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【難攻不落】Tinderで見かける謎めいた女

「おいおい、これはどうメッセージ送ればいいんだ・・・」
スマホを握る私の手が汗ばむ。

スワイプしすぎのせいか、右手親指の左端にはマメができている。

ごく普通の平日の朝、私はとある女性とマッチした。

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あ 24
4km先


プロフィール文は何も書かれていない。

「ああ、こういうパターンね。ご尊顔は、どれどれ?」
1枚目の猫の写真を左へスライドさせ、2枚目の「本番」へと心を踊らせる。


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「か、カレーだと?なんてこった・・・」
まさかのバターチキンカレーの写真。こういうご飯の写真は大体美味そうだから困ったもんだ。チーズナンと一緒に食いたい。

「ああ、そうだった。このパターンは3枚目に本番というのが相場だったぜ」
朝の通勤ラッシュの電車内で私は呟く。

そうして私は意気込んで最後のスライドを施した。

「おいおい、どうした?一体何が起きちまってるんだ?」


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「素晴らしい夏の空じゃねえか」
まさかの空に驚きはしたが、今私がいるストレスフルな満員電車から一瞬だけエスケープできた気がする。気分が高揚し、たまたま目があったおばちゃんにウインクしてみる。ウインク慣れしているのか、反応はなかった。

「猫、カレー、空、か。これは何かを暗示しているのか?」

写真以外から分かっているのは、この女性は「あ」さん24歳で、私がいる場所から4Km先にいることだけだ。

この方にメッセージを送る男はいるのだろうか。
そして、「あ」さんはそれに返信しているのだろうか。

「この女性の謎を暴きたい」
私の好奇心が掻き立てられた。


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改めましてこんにちは。畑じゃがです。

これまでの茶番はいかがでしたしょうか?
まだまだ続きますので、もう少々お付き合いください。

Tinderユーザーなら誰もが目の当たりにしたことがあろう「情報限りなく0女」

皆さんはそんな女性にメッセージを送った経験がありますか?

今回はプロフィール情報が少ない女性へのアプローチについて、私の実体験をもとにストーリー調でお伝えしていきます。

では、続きをお楽しみください。

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「なんてメッセージ送ろうか・・・」
頭をフル回転させながらスマホのメモに下書きをしてみる。

『今まで見た猫の中で一番可愛いです!飼ってるんですか?』

『僕もカレー好きなんで今度一緒に食べに行きませんか?』

『写真撮るの上手ですね!教えて欲しいです!』

「あー、全然だめ。とにかくだせえ」
これじゃあ「あ」さんは笑ってくれない。

「参っちまったぜ」
とうとう諦めようかと思ったその時、


「答え出てんじゃん」


?!

すぐ隣から声が聞こえる。

目を向けると、さっきウインクしたおばちゃんがいる。

私は動揺を隠せない。
なんでこのおばちゃんがすぐ隣にいるのか。
そして、なぜ声をかけてきたのか。

「答え出てんじゃん」

もう一度おばちゃんが声をかけてくる。
彼女の目線は私のスマホ向いている。

「どういうことでしょうか?」
私は思わず聞く。

「お兄さん、もう既にPA終わってるんだから、あとは言葉遊びするだけじゃん」
おばちゃんは全てを察しているかのように淡々と答える。
PAとは"Profile Analysis"、つまり「プロフィール分析」のことである。

おばちゃんは続ける。
「あんた、猫・カレー・空の写真見てどう思った?」

「猫は可愛いなあ、カレーは美味そうだなあ、空は爽快だなあって思いました」
私は感じた通り伝える。

「甘いんだよ。北海道の赤飯くらい甘いんだよ!」

「北海道の赤飯?」

「北海道の赤飯には甘納豆が入ってるから甘いんだよ!そんなことどうでもいいんだよ!このバカタレ!」

彼女の説教は続く。

「いいかい。この「あ」って子がこの写真を設定した理由を考えるんだよ」

「Tinderにわざわざ載せるってことは、男に見せるためだろ?」

「つまり、男に求めるものをアピールしてるんだよ」

「あ!分かった!」
私はようやく気付く。

「猫は癒し、カレーは刺激、空は夏!つまり、この夏に癒しと刺激を求めてるってわけですね!」

「やっと気付いたかい!遅いんだよ!北海道の花見シーズンくらい遅いんだよ!」

「北海道の花見シーズン?」

「北海道の花見シーズンは東京より1ヶ月くらい遅いんだよ!いいから早く考えな!このバカタレ!」

「ありがとうございます!」
私は彼女の洞察の鋭さに驚きながらも、早速メッセージ作成に取り組む。


この段階までくれば、文章を作るのはお手の物。
仕上げまでにそんなに時間は必要ない。

「できました!」
自慢げにおばちゃんにスマホの画面を見せる。


『癒しと刺激を求める「あ」さん、はじめまして!今度、夏空のもと歌舞伎町のど真ん中でハンドマッサージをし合いませんか?』


「あんたみたいなバカタレは久々だよ」
おばちゃんはニヤリと口角を上げながら続ける。

「返事が来るとは思わないけど、私は好きだよ」

「え、どういうことですか?」
私は予想外の反応に驚いた。

「あんた、今まで浅いメッセージしか送ってこなかったでしょ」

「こんなに相手の女性のことを考えたことあったかい?」

「女性はね、本音を全部文章で表現するわけじゃないんだよ」

「うわべだけの情報をすくって鵜呑みにしちゃだめ」

「あとは、情報が少なくても必ずどこかに人柄が分かるヒントが隠れているの」

「本当にいい出会いがしたいなら、相手に向き合って理解したいという本気度を伝えること」

「それをあんたに知ってもらいたかった」

「でも、他の男が使わないような表現をして差別化を図っている点は評価できるよ」

「そういうことだったんですね・・・」
おばちゃんがそこまで私のことを考えてくれていたのか。
それを思うと驚きで言葉が出てこない。

「なんで僕を助けてくれたんですか?」

「今時あんないいウインクできる青年はいないからね。北海道のイカ飯くらい良かったよ」

「イカ飯?」

「イカにもち米詰めて炊いた郷土料理があるんだよ!いいから仕事してきな!このバカタレ!」

「本当に助かりました!ありがとうございました!」
私は深々と頭を下げる。

「バカタレ」
そう呟いて彼女は電車を降りた。




おばちゃんの存在はフィクションです。

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今回の茶番ストーリー、いかがでしたでしょうか。

思いつきで小説に挑戦してみました。

皆さんも、何も情報がない女性にメッセージを送るときには参考にしてみてくださいね!

結局、「あ」さんから返事は来ませんでした。
これからも研究に励みます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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