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珍しがられても、めげずに伝え続けるための勇気をもらったときのこと

初対面の人への自己紹介で、あなたが相手に伝えることは何ですか?

私はいま、自己紹介の先頭とはいわないまでも、どこかで「小麦アレルギーです」と伝えています。
けれどこうした発信を始めるまで、小麦アレルギーだということをできる限り隠していました。
理由は以前書いたように、「珍しいもの扱いをされるから」。


同級生からの扱いを受けて、極力他人と一緒にご飯を食べることを避けていた時期に、
どうしてもごはんを共にすることを避けられない事態が発生しました。


それはとある夏のおはなし。
2011年3月に起きた東日本大震災の復興支援を主として行っている
Youth for 3.11 という「0円からの学生ボランティア」を掲げる団体の
プログラムに参加しました。

このときは深夜バス往復+現地1泊で、
震災によって悪くなってしまった田んぼを復活させるべく草刈りなどを行うプログラムでした。

そう、つまり

初対面の人と丸2日とちょっとを過ごす

という今思えばなんで行ってみようと決断したのかわからないくらいメンタルを危険にさらすプログラムでした。
とはいえ被災地に足を運んでみたいという気持ちが強かったので、
食いっぱぐれないために小麦を使っていないレトルトカレー(インドカレーとかでたまにある、サラサラタイプのもの)とインスタントごはんを準備してむかいました。

出発前にYouth for 3.11 の事務所のような場所でオリエンテーション。
今回参加するのは全員が初対面の大学生11人程度。
一部メンバーで集まって夕飯をどこかで食べて、深夜バス乗りましょーというタイミングでまず震える。
「わ、わたし実は食べられないものが多くて...」からの小麦アレルギー説明。

結果は予想通り
「えー!小麦アレルギー!?なんで!?」

「茶のしずく石鹸で小麦アレルギーってニュース見たことある?あれです」

「うわ、俺も茶のしずく石鹸使ってたの、ならなくてほんとよかったって思ってた。食物アレルギーで一番かわいそうだよね、小麦って。まじで何も食べられないじゃん」

まさかの使用経験者からのかわいそうがられる事態も発生しましたが、まぁまぁとなだめつつファミレスを提案してやりすごしました。

翌日。

1泊時の夕食は参加メンバーで自炊する、というものでした。
当然定番として1番手に挙がってくる「カレー」。

この固形ルーはとろみ付けに小麦粉を使用しているため、私は食べられない。
しかし!
そんなことは想定内!
お米を炊くならばそれだけもらって、インドカレーのインスタント食べればいいやーとのんびり構えていたところ、だれかが小麦アレルギーの私がカレーを食べられないことに気付きました。

インスタント食品を持ってきてるから気にしなくて良い旨を伝えましたが、
「いやいやいや!食べられるものにしようよ!」
と、ありがたいことに気を遣っていただきまして、メニューはあんかけ中華丼に決まりました。
中華あんは片栗粉でとろとろにしているから大丈夫なんです。

今まで一緒にいた人たちとはなんて違いなんだ...!
こういうスタンスの人たちに囲まれて生きていきたい...!!

自分の気持ちばかりが強いなと反省するのですが、それでもなお
ボランティア活動内容よりも、柔軟にメニュー変更を提案してくれた人がいる、という目の前の事実に衝撃を受けた記憶の方が大きいです。

その後の解散直前の夕食でも、仙台駅で牛タンを食べて解散した写真が残っています。
このときも焼肉なら大丈夫でしょう、ということでスムーズに全員一致で決まりました。

このあと本当に自分が小麦アレルギーであることを受け入れられるようになるまでは、つらい時もこの参加メンバーの居心地の良さを思い出して、そういう人と長く付き合っていけば良いのだと言い聞かすことで踏み堪えることができました。
伝えることの大切さを初めて少しでもつかむことができたのはこのプログラム中かもしれません。

...

ここまで珍しくいい話で進めてきましたが、やっぱり幸せ100%では終われなかった。
それはひとりの「スタバでバイトしてます」を体現している男の子の発言によってもたらされました。

サポートありがとうございます!値段のないところにお金を出してもらえるって、本当にありがたいことだなぁと感激しています。大切に使って、そこから得たものを書いて恩返しさせてください。