【EVENT REPORT】12/6(水)開催!学生×企業人の交流会『「働く」転換期にある今、キャリアパスをどう描くのか』
こんにちは!グローカルセンター、インターンのみぞです🐶
今回は12月6日に開催された学生×企業人交流会『「働く」転換期にある今、キャリアパスをどう描くのか』の様子をお届けします。
去年に引き続きリアル開催となった今回は、QUESTION7F クリエイティブコモンズにて行われました。学生21名、企業人36名の方々にご参加いただき、大変賑やかな交流会となりました👏
◯イントロダクション
今回のテーマは『「働く」転換期にある今、キャリアパスをどう描くのか』です。リスキリング、就職活動、ジョブ型雇用、転職、社会的意義など「働く」形態や価値観は多様化しており、就活を控える学生をはじめ、企業人の方も自分にとっての「働き方」を見つめ直すことが必要とされています。
この交流会では、始めのゲストトークにて、就職・転職に焦点を当ててゲストの方からお話していただき、続くトークセッションでは、学生と企業人混合のグループに分かれて「未来の仕事」「働き方の理想の形」について話し合いました。
このレポートでは「キャリア」を見つ直す機会となった、学生×企業人の交流会の様子をお届けします🎁
◯ゲストスピーカー紹介
▼田中陽一氏(京都エレベータ株式会社代表取締役)
田中社長の高校時代はなんとバンドマン(デビュー前のシャ乱Qやスピッツなどと一緒に演奏されていたそう)!就職してからも転職を繰り返され、今の会社に就職、その後社長に就任へ。
田中社長からひとこと:「私の『代表取締役』という肩書きを聞いて、素晴らしい経歴だと思われるかもしれませんが、平々凡々な人生を送っていたところから会社の経営者になるという経験を伝えることで皆さんのお役に立てれば良いなと思っています」
▼中村千波氏(前職:株式会社リクルート → 現職:株式会社ツナグム)
中村さんは、京都生まれの京都府立大学出身。株式会社リクルートで営業経験をされたあと「どんな人に(仕事を通じて)磨かれたいのか?」という想いから「人と人、人と場のつながりを紡ぐ」をミッションに掲げ、移住促進事業や拠点運営事業などを展開する、現在の株式会社ツナグムに転職へ。
中村さんからひとこと:「今日のように、年齢・性別・肩書きなどを取り払って『仕事ってなんなんだろう』という得体の知れない問いに向きあう時間は貴重だと思っています。今日は皆さんと一緒に楽しみたいと思います」
◯ゲストトーク
ゲストトークは『仕事観』をキーワードに、ゲストスピーカーのお二人の「最初の就職」そして「転職」について話していただきました。
▼最初の就職〜考えていたキャリアと、実際働いてみて〜
まずはゲストスピーカーのお二人の「最初の就職」について話していただきました。
🟠中村さん:私は学生のとき、共感性が高いタイプで、とても人の意見に染まりやすい人間でした。自身の生い立ちから「家族」という言葉をキーワードに「家族の形をよりよくするところに行きたい」という思いで冠婚葬祭や車関係の会社などの面接を受けました。しかしその中で、私自身が「一緒に働きたい」と思える人に出会うことができませんでした。では、自分にとって「一緒に働きたいと思える人」ってどんな人なんだろう、という疑問に立ち返って考えた時に「自立している」「他者のために仕事をしているかどうか」という部分が大きいのではないかと気づきました。「自分のキャリアのために」ではなく「他者のために」「自立した精神をもって」働いている人と一緒に働くことで、なりたい自分に近づけるのではないか、と考え、リクルートに入社を決めました。
🔵田中社長:私は高校時代に音楽活動をしており、音楽プロダクションからスカウトをいただきました。「音楽でご飯を食べていこう」と決意し、プロダクションに伺って話を聞いている中で、壁一面に貼られたポスターのミュージシャンを誰も知らなかったことに衝撃を受けました。この業界でご飯を食べていくのは厳しいと気づき、音楽活動に終止符を打ったのは高校三年生の終わり頃です。その後は建具の職人として縁故採用していただきました。職人の世界は少し特殊で、人によって教え方が違うことがよくあり、「なんで自分は毎日違うことを教わっているのだろう」と疑問に思い始め「この仕事は合わない!」と感じ、職を変えました。
