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【トヨタ生産方式/TOC編9;ザ・ゴール第四章「久々の休日」&第五章「窮余の一策」】


*前回までの投稿は上のマガジンに入れています。

今回はエリヤフ・ゴールドラット氏のザゴール、第四章”久々の休日”、第五章”窮余の一策”を対話形式で解説します。引き続き、先輩の健と後輩のショウだけでなく、ショウの課長の倫也も参加します。

・・・・・・・

👱🏼‍;おはよう。今日は前回の学んだ、「つながり」と「ばらつき」が同時に起きた時の事象について、ザゴールに沿って説明していこう。

👨‍🦱;おはよう。よろしく。

🧒‍;おはようございます。

第四章;久々の休日~ハイキングと工場で起きていること~

👱🏼;第4章は主人公・工場長ゴローさんの休日から始まるんだ。前回息子の誕生日会をすっぽかしたことによって、奥さんとの関係がより悪くなっている状態・・・。そんな中、子供のボーイスカウトでハイキングの引率に行くんだ。

👨‍🦱;ゴローさんも大変だ。まあ俺らも、休日は子供の相手でいっぱいいっぱいだわな。

👱🏼;でもこのハイキングが、ゴローさん快進撃のヒントを与えてくれることになる。ハイキングの会場につくと、隊長が風邪でこないことが、発覚。ゴローさんが責任者をやることになる。

👨‍🦱;あらま。

👱🏼;ハイキングは、ある山道を登ってキャンプ場で1泊し、また出発地点に戻ってくるという流れ。ゴローさんは、大体の平均スピードを計算し、16㎞を時速3㎞/Hで、5時間程度での到着を予測する。ゴローさんは先頭を歩いて後ろを振り返ると列の間隔が広がってくることに気づく。そんな中、大地くんというちょっと太った子が遅れていることがわかり、ゴローさんが最後尾に回ることに。

👨‍🦱;なるほど。まあ、ここまでは特におかしなことはないね。

👱🏼;ここでゴローさんは、「依存的事象(つながり)」と「統計的変動(ばらつき)」について、考え始める。製造では、つながりは必ずあり、後工程の作業のためには前工程が必要。最終製品を組み立てるためには、先に必要な部品を揃えておかなければならない。だから、ジョナサンは何を言っているのだろうと。

👨‍🦱:まあ、二つとも別に大したことは言っていないよね。おれもあまり腑に落ちていないよ。

👱🏼;そして、このハイキングも「依存的事象」の典型だということに気づき始めるんだ。そりゃそうだよね。列だから、前後に依存して列全体のスピードが決まる。最後尾のゴローさんが歩くためには、前の子供が進まないといけないからね。

👨‍🦱;おう。腑に落ちないといいつつ、、むむ、なんか、、ひっかかりそうだ。

👱🏼:だろ、そうなんだよ。それで、ゴローさんは考え事をしているときに前の子と離れてしまう。そして、坂道を上ると前の子が見えなくなってしまうんだ。そして、大地君という遅れてしまう子を急かして、先頭の子をストップさせる。そして、先頭にゆっくり歩けと注意するが、先頭の子が「ゆっくり歩いているし、逆に後ろのペースが遅いと」言われてしまう気付くと全然進んでいない。先頭がスピードを決めているが、それ以外の子は自分の前の子のスピードに依存している、そして、それぞれの子のスピードは速くなったり遅くなったりばらつく、つまり「統計的変動」を受けている。つまり、このハイキングはすでに「つながり」と「ばらつき」の組み合わせが起こっていることに気づくんだ。

👨‍🦱;だよな。だから、たとえゴローさんが8Km/Hで歩けても子供が3㎞/
Hで歩けば、ゴローさんも3Km/Hしか進まない。ただし、遅く歩く分には制限はない
。前の子が遅れれば、遅く歩くか、立ち止まるだけ。つまり、ハイキングの列で起こっていることっていのは、スピード上限には制限があって、下限にはない、つまり、進む距離の挽回はできないんだね。遅れた分はそのまま蓄積になっていくんだ。だって、一度長くなった列を短くしてさらに早く進むには、後ろの全員が先頭の子より早く歩かなければならない。

👱🏼;おー、さすが察しがいいね。でも、先頭の子より全員が歩くってどのくらい大変かわかる?

👨‍🦱;たぶんそれはできないレベルで大変。さっき言った通り、遅れは蓄積されるから、後ろになればなるほど遅れている距離は長くなり、蓄積分すべてスピードを上げて、追いつかなければならない。全員が。でも、大地君のようなつっかえてしまう子がそれを行うことはほぼ不可能

👱🏼;さすが、正解。工場の工程と同じだ。先頭は材料投入工程、後工程は後ろの子たち。遅れは積み重なる。列は一定あるものだが、遅れれば長くなる

👨‍🦱;それ在庫だな。

👱🏼;そうだ。業務費用はどうだ?

