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【トヨタ生産方式/TOC編11;ザ・ゴール第七章「子供達のヒント」】

*前回までの投稿は上のマガジンに入れています。

今回はエリヤフ・ゴールドラット氏のザゴール、第7章「子供たちのヒント」-ドラム・バッファー・ロープ-を対話形式で解説します。黒字化に向け具体的なアクションを取っていきます。引き続き、先輩の健と後輩のショウだけでなく、ショウの課長の倫也も参加します。1投稿で1つの章の解説になります。


・・・・・・・

👱🏼‍;おはよう。今日は前回だされた解説策をいかに実現していくかという部分を解説していくよ。

👨‍🦱;おはよう。よろしく。

🧒‍;おはようございます。よろしくお願いします。


7章:子供たちのヒント-ドラム・バッファー・ロープ-

👱🏼;7章は、家庭問題から始まる・・。家を出て行ってしまった、奥さんと電話がやっとつながりゴローさんは会話している。仕事が忙しいというと、奥さんはこんな思いをするために結婚したんじゃないといって、泣いてしまい、、また電話が切れてしまう。。

👨‍🦱;ちょいちょい入れてくる、家庭の話なんか重いよな。

ボトルネックの改善

👱🏼;ね。ただ、相変わらずゴローさんは仕事になるときちんと切り替わる。会社に行くと、一人のメンバーが、前回の案の一つであった製品検査をボトルネック設備(最新ロボット)前に変更し、また、ボトルネック設備をシフトのやりくりで止めずに稼働できるようにし、さらに、古い設備のメンテナンスを実施していた。これでボトルネックの処理能力の改善を実施していたんだ。

👨‍🦱;この辺は方向が決まればやりやすいよな。ただ、これまでコストコスト言われてきたんだろ?結構やっている側は戸惑いがでそうだよな?

👱🏼;そうなんだよね。でも、ゴローさんは「過去ルールや考え方にとらわれて、工場がつぶれるなんてばかばかしい」って一蹴するんだ。そんな話をしている最中に、女性従業員から「ボトルネックのロボット設備が止まっている!」と連絡が入る。一つのオーダーが終えて、セットアップしようとしたらその部品が見つからなかったようだ。それを調べてみたら、その部品は別の非ボトルネックで1週間放置されていたままだったとのことだった。優先順位通り前工程が作っていないってことだ。

👨‍🦱;それは、問題だな。でも、そんな短期間に全体にボトルネックの情報が伝わるわけでもないし、いきなりうまくはいかないよな。それに見た目には何がボトルネックを通るかわからないから、大ロットを優先して作ってしまうんだな。これは実際の現場でもよくあるよね。末端まである変更情報が伝わるのは結構手間がかかる。

👱🏼;うん、でもそうはいっていられない部分もあるから、ゴローさんと製造課長たちは知恵を絞る。とにかく見た目の優先度がわかればいいわけであることに気づきあるルールを決めることにした

👨‍🦱:あるルール?

👱🏼;工場内のすべての仕掛りに、色のついた札を張ることにしたんだ。色は赤と緑の二種類。赤い札が張られた仕掛は最優先であることを意味する。工程に赤い札が張られた仕掛がきたら、すぐに取り掛かるようにしたんだ。

👨‍🦱:おう。それは分かりやすい。やっぱり見える化っていうのは有効だね。

👱🏼:そして、そうやって最優先でボトルネックを通過した部品には、金色のテープをはることにしたんだ。

👨‍🦱;おー、まさにお金の色だ。

👱🏼;こういう改善は現場の人は強いよな。本社の人間や管理職よりもよっぽどいいアイデアをだすよ。この結果、ロボット設備の稼働を止めないこと、さらに優先順位通りに生産することで、一つのボトルネックであったロボット設備の問題を改善していったんだ。

👨‍🦱:おーいいね。あとはもう一つのボトルネックであった熱処理設備か。炉が小さいわけではないといっていたやつだよね。なんか本部からの指示で順番が変わるとかなんとか言っていたやつだ。気になるね。