🔵田中社長:その後は着物や鞄のセールスマンとして働いていましたが、やりたいことでもない、商品のこともよく知らずに働いている自分がいることに気づきました。「働くってなんだろう」という悩みを抱えていた19歳のとき、現在の京都エレベータという会社に出会いました。私が21歳のときに起こった阪神淡路大震災では、エレベーターの復旧に行った際に「ありがとう」「やっと日常に戻れる」という声を実際に聞いて「仕事ってこういうことなんだ」と感動しました。ありがとうと言われることで、自分が社会の役に立っているのだという実感を得られました。「働く」ということはやりたいことをやるだけでなく、頼りにされているという実感を持つことでもあると思います。自分たちの仕事が必要とされているという使命感を通して「働く」ということを理解できた気がします。
🟠中村さん:リクルートでは、メーカーのお客さんを相手に、中途採用の人材を紹介するという仕事を7年ほど勤めました。仕事で一番初めに直面した「自分って何ができるんだろう」という疑念は、新卒で入社した私にとってとても大きなものでした。実は私は2年目のとき、働きすぎで休職を経験しています。「働かない」という期間は「しんどくても自分がやりたいことってなんだろう」と働く目的に向き合う期間でした。その中で「だれかのキャリア支援をしたい」という気持ちがあることに気づきました。
🟠中村さん:私が皆さんにお伝えしたいのは「社会人として働いているうちに、働く目的は変わるものだ」ということです。まるで波のように、働く目的は変化していくものだと思っています。私自身も働く中で、自分には何ができるのか、働く意味とはなんだろう、生きる意味はなんだろう、自分らしく生きるにはどうすればいいのか、という疑問、さらに、仕事に飽きたな、という停滞期を乗り越えてから、自分の好きを活かして仕事をしたい、というように、いろんな目的に変化していきました。
▼転職の話〜自分で決断すること〜
🔴吉田さん:転職には必ずきっかけが存在すると思います。私自身も、大学職員として勤めていましたが、第一子が待機児童となり離職せざるを得なくなって、その後、大学時代に一緒に働いていた先生からの声かけで、今の職場であるグローカルセンターを紹介していただきました。私のように生活の変化による転職もあれば、個人の気持ち、やりがいの変化など、きっかけはいろいろあると思います。しかし、転職するタイミングは「自分の持つ仕事観」が変わった時だと考えています。転職経験のある今日のゲストのお二人に、次に転職について伺いたいと思います。
🟠中村さん:転職を決めた時は「本当の安定ってなんだろう?」とずっと考えていました。リクルートでは営業成績は良かったのですが、身を削っていた部分も大きくありました。このまま頑張れば稼げるし、社会的評価は高まっていくことも分かっていました。けれど、お金や社会的評価を追いかけることって、自分の心身の健康を疎かにしているのではないかという迷いがありました。そしてコロナ禍の中で「一番しんどい時に助けてくれるものってお金なのか?そのためには働かないといけないのでは?」とも思いましたが「いろんなところに悩みを吐き出せる場所がたくさんあればいいのではないか」「困ったときに助けてくれるのはお金ではなく人なのではないか」と思い至りました。リクルートでの出会いはたくさんあるのですが、今でも繋がりがある人は想像以上に少なく、それに寂しさを感じる自分がいることにも気づきました。
🟠中村さん:また、ツナグムという会社には、いろんなスキルを持つ個性豊かな社員がいて、ここにいたら家族みたいな関係性を生み出せるのではないかと思い、入社を決めました。
🟠中村さん:ツナグムに入社して変わった仕事観については、大手企業からの転職ということもあり、違う場所に飛び込む経験ができたことが大きく影響していると思います。今までは会社の上層部が決めた営業のKPIでずっと働いてきましたが、何も決まっていない場所、自分でKPIや目標を決めなければならない環境に身を置くことで、人生のKPIを追い求めていることが、転職を経て変わった仕事観かなと思います。
🔴吉田さん:では続いて、田中社長のご自身の転職経験から、また、経営者の立場から見て転職をどのように捉えていますか?
