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「doda Xにおける『約20名のPdMが在籍するプロダクト組織でのナレッジシェアの取り組み』」 全文書き起こしレポート & 解説 - 2024/6/21プロダクトマネージャーLT Nightより

こんにちは、フリーランスでプロダクトマネージャーをしているマサキゴウタです。(@go-go-pdm / 自己紹介ページ

今日は(プロダクトマネジメントの支援をさせていただいている)「パーソルキャリア株式会社」で「doda X」のゼネラルマネジャーをしている井出岳人さんが2024/6/21に講演で話した内容の全文書き起こし & レポートです。

doda Xゼネラルマネジャー 井出岳人さん

見どころ

「パーソルキャリア」は120名のプロダクトマネージャー/ディレクターを抱えており(!)、その中でも井出さんが管掌する「doda X」には約20名のプロダクトマネージャー/ディレクターが在籍しています!
これだけのPdM大所帯をもった組織は他にもほとんどないかと思いますし、
プロダクトや会社が大きくなるほど比例してプロダクトマネージャーも大所帯となります。

そんな大所帯なプロダクトマネジメント組織における工夫とはどのようなものがあるのでしょうか?
本編をお楽しみに!



本編

発表テーマは「約20名のプロダクト組織でのナレッジシェア」

こんばんは。よろしくお願いいたします。パーソルキャリアで「doda X」のゼネラルマネジャーをしています井出と申します。
私からは『約20名のPdMが在籍するプロダクト組織でのナレッジシェアの取り組み』というテーマで発表をさせていただければと思っております。
よろしくお願いします。(会場拍手)

まず自己紹介ですが、私は新卒でパーソルに入りまして今年で11年目です。
最初の3年間はビジネスバックで営業を経験して、その後に関してはずっとプロダクト領域やビジネス開発の領域を担ってきました。
今は「doda X」全体のゼネラルマネジャーとしてプロダクトのグロースを担っています。

で、自己紹介の続きなんですけど、ラーメンがめっちゃ好きでして。
けっこうラーメン活動をしてて、ラーメン情報をまとめて会社内でシェアしてるんですけど、刺さり率4割ぐらいです(笑)。
もしラーメン好きな方がいましたら後ほど情報をシェアできればと思っています。
それでラーメンは、実は多様性がすごくあるなと思っていて。
えっと、ありますよね?(会場笑)

プロダクトマネージャーも仕事の幅がとても広い、総合格闘技のようだなって思っていまして、ラーメンにおいても、プロダクトマネジメントにおいても「ナレッジシェアって大事」という話で、今回のテーマである「約20名のPdMが在籍するプロダクト組織でのナレッジシェアの取り組み」に繋げさせていただきます。(会場笑)

パーソルキャリア:2030年664万人の人手不足に備えたサービスを展開

その前に簡単に会社の紹介できればと思います。
パーソルグループは「はたらいて、笑おう。」という世界を実現することを目指している会社です。

グループとしてはかなり多岐にわたっており、私は「パーソルキャリア」という会社に所属をしていましてこの青枠のところになっています。(画像)
メインブランドとしては「doda」という転職サイトがありますが、他にも多様なキャリア関連のサービスがあります。
パーソルグループ全体の規模はだいぶ大きくなってきており、グループ会社は今143社にもなっています。

私が所属する「パーソルキャリア」は「人材業」になりますが、皆さんもご存じかもしれませんが、2030年には日本では644万人も人手不足になると言われています。
実は人材採用というのは非常やりがいのある業界になっていると思います。

シーズナルミッションとしては、2026年までに「多様なキャリアを一緒につくる」を掲げていて、今までは転職において「doda」で転職を支援してきたのですが、
転職だけではなくて「キャリアづくり」を支援していきたいっていうところで、いろんなプロダクトを立ち上げているフェーズです。

「doda X」って「doda」と何が違うの?ってところでいうと、
端的に言うと、
- 「doda」は総合転職サービス
- 「doda X」はハイクラス向け転職サービス
という分かれ方になっています。
「doda X」では転職したい個人の方と、採用をしたい企業やヘッドハンターの方とのマッチングをデジタル含めて支援しているサービスです。