👱🏼;ゴローさんも気になり、現場に見に行ったんだ。そうすると、現場で若手のデータ担当の子が現場に入り込んで、データの不備について現場のメンバーと話をしていて、ちょっと揉めていたんだ。

👨‍🦱;よくあるよな。大卒の若手が、データと現場の違いやデータのとり方を説明にいって、現場メンバーと揉めてしまうパターン。

👱🏼;そう、それで案の定現場の人に、「俺はほかの仕事で忙しいんだ!自分でやってみろ」って言われるだ。ただ、その子はめげずに自分でやるといって実作業を実施し、データが正しくない理由をつかむんだ。

👨‍🦱;おー、それはいいね。TOCとは関係ないけどここで逃げずに現場に向かっていけるか、もしくは、口だけで逃げてしまうかでその後の成長が決まってくるんだよな。。。
んで、そのデータが正しくない理由とは?

👱🏼;部品を炉から取り出すタイミングでほかの仕事をしていて、担当者が戻ってこず結局部品が炉の中にいたままになっていたんだ。だから、人員を増やしてでも常時監視人員がいるという提案をする。

👨‍🦱;いいね。

👱🏼;さらに、その子は炉が稼働している間の外段取り案を提案し、最終的に熱処理炉の能力を20%UPし、熱処理設備のボトルネック問題を解決したんだ。

👨‍🦱;現場に入り込んで、改善案を事実や現物から考え出して実行する。これは若手の手本そのものだね。

ボトルネックの使用と活用の違い

👱🏼;そして、3週間が過ぎる。結果がだんだんでてくるんだ。出荷数量の新記録、仕掛りの減少、そして、これまで2億の売り上げがMAXだったのが3億まで売り上げが伸びたんだ。

👨‍🦱;それはすごい・・。ボトルネックを改善するというのはやはりインパクトが強いんだな。

👱🏼;ただ、ここで家庭問題が、、、打ち上げがあり遅くまで飲み、酔っぱらったゴローをたまたま女性社員が家に送っていくと、家出していたはずの奥さんが玄関に立っていて、「女性と変えるとは何事?忙しいじゃなくプラプラ遊んでいるだけじゃないの?」と激怒。。

👨‍🦱;あらま、修羅場・・。てか、奥さんに工場のこと話してなかったのか?

👱🏼;そうそう、やっと、ここで女性社員が工場がつぶれそうなこと、これまでのゴローのがんばりを説明するんだ。そして、奥さんと二人で話し合いへ。ゴローさんが「心配かけたくなかったんだ」というと、奥さんは「心配するのは嫌じゃないし、応援したい」という。
それで家庭問題は解決へ。

👨‍🦱;ちょいちょい出てきた、家族問題がやっと解決したか。。。やはり、奥さんには常に相談や話をしておくべきだよな。

👱🏼;家族問題が解決し、ひと段落したと思ったら、、次の日会社に行くと製造課長から「ボトルネックが広がっている可能性がある」といわれるんだ。

👨‍🦱:ん?どういうことだ?

👱🏼;最終組み立てラインで作業待ちしている部品のリストを見ると、これまで赤い札の部品だけが記載されていたが、緑の札まで不足するようになってきたんだ。だからボトルネックが増えたんではないかという話になったんだ。

👨‍🦱;スループットが増えたことで、ボトルネックが移動したのかもしれないな。またボトルネックを探すのか。。。

👱🏼;そうなるよな。しかし、ここが小説。そんな時にジョナさんが工場の外に顔を出すんだ。

👨‍🦱;さすがに、普通はないよな。安全上も人の工場そんなにうろうろしないっての。

👱🏼;だな。とはいえ、ここで新たな問題をジョナさんに見てもらうことになったんだ。ただ、早速に現場に行くと、大量の在庫がジョナさんの前に。ジョナさんはボトルネックだったロボット設備の前に行き、「ボトルネック対策によって、止まることはなくなったが、仕掛り在庫は1か月分はあるな。きっと熱処理設備も同じだろう」という。

👨‍🦱;てか、どうしてそんなに在庫が溜まるんだ?赤い札を優先的に処理するからか?