🔵田中社長:転職とは職業を変えるのではなく、正しくは会社(環境)を変えることだと思います。同じ会社の中でも、配属先が違えば仕事も違い、希望を言えばやりたい仕事ができる場合もあります。「人間関係が嫌だ」「仕事が嫌だ」と辞めていく若者は私の会社にもいます。その度に私は「人はどこに行っても人と会う。この会社で嫌だと思ったこととまた同じことが繰り返されるかもしれない」と転職希望の際に伝えています。「これが嫌だ」と逃げるような理由ではなく「こうしたい!」と思えるものがその会社に見つからないのなら転職をするべきだとは思います。
🔵田中社長:以前、入社一年ほどの社員から「消防士になりたいから仕事を辞めたい」と相談を受けました。その社員は高校生のころから消防士になりたいと思っていたそうです。そこで私は「やめるべきだ!だってこの会社で消防士にはなれないんだから」と背中を押し、今、彼は消防士として立派に働いています。
🔵田中社長:自分がやりたいことと今の現状が違う、このままではやりたいことを叶えられないなら、十分転職の理由になり得ると思います。でも、今の会社が嫌だとか、人間関係が嫌だとか、給料が低いとか、そういった理由での転職では転職先でも長く続かないのではないでしょうか。自分自身の「こうしたい!」という思い、自分自身で決断することが一番大切ではないかと考えています。
▼ゲストから学生に伝えたいこと〜仕事や就活のなかで大切にしていること〜
🟠中村さん:私が就活している時はグローカルセンターの一期生として関わっていました。「やりたいことって何?」という問いは就活の時によく聞かれるものですが、やりたいことって年齢や環境によって変わるものだと思います。やりたいことだけで仕事を決める必要はなく、むしろ「どんな状態だと心地よく仕事ができるのか」「自分のありたい姿ってどんな姿だろう」というコアになる部分が大切だと思っていますし、この価値観はグローカルでも学びました。
🟠中村さん:私は転職や休職、移住について意思決定をする直前は眠れなくなります。なんで意思決定が怖いのか?というと「ひとりで抱えているから」「失敗したら取り返しがつかないのではないかと不安だから」だと思います。学生の皆さんには「意思決定をした後に助けてくれる大人、味方になってくれる大人はいる。だから安心して意思決定をしていいんだよ」ということを伝えたいです。
🔵田中社長:皆さんが高校生のとき、大学選びで就職を見据えることはあまりないのではないかと思います。そして多くの人は大学生のうちに「就職活動」という戦場に放り出されます。その期間の中で「自分は何がしたいのか」という問いの答えはなかなか見つからないものです。しかし、社会に出ている大人がその答えのヒントをくれるはずです。そして私が就活生の皆さんに伝えたいことは「たくさんの会社を見に行ってください」ということです。いろんな会社が見学やインターンシップを受け入れてくれます。
🔵田中社長:採用面接では「あなたたちを選んでいるのではなく、この会社に行くかどうか決めるのは学生の皆さんです」と伝えています。これから先、定年が延長されていくと考えると、卒業して50年もの間、社会で生きていくことになります。何回決断するのかと考えると途方もありません。もし迷った時は、大人に投げかけてみてください。会社の存在意義、自分の存在意義、働くことについて、たくさんの話を聞いて、いろんな場所に足を運んで、視野を広げていって欲しいと思います。
◯トークセッション
濃密なゲストトークの後は、参加者同士の対話の時間に移りました。トークセッションでは学生と企業人混合のグループで「働くこと」について話し合い、それぞれ異なる世代やバックグラウンド、価値観をもとに交流することで、参加者の皆さんが新しい気づき、新しい刺激を得られる場となりました。
このnote記事では、私(みぞ)が参加したグループで話された内容を紹介します!
▼第一セッション
第一セッションでは、
・学生:どんな企業だと応募したくなる?
・社会人:今の場所で働き続けている理由って?