全社で130名、doda Xで20名のプロダクトマネージャーが在籍

はい、ここからがいよいよ本題です。
「パーソルキャリア」は会社全体で約25のプロダクトを有しており、プロダクトマネージャーやディレクター職というのが「パーソルキャリア」全体で約130人在籍しています。
「doda X」つまり私の管掌組織だけでも、約20名在籍している状況でして、必然的にアウトカムを高めるための「ナレッジシェア」が求められてきます。

今日は、今まで取り組んできたとこととか、これから取り組みたいなって考えていることをシェアできればと思っています。
全部やれてなくて、課題ももちろんたくさんある状況ではあります。

ナレッジシェアは早さ・深さ・広さの観点で環境を整える

最初に結論を言ってしまうと、2つあってですね。
1つ目は、アウトカムの早さと深さと広さの観点で「ナレッジシェア」に取り組んでいるということ。
2つ目は、仕組みの整備よりも、マインド面や関係性の醸成が結局は1番大事だなという考えに至ったということ。

まずは組織目標として「目指す姿の明確化」を行なっています。
(プロダクト組織の目指す姿「プロダクト成長を最速で実現できるプロフェッショナル集団」)
組織として目指す姿を明確にして、それを実現するためのベースとして、その1つに「ナレッジシェア」があるという形で整理をしています。

そして実際取り組んできたことは「早さ、深さ、広さ、環境」という4つ観点です。

1つ目は、早さという観点で、本部内の執行会議を設けて、各プロダクトや部門の課題・取り組み・成果を、部長以上のレイヤーからメンバーに共有をする場で、全メンバーが参加できる場があります。
そこで、課題解消や施策レベルでの横連携が生まれるようにしています。

2つ目は、深さの観点で、「doda X ナレッジ共有会」と題して業務シェア会を行なっています。
業務を通じて得た学びや誇れることなんでもオッケーなんですけど、そういったものをシェアすることで、学びを踏まえて次回どういう行動を取ることが成果の向上に繋がるかを考えられる場となっています。

3つ目は、広さの観点で、「外部ナレッジのシェア」をやっています。
やっぱり社内の仕事だけをずっとやっていると、メンバーがどんどん内向きになっちゃったりするような感覚があります。
内向きにならないように外部の取り組みを学んできて、それをどうやったら組織に生かせるかをテーマにシェアしてもらって、そしてみんなで対話をする場
を目指しています。

4つ目は、環境の観点で、(Microsoftの)Loopというnotionに似たツール使って、ナレッジをいつでも誰もが活かせるように検索性を担保することをしています。
ちなみに今後はコンフルに切り替えをしていく予定です。

それと、全社的に生成AIを活用した社内文書作成や文章(ナレッジ)検索の仕組みの導入も進んでいます。
という形で、 兵站は整ってきました。

ナレッジシェアの仕組みがあるのに、聞こえてくるメンバーからの課題

これで私としても属人化が起きないはずだなと思っていたんですけど、いまだに、こんな声(画像)が聞こえてきたりします
結局、横のメンバーが何やっているかわかんないですとか、個人商店化していますよね?などのメンバーからの課題の声が聞こえてきました。

これなぜだと。

結局、ナレッジマネジメントというの、端的に「知のマネジメント」だと思うんですけど、知識って結局のところ
- この人が言ってるからす参考にしよう!
- 自分としてはこれはすごく大事だと思う!
という、つまるところ「興味があるから積極的に取りに行こう」となると思います。
単純に「やっぱこの勉強好きだ!」っていう人、あんまり多くいないじゃないですか。
そして、この人が言ってるから、学んでみたいということがあるのでは、と思っています。

なので、結局はシェアする人とシェアされる人のマインドとか関係性って1番大事だよねと いう風に思っています。
つまり、シェアをする身として、
- チームや組織に貢献したいと心から思えていますか?
- 自分ゴト化する意識を持ててますか?

