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【リアルイベント開催レポート第2部】ChatGPTの出現で何が変わる?メディアと考える!AI活用戦略とは

5月18日に開催されたリアルイベントのイベントレポートをお届けします。
今回の記事では、第2部「AI時代にメディアが生き残る方法とは?トップメディアが考える今後の展望と戦略」の内容をお伝えいたします。
第1部の内容は以下で公開しておりますのでぜひご覧ください!

第2部:AI時代にメディアが生き残る方法とは?トップメディアが考える今後の展望と戦略

メディアインキュベート浜崎氏をモデレーターに、デジタルメディアの最前線で活躍する各分野のエキスパートの皆さまと、ChatGPTの登場によって生じるメディア業界の変化や可能性について議論いただきました。
ディスカッションの中で、メディアがどのようにAIを活用し、競争力を維持・強化できるのか、そして今後のメディアのあり方について、スピーカー同士で意見を交わしていただきました。


左から、メディアインキュベート浜崎氏、日本経済新聞社上田氏、ぴあ朝日ネクストスコープ崎川氏、イード土本氏、フジテレビジョン清水氏


AIと人間のアイディア出し競争

ぴあ朝日ネクストスコープ崎川氏はAI活用事例として、ある議題に対するChatGPTの回答と人間の回答結果を公開しました。崎川氏の見解では、ChatGPTは概念的で総論をまとめた卒業論文のような回答であり、それに対して人間の回答はひねりのある回答であったと評価しました。

崎川氏によるAI活用実例

今回の場合、人間の提案がWebメディア出身者の回答だったため、よりPV数が稼げるような魅力的な回答になっており、ChatGPTに対してはプロンプトをユーザーから見て等身大の内容になるようにもっと工夫する必要があったとまとめました。
崎川さんの事例に対するフィードバックを受け、フジテレビジョン清水氏は「アイディアの中から最終的に決定をするのは人間が良いと思うが、ある程度のベースを考えるという観点だと人間はAIに負けることが多いのでは」とコメントしました。
それに対しイード土本氏は、「AIには100パターンの回答を求めれば良い」と提案しました。100の回答の中には興味深いものが含まれている可能性が高く、新しい観点や刺激をもらうこともあるという見解でした。


メディアにおけるAIの効果的な活用方法

イードでは、21ジャンル78の多彩なデジタルメディアを運営していますが、編集部が世の中で起きていることを把握するために、メディアジャンル毎に関連するであろうプレスリリースをAIに要約してもらっていると公開しました。土本氏は、差別化出来ない情報についてはAIに任せ、自動化を進めていくことの重要性を提言しました。
また、データ収集業務の改善例も公開いただきました。内容としては、イベントのプレスリリースをフォーマット化するものです。
元のプレスリリースは会社毎に異なりますが、きちんと指定したフォーマットで回答が戻ってくるためよく活用しているそうです。

土本氏によるAI活用事例①
土本氏によるAI活用事例②


日本経済新聞社上田氏は過去に、プレスリリースを新聞記事風に書いてみるようにとChatGPT3.5を活用してみたが、期待する回答ではなかったと語りました。試しに村上春樹風に書いてほしいというプロンプトにしてみると、やや期待に近い回答だったようです。
清水氏も過去にある事象に対して、ビル・ゲイツだったら/福沢諭吉だったら/ドラえもんだったらどう解説するか?と実験をしたことがあるようです。結果としては、実在する人よりも実在しない人で例えた方が納得いく回答だったと評価しました。


AIがメディアに及ぼす影響

最後にスピーカーの皆さんからメッセージをいただきました。

崎川氏は、AIは新しいものを生み出すという力はないので、速報性のあるニュース系メディアへの影響は大きくないが、生活情報やスポーツ、雑誌系メディアは影響を受けるのではと話しました。また、AIはやる気や志のある人を助けてくれるツールであり、「個」の力が発揮されていく世の中になるのではと予想しているようです。その中で、プロフェッショナルメディアとしての「ブランド」の重要性を強調しました。

ぴあ朝日ネクストスコープ崎川氏


上田氏は、AIの出現により記者の生産性が高まり、結果として、記者がよりしっかり取材ができるようになるのではとコンテンツの質の向上に期待していました。

日本経済新聞社上田氏


一方、土本氏は今後のメディア業界に対して、検索ユーザーは増えず、広告も儲からず、厳しい世界になるだろうと苦言を呈しました。そして崎川氏と同様に「ブランド」と、ユーザーを説得できるコンテンツ作りが重要であるとしました。AIに任せる分野は任せて、人間が集中してやるべきことを一緒に頑張りましょうと促しました。

イード土本氏


最後に清水氏からは、AIによって、何か新しいことを始める際のヒントが探しやすくなるだろうと希望のメッセージをいただきました。情報が足りずに一歩を踏み出せないとき、ヒントを得る方法のひとつとしてAIを頼るべきだと述べました。

フジテレビジョン清水氏


本イベントでは、AIが持つ可能性や限界について、スピーカーの皆さま自らの事例も交えて熱心な議論が交わされました。AIによる自動化は重要である一方で、人間が力を注いでやるべきことが再確認されたと言えます。今後、AIと人間が協調して、より良いコンテンツ作りを目指していくことが求められるでしょう。

第3部の内容は6月28日に公開予定です。お楽しみに!

Text & Directed by. Shiho Odahara

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