👨‍🦱;ハイキングでいうとみんなが前に進むためのエネルギーか。見えにくいが確実に消費して戻ってこないものだし。そして、ゴローさんが最後尾だからスループットになる。つまり、ゴローさんが進んだ距離がスループットになる。そして、子供たちのスピードに影響を受ける。平均スピードより遅くなって、その変動が蓄積されるとしわ寄せがゴローさんにくる。結果、ゴローさんもスピードダウンする。つまりスループットが落ちる。そして、蓄積された遅れを取り戻すために、都度都度急いでそこで消耗する。つまり、結果的に業務費用は増える。

👱🏼;そうだ、これって?

👨‍🦱;ゴローさんの工場と全く同じ状態だ!!

👱🏼;その通り。まさに同じなんだ。各工程の遅れによるしわ寄せは、全体の在庫(列の長さ)に現れ、それが蓄積して最終工程のスループットを低下させる。そして、各工程遅れを取り戻そうと個別の列間で急ぐ、そして、最終工程はすべての急ぎに対応しなければならない、それは不要なジョブチェンジになったり、残業や休日出勤として現れる。その結果、業務費用がかさむ。別にゴローさんの工場を見た訳ではないけど、こんなことが起こっているのではないかな?

👨‍🦱;・・・・(てか、、うちの現場もこうなっているんじゃないのか)。

👱🏼;ここで、4章が終わるんだ。次は、問題の構造が見えてきた時に解決策として何をしたらいいかということを考えていく。ハイキングの現象を使ってね。

👨‍🦱;ぜひ次にいこう。

第五章;窮余の一策~サイコロゲームが教えてくれたこと~


👱🏼;ゴローさんはこのハイキングは、「つながり」と「ばらつき」の組み合わせだということを構造として理解したが、次にどう解決するかを考えなければならなかった。そんな時、バランスの取れた工場だったらどうなるか、すべてのリソースである生産能力が市場の需要に100%あっていたらどうなるのかを考えたんだ。

👨‍🦱;そうだよな。それであれば、安定的なスループットが出る気がする。

👱🏼;そんなとき、子供たちがスゴロクをやっているのが目に入る。サイコロは統計的変動だし、そこに依存的事象が加われば、工場の再現ができるかもしれないと考えた。そこで新しいゲームを試す。

👨‍🦱;どんなゲームなんだ?「つながり」と「ばらつき」を表すものでなければならないね。サイコロのばらつきは常に一定というのは条件になりそう。

👱🏼;全員の前にお椀を置く、次にじゃんけんでサイコロを振る順番を決める1番最初の子のお椀にマッチ棒を入れる。1番の子から順番にサイコロを振って出た目の数だけ自分のお椀のマッチ棒を次の子のお椀に移すんだ。最後の子は外に出す。要するにマッチ棒をお椀に移すだけのゲーム

👨‍🦱;なるほど、サイコロの出目の平均は3.5だ。(1回振った場合の期待値(1+2+3+4+5+6)/6=3.5)10回やったら35本出るはずだね。

👱🏼;そう。だからゴローさんは「35本以上でたら、ご褒美をあげる」といって子供ゲームをさせる。

👨‍🦱;例えば、真ん中の子で、前が3本しかなくて、自分のサイコロが5だったりした場合は、動かせるのは3本だね?

👱🏼;そうだ。大きい数字が出ても前にあるマッチ棒の分しか動かせない。最初の人が1本なら、最後まで1本しか運べないことになる。

👨‍🦱;わかってきたぞ。これはバランスの取れた工場になっているね。市場の需要(ゴローさんの要求)はこのシステムで処理するマッチ棒の平均本数と同じと仮定してしまえば、3.5本が1回の平均で、10回処理すれば35本だ。需要と供給能力が一緒となっている。

👱🏼;そうだ、ここでサイコロの目は、ばらつくよね、そして、前のお椀と後のお椀でつながりを持っているね。

👨‍🦱:スループットは、最後の子の終わりの子のマッチの数だな。なるほど。それで結果はどうなったの?

👱🏼;それが20本だったんだ。そして、お椀に大量のマッチが残る結果となったんだ。完全にバランスが取れていたのに、この結果だ。ジョナサンの言うとおりだったんだ。

👨‍🦱:でも一体なんでなんだろう。

👱🏼:そこで、出発時間になって再出発するんだ。そうすると大地くんとゴローさんがぶつかる

👨‍🦱;どうして大地くんがそんなところにるんだ?ゴローさんは最後尾だよな。さっきは大地君は中間にいたはずでは?