ということがやっぱり大事だなと、改めて思いました。
アイスバーグの理論のところでいくと、1番下のマインド面のところですね。

目標設定やポジティブに業務ができているかがナレッジシェアには大切

プロダクトマネージャーは「プロダクトの成長に責任を持つ人です」と定義した時に、自分事として捉えて、プロダクトの成長のために、時には自己犠牲的な行動も含めてなんでもできるかどうかっていうマインドが大事だという風に捉えています。

つまり、アウトカムにフォーカスをしてなんでも行動できる人ほど、ナレッジを自分から取りに行くし、その大事さがわかっているからこそ、自分からシェアをしていくという行動があるんじゃないかなと。
こういう行動が生まれるんじゃないかなという風に思いました。

なので、結局ナレッジシェアだけじゃなくて、目標設定とか、ポジティブな業務に取り組めていますか?という確認がすごい大事だなってことを改めて思いました。

マインドと関係性醸成のために組織で取り組んでいること(ProdOpsなど)

マインドと関係性の醸成をするために、組織として今取り組んでいることを、最後にシェアできればと思います。

まずはじめにやったことは、24年4月から試験的になんですけど、プロダクトオペレーショングループ(ProdOps G)っていう組織を組成しました

基本的にやることとしては、プロダクトマネジメントグループのアウトカムを最大化とプロダクトマネジメント業務を最適化することを目的としています。

また、マインドとスタンスに焦点を当てた「ハンドブック」を作成・展開しています。
マネージャーからの日々のフィードバックを体系的にまとめていて、自走ができる状態を作ったりしています。

あと、毎月弊社基準でのバリューの体現を最もできているメンバーを「VP」として褒賞して、取り組みをシェアするみたいなことをやっています。

最後に、メンバーの相互理解を目的として、「好き」「得意」「嫌い」「苦手」の可視化をしています。
これによってメンバーからの情報の交換(ある分野が得意な人に相談してみようなど)に繋がりやすくする仕組みを目指しています。

はい、こんな感じです。

まとめ:約20名のプロダクト組織でのナレッジシェア

まとめです。2つありまして、
1つは、アウトカムの「早さ」「深さ」「広さ」の観点で、ナレッジシェアに取り組んでいます、ということでした。
- 早さの観点では取り組み中の施策を共有
- 深さの観点では業務のナレッジを形式化して横展開
- 広さの観点では外部ナレッジを組織内に展開してみんなで考えて場を整える
そういった環境を整えています、ということでした。

2つ目が、仕組みの整備よりもマインド面や関係性の醸成が1番大事だよねっていうことで、
- 組織体制を変えてプロダクトオペレーショングループ(ProdOps G)として、関係性を作るということの取り組み
- ハンドブックの展開
- VP褒賞の取り組み
- メンバーの「好き」「嫌い」「得意」「苦手」とかっていうのを可視化
などのことをやってきました。

カジュアル面談募集中!

最後になりますけれども「doda X」のプロダクト、今ぐいぐい成長しているフェーズですので、一緒に働く仲間を募集させていただいてます。
もしご興味ある方はカジュアル面談にぜひご応募いただければと思っております。

■ カジュアル面談(Youtrust)

※上記よりプロダクトマネージャーポジションのカジュアル面談をご選択ください。

■ 募集
「dodaX」シニアプロダクトマネジャー(※マネジャー候補)

  • 「dodaX」ジュニア/ミドルプロダクトマネジャー

以上になります。皆さん、ありがとうございました。

その他の参考記事

当日の発表資料(Speakerdeck)


発表内容の解説(マサキゴウタ)

いかがでしたでしょうか?
登壇者の井出さんからは「世間のプロダクトマネージャーのみなさんの参考になれば嬉しいです」とのコメントをいただきました。

それにしても、全社で120名もプロダクトマネージャーがいるというのは驚きですよね。
そしてそれくらい大きな会社の1サービスだと、プロダクトマネージャーが20名規模になるというところも。

私は2023年の3月よりフリーランスという立場で「doda X」での仕事をしていますが、この1年とちょっとで、本当にいろんなことにチャレンジされてきた様子を見てきました。