という話題から話を広げていきました。
▼第二セッション
第二セッションでは第一セッションを踏まえて、
・あなたにとって未来の「仕事」
・「働き方」の理想の形とは?
をテーマに交流しました。
私が参加していたグループでは「理想の仕事とは成長を感じられる仕事ではないか」という話からスタートしました。
◯共有TIME
▼各テーブルで話されたこと
共有TIMEでは、各テーブルで話されたことを学生が全体に発表しました。
▼ゲストからコメント
最後に統括として、ゲストのお二人からコメントをいただきました。
🔵田中社長:会社として学生を迎えるに際して「明確な答えはないのだ」と改めて実感しました。今日のような時間を通して、学生が企業を知る機会、企業が学生に伝える機会を作っていくことも企業・社会の責任なのだと思います。学生の皆さんには、なんとなくで進路を決めるのではなく、目の前にいる大人と話して、感じたうえで、選択肢を選んでほしいです。
🟠中村さん:就活の際に「企業選び」とはよく言われますが、企業の中にいるのは結局は人です。社会人になったら、企業の中に人がいる、人がやっていることを忘れる場面があります。そんなとき「目の前には人がいるのだ」と思い直すことを忘れずにいてほしいです。また、社会の中で「揺蕩うこと」を諦めない、「揺蕩ってもいいよね」という優しい社会になったらいいなと思います。
◯インターン生みぞの感想
今回の学生×企業人の交流会に参加して、働くということについて改めて考えることができました。
トークセッションで一番印象に残っていることは「成長」についての話題です。私は、成長のない仕事なんてないと思っています。「この仕事じゃ成長できない」と思う理由は「自分が成長したいと思うベクトル」と「仕事で成長できるベクトル」が合っていないからなんじゃないかと考えました。また、ゲストトークの中で「やりたいことは変わっていくものだ」と話されていたように「自分が成長したいと思うベクトル」もきっと変化していくものだと思います。変化していく自分と向き合いながら、そして仕事で何を得たいのか、何を得られるのか、実際に働きながら、または少し距離を置いて客観的に見つめながら考えていきたいなと思いました。
私は現在大学2年生で、来年度からは就職活動が始まります。「この選択で人生が決まる」「後戻りできない」という感覚は大学受験の時にも感じていましたが、ゲストのお二人が仰っていたように、色々なところに足を運んでみたり、周りの大人の皆さんに頼ったりしながら進路を決めていきたいです。そしてもっと大人になったら、若者の相談に乗れるような大人になりたいなと思います✨
最後になってしまいましたが、今回の交流会にお越しくださったゲストのお二方、参加者の企業人、学生の皆さま、ありがとうございました。2月に開催される第11回グローカル人材フォーラムにもぜひご参加ください!(詳細は下記をご覧ください👀)
◯第11回グローカル人材フォーラムの告知
今回の学生×企業人交流会は、大学間連携共同教育推進事業「産学公連携によるグローカル人材の育成と地域資格制度(GPM)の開発」令和5年度成果報告会『第11回グローカル人材フォーラム』の開催に先立って実施したものです。グローカル人材フォーラムで成果報告を行う学生も今回の交流会に参加してくれました。
グローカル人材フォーラムとは京都市内のGPM(グローカルプロジェクトマネジャー)を実施する大学においてPBL(課題解決型学習)の実践を積んだ学生たちの他流試合となる成果報告会で、毎年2月末の恒例イベントとして多くの方にご参加いただいております。
▼グローカル人材フォーラムについて▼
そして、今年で11年目を迎える『第11回グローカル人材フォーラム』の日程が決定しました!今年は4年ぶりにリアルでの復活開催となります。この企業交流会に参加する多くの学生たちが、このフォーラムで自分たちのゼミでのPBL活動成果を発表します。全参加者(学生と社会人)の交流を深めるワークショップも開催予定です。また、フォーラム終了後に、懇親会(ティーパーティー、アルコールなし)も開催しますので、発表した学生たちと直に交流できる機会も設けております。ぜひ、こちらのフォーラムにもご参加をお待ちしています。
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