👱🏼;そう。順番が変わっているんだ。先頭もさっきの子ではなくなっていたんだ。結局ルールもなく自由に歩いた結果、早い子は前に、遅い子は後ろに回ってしまったんだ。その結果、列は伸びるばかりとなってしまった。スループットを決めるのは、最後のゴローさんではなく、最も遅い大地君だということに気づく。

👨‍🦱;そうか。遅れが蓄積するかつ、最も遅い人のスピードに全体がつられるんだ。それは、つながっているからだ。

👱🏼;そう。ここで、やっと中間地点につくんだけど、予定よりだいぶ遅れるんだ。ゴローさんは、ここで「全員が追いつくまで、待つ、そして順番は守る」ということを指示するんだ。いったん在庫を整理して、生産順を明確にする感じだね。

👨‍🦱;工場でもあるな、各工程が好きなものを好きなだけ作ったら、後工程が組み合わせできなくなる。そして在庫が溜まる。ルールを作り順番通りに作らないと工程が同期しない。当たり前だけど、組織同士がつながると難しくなるんだよね・・。(言うは簡単だが、実際やるのはなぁ・・)

👱🏼:そして、ゴローさんは後ろと前、つまり遅い子と早い子の順番をそのまま入れ替えたんだ。そして追い越してはダメだと指導する。つまり、遅い子順にならんでいる状態。

👨‍🦱;結果、間隔は広がらなくなり在庫は減るんだな。そして、変に追いついたりがなくなるからエネルギーの消費、つまり業務費用の減りが少なくなるんだな。

👱🏼;そうだ。でも、列のスループットは大地君のスピードで決まったままだ、ここを何とかしなければならない。そこで、ゴローさんは大地君のパンパンのリュックに気づく。そうすると、フライパンやら水やらたくさんの荷物がでてきたんだ・・。これを皆で手分けして持つことにした。

👨‍🦱;結果大地君のスピードが上がり、スループットが増えるというわけか。

👱🏼;結果、目的地に時間通りについたんだ。子供にも褒められるという結果で終わる。

👨‍🦱;すごいもんだな。でも、スループットを向上させるのにポイントとなる大地君のスピードアップがみんなの手助けでできたってのが、すごいね。

👱🏼;実はそこなんだ。実はスループットを上げるための大きな変化はもちろん大地君が早くなったことなんだけど、その変化起きたのは皆が手伝ったからなんだ。つまり、行動を変えたの起点は大地君ではなく周りだったんだ。大きなことだよ。詳しくは、別途説明する。いまは、頭の片隅に置いておいてくれ。

👨‍🦱:さて、問題の構造と解決策のヒントがわかり、ハイキングも成功した。あとはこれをどう工場に落とし込むかだな。

👱🏼;そうだ。ただ、、、意気揚々と家に帰ると、なんと奥さんが家を出て行ってしまったんだ。最近の娘の誕生日や息子の誕生日会のドタキャン等の家庭を顧みない態度に、嫌気がさしてしまったみたいだ。もう我慢できません。なんて手紙書いてあるのよ。

👨‍🦱;小ネタ入れてくるねー、まあそこまでになったら本当に仕事どころじゃなくなってしまうわな。そっちも気になる。

👱🏼;そこで、5章が終わるんだ。工場の方も家庭も気になるところでね。

🧒‍;また突然すみません。今回は、第4章で、ハイキングを使って、「つながり」と「ばらつき」の組み合わせの現象の構造を説明し、それによるスループットの減少、在庫と業務費用の増加の構造を解説してもらいました。そして、第5章ではバランスの取れた工場がなぜスループット低下につながるのかをサイコロゲームで解説し、そして、その対策として、順番を守る、最も遅い大地君を先頭にしてかつ荷物を手分けしてスピードを上げることを行い、在庫、ぎ業務費用を減らし、スループットを向上させたことを説明してもらいましたね。

👱🏼;おう、ありがとう。その通りだ。次回は、第6章「ボトルネックを探せ」と第7章「子供たちのヒント」を解説するけど、まさにそこから工場にどう落とし込んでいく部分だ。そして、家庭問題も進展が起こる。

👨‍🦱;次回もよろしく頼む。

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今回は、ザゴールの第4章と第5章を解説しました。ここが理論・概念としては最も根幹の部分になってきます。私は、ボトルネックの解消に大地くんではない周りが起点となる、つまり変わるということが最も印象的でした。次回ボトルネックの議論になりますが、ボトルネックではなく、非ボトルネックが行動を変えていくということが重要になってきます。このあたりに注意しながら読んでもらえればと思います。
次は、第6章「ボトルネックを探せ」をザゴールに沿って解説します。下記のリンクです。


なお、TOCシリーズはザ・ゴールと岸良裕司さんGoldratt Channelの動画を参考に解説をしています。(動画、超超お勧めです!)


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