ProdOps

まず、ProdOpsチームがこの規模の会社にあるなんて!(この規模だからこそ必要という観点もあると思います)
ProdOps自体も日本においてはそこまで広まっていない状態にも関わらず、非常に先進的な取り組みをされていると思います。
(以下の本で日本においても有名になったと思います)

そもそもProdOpsとは、元freee CPOの宮田さんのお言葉を借りると、

Product Opsとは、
プロダクト企画や開発のオペレーションを設計、構築し、運営しながら、最適化を目指す役割を指します。
プロダクトマネジメント組織のサポートを中心に据えつつ、デザイン、エンジニアリングとの連携や、ビジネスサイドとの連携も含め、様々なオペレーションを担当することが多いです。

つまり、プロダクトマネージャーがプロダクト企画や開発に集中できるように、
業務フロー設計やその運用を引き受け、企画、開発リソースの効率的活用を目指します。
社内のプロダクトマネージャーをユーザーとし、プロダクト企画や開発の業務フローをスコープにしたプロダクトマネージャーと言えるかもしれません。

国内だと、まだ少なくProduct Opsを担う方々のバックグラウンドはバラバラだと思いますが、海外だと抽象度の高い業務を型化していく点に着目し、コンサル出身者の割合が高いように思います。コンサルというと、戦略面ばかりが強調されますが、オペレーションの構築にも戦略的思考は相性が良いからだと思います。

https://route06.co.jp/insights/44#

という説明となります。

まだまだ発展途上な仕組み・職種ではありますが、今後いろいろな企業で導入されるべき仕組みであることは間違いありません。

PMマインドハンドブック

これはパーソルキャリアにおいては1名のマネージャーがメインで作り上げていました。
中途でプロダクトマネージャー経験者ばかりが集まるような組織であれば、一見このマインドハンドブックは不要に思われます。

しかし、パーソルキャリアのdoda X組織では、毎年新卒でプロダクトマネージャーを採用しているのです。(!)

そもそもの絶対数が少なく、かつ育成が難しいと言われるプロダクトマネージャーという職種。
それなのに新卒の採用をするなんて、本当に挑戦する会社です…!

こういう状況となると、必然的にジュニア比率も高まるのでこういったマインドブックは非常に有効となるでしょう。

また、これはあくまで個人的な見解かつ一般論となるのですが、ミドルクラスであったとしても、マインドセットが必要な場面をこれまで多く見てきました。

プロダクトマネージャーというのは難しいポジションですが、慣れてきてからが本当の勝負だと私個人は考えています。
そこそこ案件やスクラムを回せるようになりました、がゴールではない。

事業を伸ばしてこそ、プロダクトを伸ばしてこそ、なのですが、難しい・厳しいゆえに慣れ(ミドル)が出た時にもう一度マインドセットをすることが、ピープルマネージャーには求められます。

ですので、このPMマインドハンドブックというのは、スタートアップやメガベンチャーなどでも効力を発揮するものになると思います。

プロダクトマネージャースキルマップの公開とコミュニケーション

こちらの効果については言わずもがなかと思いますので、参考となりそうな記事を最後に共有します。

パーソルキャリアさんのように一から作るのは大変だと思います。
そんなときはひとまず以下を参考にしてみるのをお勧めします。

英語の記事になりますが、ブラウザの翻訳を使うなり、GPTさんを使うなりすれば精度の良い日本語訳になりますので、参考にしてみてください。

また、作って判定しておしまい、ではなく、パーソルキャリアさんのように「公開してコミュニケーションへ活用」することをぜひともお忘れなく!

こういったものがあると、次にどんな輪読会をしようか、なんて話もしやすくなると思います。

それでは!


■ カジュアル面談(Youtrust)

※上記よりプロダクトマネージャーポジションのカジュアル面談をご選択ください。

■ 募集

  • 「dodaX」シニアプロダクトマネジャー(※マネジャー候補)

  • 「dodaX」ジュニア/ミドルプロダクトマネジャー


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