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note感想🌟 共作小説【白い春~君に贈る歌~】第3章「繋ぎとめるもの、思いとどまらせるもの」②



両手を広げて、空とハグする紗良さん。

海と空に溶け込んでいるね。


三浦さんへ近づいていく。

はじまった想いは、響き合うのかな?

見えない壁を越えて。

時が、答えを教えてくれる。


クールな三浦さんが、燃え上がるのは芸術方面。

クールなふるまいの奥に、情熱が閉じ込められている。

魅力を封じるように。


山本さんとの語らい。

つらい日々の中、心を通わせる楽しい時間。

芸術に縁ある人との交流に癒やされる。


命は短く、芸術は長い。

痛みは命を削る。

残されたエネルギーを詩に刻むとき、それは後世まで残るエネルギーに変わるかもしれない。

痛みが薄れるだけでも有り難い。

体は消えても、心と言葉は残る。

紗良さんの詩は、暗闇を照らす光。

想いは時空を越えて伝わるからね。


油絵の個展を開いた時の話を、感慨深そうに教えてくれた日の山本さんをよく思い出す。

ラウンジにいながら、その目はいつも、どこか遠くを見ていた。

きっと、過去の個展の世界にタイムバックしていたのだろう。

アーティスト型の人には、しばしば見受けられる現象だ。



今を生きながら、過去も見ている山本さん。

芸術家は、リアルと想いの2つの世界に生きる。

その2つが人より深くつながっているから、芸術を生み出せる。


誰にでも優しい三浦さん。

時間が虚しく消えていく入院生活。

芸術という形で打ち込めたら、虚しさが癒やされることをよくわかっている。

山本さんも三浦さんに惹かれていたのかな。

もしかしたら、紗良さんのライバルになっていたかも。


三浦さん、クールだからね…

距離を縮めるのは、難しそう。



そんなことを考えて俯いていると、意外な言葉をかけられた。

「上野さんの真っ直ぐなとこ、大事にしてくださいね」

顔を上げると、私にかすかな微笑みを見せてくれる彼がいた。


好印象はもたれているのか…

がんばれ〜!!

三浦さんの心はどうしたら開けるのかな。


山本さんを喪って…

深く共感してしまう紗良さんだから、つらさも人一倍。

気丈にふるまっても、落ち込んでるのは丸わかりですよ。

死は重くて、深い。

光を呑み込むブラックホールのようなもの。


生きている人は、それだけで光。

言葉にはエネルギーがあり、心は交流して輝く。

死に呑み込まれそうなとき、救ってくれるのは、生きた言葉なんだ。


いつも人を気遣って優しい。

あの世で山本さんと会う前に、紗良さんに幸せが満ちたら良いなと思います。


死は人を待ってくれない。

前触れなく、奪い去ってしまう。

死という暗闇に引きずられそうになる。

それでも、紗良さんは、死としっかり向き合って気持ちを整理していく。

考えすぎないで、ゆっくり休んでね。



「ジョンの『Love』、いい曲ですよね。僕が学生の時に好きだったドラマの挿入歌でも流れていたっけ」


重い空気は変わらなくて。



「どんなに大切な人にも悲しい出来事にも、一定の距離で付き合っていかなければならないと思うんですよ。

境界線を作ること。

そうでなければ、自分を守ることができなくなって、いつか心が倒れてしまいます」


三浦さんは、アドバイスをくれた。



三浦さんは境界線と言ったけれど、紗良さんは、境界線を超えたいんだ。

三浦さんに境界線を引かれたら、もう会えなくなってしまう。

三浦さんと心をつなぐ【橋】のような詩。

破ろうとしたけど、破れなかった。

大切な詩だから。

三浦さんの過去へタイムバックして、届けたい言葉。

それなのに、境界線なんて、聞きたくなかった。


「でも同時に、絶対に自分と繋がっているものが、必ずあると思うんです。

それを見失わずに、心の真ん中に置いてくださいね」



聡明な紗良さんは、続く言葉を思い出す。

三浦さんは、境界線をつくることだけを話していたわけじゃなかった。


自分と繋がっているもの。


そのとき、紗良さんは三浦さんのエッセイを思い出した……




🌸この記事は仲川光さんの企画参加記事です🌸


#白い春


#創作大賞感想







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