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パン職人の修造20 江川と修造シリーズ 催事だよ!全員集合! 江川Small progress


2台の車は開始時間に遅れて催事場に着いた。

蒲浦が慌てて来て修造に「いや〜無事で良かったですね!準備お願いします」と言った。

「蒲浦さん、すみません遅れて」

荷物を運びながら他の店を見ると結構沢山の人が並んでパンを買っている。

「出遅れたな。とりあえず持ってきた生地をなんとかしないと。失敗するとカレーが破裂するからな」

公園には合計30軒ほどのパン屋がいて、各ブースに設置されたテーブルに店の自慢のパンを並べて販売を始めていた。サンドイッチ専門店、焼きそばパン専門店、ベーグルやメロンパンの専門店など目移りする。

「どれも旨そう」杉本があちこち見ながら言った。

レンタルしたプロパンが先に到着していたのでフライヤーのセットを藤岡が、江川が店構えのセットを、修造と杉本はカレーパンを包み出した。成形した生地にシートを被せて発酵させ良い感じの時に揚げていく。

「藤岡、江川と一緒に呼び込みしてどんどん売って行ってくれよ」

「はい」

藤岡はニコニコと、江川はキュルンと笑顔を振り撒き人を集めた。

「杉本、両面を同じ色に揚げろよ。火力に注意して」

「はい」

杉本は揚げ色を揃えるのに集中した。

170℃の油にカレーパンを入れるとブクブクと泡が出てきて、パンの裏面がまず膨らんでいく。すぐに裏返して表面も膨らませる。白いパン生地はだんだん狐色になり裏返してまた狐色に揚げる。

包むのが下手だと生地の中でカレーが偏り勝手にクルンと裏返ったり傾いて、同じ所だけ色がつき過ぎちゃったりするが、今日は修造が包んでるので揚げやすい。

「よし!全部綺麗に揚げるぞ!」


江川はほっとしていた。

車も無事動いたし、修造さんもいてくれて良かった。

それに藤本さんって結構完璧だよな。そつがないというか。杉本君も凄い真剣、と言うか怖い顔して揚げてる、一生懸命なんだな。

僕もお釣りの計算を間違えないようにしなきゃ。

テンポ

4人は力を合わせてどんどんカレーパンの販売を進めて行った。

そこへ修造に親方から電話がかかってきた。
「はい、ええ、最初焦りましたが順調です。生地はもう全部成形しちゃいました。あとは揚げるだけです」
「そう?手が空いたから追加の生地と材料を持っていくよ」
「わかりました」

しばらくして親方がやってきた。
「親方、これ全部成形してどんどん揚げていきますね」

「はーい、よろしく」

親方は、生地を修造に渡して後ろから一歩下がってテキパキ指示してカレーパンを販売していく修造を見ながらちょっと感動していた。

みんな上手くまとまって仕事してるな。頼もしいぜ修造。俺は今日のこの、みんなが和気あいあいとしてる所を忘れないぞ!

修造はそのうち独立するだろう。残念だけどお前はうちでずっといてる器じゃないんだ。感謝の印に俺はどんなわがままでも聞いてやるからな。

「修造、俺戻るからね。あとよろしくね〜」
「はい」

親方が帰ったあと「みんな、交代で休憩に行って来て」と修造が声をかけた。

江川は色んな店を見て回った。

隣はあんぱん屋さんかあ、あんぱんしか売ってないのかな?

その次はサンドイッチ屋さん、可愛い花みたいなフルーツサンドイッチもあるし、惣菜をサンドしたガッツリしたものもあるんだ。

次はバターにこだわったクロワッサンのお店。フランス産のバターを使ってる。

そして次はメロンパンのお店、メロンパン各種、そしてベーグル屋さん、20種類もあるんだ。こんなに沢山焼いて挟んで袋に入れて持ってくるの大変だったろうな。

江川お腹すいた


僕こんなに沢山のパンの種類を見たの初めてだ。

江川は色んな店から沢山買って袋いっぱい持って帰ってきた。

勿論隣のあんぱんも買った。

「江川、どうすんの?そんなに沢山」

「テヘ、ついつい買っちゃっいました。みんな一緒に食べてよ」

色んな店のこだわりのパンを分けて味見して、「色んな店があるんですね〜」とみんな口々に言った。

「そうなんだ、このベーグルの店は国産小麦とオーガニックに拘(こだわ)っていて女性の心を鷲掴みにしてる。そしてこのフルーツサンドも流行りの先駆けとなった店のものなんだ。ここのクロワッサンはエッジの効いたシャープなラインが素晴らしい!」修造が熱く語り出した!

「そしてこれを食べてごらん」

修造はあんぱんを江川に味見させた。

「あ、これ!想像と全然違います。自分の思ってたあんぱんのはるかに想像を超えた美味しさです」

「だろ?これはどんな拘りがあるのか試しに隣で聞いてきてごらん」

え?あのおじさん怖そう。

だけど美味しかったなこのあんぱん。

江川は恐る恐る隣に近寄って行った。


つづく



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