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三体を読んだカジュアルな感想

三体の日本語版5冊を全て読んだので、思ったこと書く。あらすじやネタバレもなければ考察もない。特に物理や宇宙にも詳しくない、物事を深く考えない野郎のカジュアルな感想。


三体は、中国で生まれて世界で大ヒットしたSF小説。日本語版は2019年に第1巻が発売されて2021年に完結したけれど、中国では10年以上前に完結していたというのを知って驚いた。
日本語版は、以下の5冊ある。
・三体
・三体II 黒暗森林(上)
・三体II 黒暗森林(下)
・三体III 死神永生(上)
・三体III 死神永生(下)

SF小説が好きで、その界隈はよくチェックしているし、ある程度読んで生きてきた。ここ数年、各方面から大絶賛されていて、「三体」って言葉を耳にすることが多くなったので、読んでみたくなった。普通に「三体」が何を意味するのかも知らなかった。

読んでみたら、最初からとっつきにくかった。絶賛されているからといって、わかりやすい内容ではないと思う。I、IIは一般にもわかるように、IIIはマニア向け、みたいに著者は語っているみたいだけれど、IもIIもまあまあ難しい。自分もけっこうわからなくて、わからないところは「わからないな」って思いながら読んでいた。わからないながらも、意地になって、飛ばして読むってことはしなかったけれど。
すごい!と思い始めたのは、Iの後半からだったと思う。読む前は、Iだけ読めば良いやと思っていたけれど、とてもそこで止められるものではなかった。

読みながら、「この後、こういう展開になるか?」と予想してみるけど、遥かに上回る展開になっていく。自分が知らないスケールの話なのだから、予想できるわけない。自分のスケールの小ささを実感できるのが、SF小説を読むことの良さだと思う。どのSF小説でもそうなんだけど、終始、書かれていることをイメージできるかが大事。粒子、光速、次元、ビッグバン、ブラックホール、といった、見たことがないものをイメージするには、ある程度知識が必要だと思う。

自分的には、IIIが圧倒的におもしろかった。
世間的には、IIの結末の評価が高いらしい。たしかに、IIで完結するような終わり方をする。自分も、IIを読み終わった時、「まだ2冊残ってるけど、この後は何をするんだ?」って思ってた。しかし、IIIを読むと「今までのは何だったんだよ!」ってくらいぶっ壊れる。
IIIで一番インパクトあった場面は?と聞かれたら、大抵の人が同じところを挙げるであろう、強烈な場面がある。これもイメージできるかどうか。自分も何となくでしか理解はできていないだろうけど、ここをイメージできかったとしたら、「なんだこの小説!何で人気出たんだ!」ってなってしまうと思う。これは、正直、映像化しないでほしいと思ってる。なんかチープになりそうだから。

この小説の中の人たちは、人工冬眠をして、何百年も先に行くことができる。最後には、もうそういうレベルではない話になっていくんだけど。人類の500万年の歴史も、地球の46億年も、宇宙規模なら一瞬のできごと。とにかく思うのは、自分が生きている数十年って何なんだろうってこと。スケールの小ささに悲しくなる。よく宇宙のことについて考えると「自分がちっぽけな存在すぎて、悩んでることが馬鹿らしくなる」みたいのがあるけど、逆にどんなに頑張ったとしても馬鹿らしいなって思ってしまう。自然災害とか、戦争とか、勘弁してくれって思うけど、宇宙規模では認識すらされない出来事。世界に名を残したとかいっても、この地球のことも、この太陽系のことも、この宇宙のことも、誰が知っとんねんって話。宇宙のどの瞬間に生きてた奴なんだよ、って言われる。誰が言うのか知らんが。
自分は、自分が昔作ったゲームとか、自分が昔描いた絵見て、自分で笑ってるくらいの生き方が似合ってると思った。そんなこと言いたい小説じゃないと思うけど。


自分は、読んだ本を全て、☆1~☆5でメモしている。今まで1000冊くらい読んで、こんな分布になっている。だいぶ辛口かも。
☆1:48%
☆2:30%
☆3:17%
☆4:4%
☆5:1%

三体III(下)は、3年ぶりに☆5にした。他の巻も、☆3と☆4にした。
☆5の本は、感情が大きく動き、自分の考えや行動に大きな影響を与えた本につけている。それくらい、三体にはビビった。
よく、ビジネス書をいくら読んでも、何も行動できず、人生が変わっていかないっていう悩みを聞く。自分も大量にビジネス書を読んでも、実際に何も変わっていない。しかし、三体を読んで、大量のビジネス書を読むよりも、圧倒的に勉強する意欲が沸き、即、物理や宇宙の教科書を大量に買った。三体に出てくる技術者がかっこよかった。かっこいい技術者になりたい、と思っているのかな。そんなことをしても仕方ないってさっき書いたばかりだけれど。あるいは、全く思っていないかもしれない。宇宙って、どこまでわかってるんだろう、この世界って何なんだろう、っていうのを、せめて今わかっているところまででいいから知りたい。自分って、そのくらいのスケールだから。いや、だから、そんなことを言いたい小説じゃないから!!

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