👱🏼;それも一つの原因のようだが、もっと他にあって、ジョナさんは「前も言った通り、余剰在庫を作っているのは人である。作業員が休まず造り続ける工場は非効率なんだ。」というんだ。

👨‍🦱:ん?つながりがわからない。

👱🏼;それを理解するため、ボトルネックと非ボトルネックの問題について説明の必要がある。非ボトルネックは全余剰能力を抱えているから、ボトルネックより早く需要を満たすことができる。だから、ボトルネックの処理能力を超えて非ボトルネックを動かすとその余剰能力で、余剰在庫を造ってしまうんだ。非ボトルネックをボトルネックより働かせても生産性は向上しない。逆にゴールから遠ざかるんだ。

👨‍🦱;ちょっと待ってくれ、それじゃ設備を止めろってことなのか?稼働率下がるぞ。

👱🏼;それが何か困るのか?みんな100%いつも働かせて得られるものは何か考えないと。増える在庫と減るキャッシュフローだ。

👨‍🦱;そうか、また間違った考え方をしてしまった。つまり、人を働かせることと利益を出すのは別物なんだな。

👱🏼;そう。「リソースを使用すること」と「リソースを活用すること」は異なる。「リソースを活用する」ということは、目標を達成するためにリソースを使うことだ

🧒‍:また突然すみません。🧒‍のショウ登場させてください。まさにトヨタ生産方式で言う造りすぎのムダのことですね。過剰に動かして作りすぎたらあかんということですね。

👱🏼;その通りだ。トヨタ生産方式の復習もできているね。

👨‍🦱:ところで、じゃ、ほかのところで部品が足りなくなったのはなんだったんだ?これまでの話と関係しているとは思うだが。

👱🏼;それは、過剰投入されたボトルネックの部品が原因だ。最優先の赤い札でその処理のみを優先することで、緑の札の非ボトルネックの部品が供給できなくなっていたんだ。

👨‍🦱:ん?でもボトルネックの製品も生産しなけばならないよね。でも緑の札も部品も必要になっているんだよな。どうするんだ?

👱🏼;そもそもの原因を考えてみよう。なんでこんなことが起こるかということ、ボトルネックの処理能力以上に、最上流工程で資材を投入しているからだ。ボトルネックを通過する製品だからといって、やみくもに前工程で部費を作ってはならない。ボトルネック工程に必要な分さえ作れば、緑札品に取り掛かればいいんだ

👨‍🦱;そうか、ジョナさんが来たとき、ボトルネック前に部品があったのは、ボトルネックの処理能力を超えているってことなんだな。だから、在庫が溜まっている時点で、さっさと緑札を作ってもよかったのにボトルネック部品だからと言って、赤札の部品を加工してしまい結局緑の部品がたりなくなったんだ

👱🏼;その通りだ。つまりボトルネックで処理能力が超えたことがわかれば、そのタイミングでストップすればいい。処理能力以下であればボトルネック行きの部品を投入すればいい。つまり、ボトルネックと資材投入スケジュールをつなぐ何かの合図があればいいんだ。

👨‍🦱;でもそれはどう決めたらいいんだ?

👱🏼;ゴローさんもその答えがわからず家に帰って考えるんだ。そして、子供にハイキングに例えて、相談するんだ。下記のようにだ。

 「森の中を子供たちが一列になってハイキングをしています。列の真ん中に大地くん(太っていた子)がいて、先頭にしたり動かすことはできません。荷物は少ないけどやっぱり、大地君は歩くのが一番遅いです。みんな大地君を追い越して進みたいと思っています。でもそうすると列の長さが伸びて先に言った子は見えなくなってしまいます。どうやって順番を守りながら列が伸びるのを防げばよいでしょうか?」

と聞くんだ。そしたら、子供が、「太鼓よ太鼓をたたくリズムに合わせてみんなで歩くの。大地君が叩いてみんなが、そのリズムに合わせるの!それか、ロープで全員でつなぐんだ!」
と回答する。

