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博士がゆく 第7話「初めての研究発表会①」

ラップトップを見つめる目は充血している。

研究室に配属されてから半年。とうとう博士(ひろし)のはじめての研究発表が1週間後に迫っていた。初めて使うPowerPointに苦戦しながら、なんとか今まで取得したデータを貼り付けていく。半年では大したデータは取れないが、それでもいいのだろう。とりあえず今までやった成果をひたすら貼り付けていく。

「とりあえず一通り貼り付け終わったか」

1週間前にスライドが完成していればかなりいいペースだろう。博士は自分の成果を自分でほめた。スライドの枚数は約30枚。失敗した実験結果も、成功した実験結果もひたすら貼り付けて、自分がこれまでやってきたことをアピールする予定だ。

「我ながら半年間頑張ったよな」

誰もいない研究室でひとり呟き、帰るために荷物をまとめる。

ラップトップ
サーモマグ
スマホ
財布
あとペンケース…

と伸ばした手がペンケースをうまくつかめずに、倒してしまった。すると中からあいつが飛び出してきた。

「やあ、ひろし君。今日は早く帰れそうだね」

「またお前か」

(つづく)

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