキーポトラッチ
読みやすかった。
出てくる人は大体いい人で、大きな事件も起こらないし、シビアな現実の描写はオブラートに包んでくれている。作者の奥田さんはきっと優しい人なんだろうなと思った。
ちなみに陽気な掛け声みたいなタイトルの謎の言葉ポトラッチ、中盤に説明があるのだが意外に深い意味を持っているのです。
主人公の愛奈はひっそりとした億万長者だ。超倹約家で清く正しく慎ましく見た目もとても地味だから、まさか彼女がお
読書感想文:一万円選書
一万円選書について、その歩みや具体的な仕組みについて詳しく説明されています。よく選書に入れるという本も書評と共にたくさん挙げられていて、巻末にずらりとリスト化も。モヤ対談で推されてこの本を読んだら「読みたい本リスト」がさらに大幅に長くなりました。
もちろん、いつの日か私も選書していただきたい気持ちは山々なのですが、今やかなりの高倍率でなかなか当選しないらしいし、そもそも納得いく選書カルテがまだ書け
読書感想文:わからない
エッセイ、書評、日記と本書は3部構成になっています。どこからどう読んでも吹き出すくらいに面白い本です。
私が一番興味深かったのは日記。
短文で端的で岸本さんのリアルな生活が垣間見える。定期開催の飲み会やら観劇映画鑑賞やら買い物ならぬ買わない物やら。出不精を自称されているが、案外そうでもない気がした。あと、岸本さんがどうしてあんなにスリムなのか、という個人的積年の謎が解けてスッキリ。
次に書評。
モヤ対談 :読書感想文
世界が広がる感じがしておもしろかった。
著者花田菜々子さんと憧れの人20名との対談集。各界の著名な方ばかり…なのだろうけど私がちゃんと読んで知っていたのは山﨑ナオコーラさんだけ。初めて名前を聞く人も多かったけど、対談はどれも刺激的であたたかい感じもして、もっとこの人たちの思想や言葉に触れたい!紹介されている著書を片っ端から読みたい!と思った。
例えば、「日本語はこわくない」の著者で、辞書編纂者
ムッシュ・カステラの恋
自分のほしいものやいっしょにいたい人、心地よい場所。幼いころに発見する人もいれば、一生分からない人もきっといる。財も地位も築いた、いい大人になってから気がつくことだって珍しくはない。ちょうどこの映画のムッシュ・カステラのように。
タイトルの通り、ムッシュ・カステラは恋をする。妻帯者で父親。企業の経営者で、いつでもボディーガードと運転手を伴うような身分の彼。それでもすとんと舞い降りてきた恋に素直
もしも阿佐ヶ谷姉妹がメルセデスベンツに乗ったら
もう乗ってるかもしれないし、もちろん乗ったとしてもどうってことはないのだけれど。
「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」を読んだ。テレビで観るイメージ通りの、お二人の慎ましく朗らかな毎日が綴られているエッセイだ。ほっこりする。あまり自分の生活と変わらないなと思う。
でもでも、彼女たちはもはや相当な売れっ子だ。エッセイが書かれた頃とは違う。その後、生活、変わってないのかな
変えたくなってないのかな