👨‍🦱;確かに、ボトルネックの処理能力がわかるのは、それ自身だからボトルネックが仕事がなくなりそうになったら合図を送ればいい。そして、ロープで長さ、つまり在庫を決める。つまり、在庫がショートしそうになったら、その合図をボトルネックから資材投入工程に送ればいいんだ。

👱🏼;その通りだ。それでゴローさんはこのアイデアを次の日メンバーに話すんだ。そうするとデータ担当から、データをとっていれば資材投入してからボトルネックに届きまでの期間は予測できるといわれる。資材投入からボトルネックまでは2週間かかり誤差は2,3日ということであったんだ。

👨‍🦱;そうか、届く期間がわかり、ばらつきの度合いがわかれば、タイミングがわかるな。今回であれば3日あれば在庫は切れない。つまりボトルネックは止まらない。さらにボトルネックの部品がいつどこにくるかわかるってことは、非ボトルネックの部品も同じように計画を組むことができる。要するにボトルネックには十分な量を送っておいて、残った処理能力で必要分の非ボトルネック部品を作ればいいんだ。もちろんここでも、非ボトルネック品の作りすぎはだめだ。非ボトルネック製品もボトルネック製品に同期させなければならない。

👱🏼:ってことは?

👨‍🦱;ボトルネックを使って、ボトルネックと非ボトルネックの資材投入のタイミングを決めることができる

👱🏼;そうだ、つまり、ボトルネックでスループットを管理することができるということだ。ボトルネックが先頭に立ったことを意味する。

👨‍🦱;てか、そうすると、リードタイムも短くなるのか。だって、ボトルネックに合わせて資材を投入して在庫が溜まらないなら、どこかで停滞することがないから、スムーズに出荷されていく。

👱🏼;その通りだ。これまでは何も考えないで資材を投入していたから、在庫はボトルネック前でも、非ボトルネック前でも溜まっていたはずだ。そうすると、停滞する時間が増えていたんだ。そして、溜まっている間に途中で優先順位が変わり、現場は何を作るべきかということがわらなくなり、混乱するんだ。結果、コントロールできず納期遅延が起きていたということだ。

👨‍🦱;でも工場のフローに必要な時間ギリギリに資材投入をするとアクシデントが起きた時納期守れなくなるよな?

👱🏼;その場合は、アクシデント用のみのバッファをとればいい。でもそのバッファをとったとしても過去のリードタイムよりは劇的に減少するはずだ。

👨‍🦱;そうか、うまくいえば、ボトルネックのペースに合わせて、資材投入のタイミングを出す「ドラム」、納期期間を保護する「バッファー」、早すぎる資材投入を防ぐ「ロープ」これを使いこなせばいいというわけだな。

黒字へ

👱🏼:その通りだ!そしてゴローさんたちは実行し、数週間が立つんだ。

👨‍🦱;おうおう。どうなった。

👱🏼;本社の部長に呼ばれ、黒字になったことを報告する。しかし工場閉鎖を防ぐためにはさらに15%の利益をアップしろと言われてしまう。

👨‍🦱;「そんな殺生なー」だな。

👱🏼;でも、ゴローさんはやる気満々で、「わかりました。」というんだ。そして、ここで、第7章が終了だ。次は最終章の第八章だ。8章ではさらに利益を増やすためにリードタイムを半減にするという荒業にチャレンジする。その詳細を解説するよ。

👨‍🦱:おう。ぜひ頼む。8章が終わったら、自分のところの対策を考えなければな。

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最後に

今回は第七章-子供たちのヒント-ドラム・バッファー・ロープ-について解説しました。まずはボトルネックの処理能力の改善の実際の話をし、その後、在庫管理によるボトルネックからの資材投入タイミングによる工程管理について解説しました。実際これを現場でやろうとすると全員の意思統一とルールの明確化が必要になります。倫也の課の改善の話の際に細かく話をしたいと思います。次回はザゴールの最終章の8章について解説します。さらにリードタイムを縮め利益を上げていく過程を解説し、最後のまとめになっていきます。

次の内容は下記です。


なお、TOCシリーズはザ・ゴールと岸良裕司さんGoldratt Channelの動画を参考に解説をしています。(動画、超超お勧めです!)


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