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プロダクト開発組織を大胆に改革してみた後、どうなったのか

この記事はグロービス Advent Calendar 2023の22日目の記事です。

Director of Productの久津です。定額動画学習サービスの『GLOBIS 学び放題』と、その英語版の『GLOBIS Unlimited』のプロダクトマネジメントをしております。

GLOBIS 学び放題 / GLOBIS Unlimitedのプロダクト開発組織は、2023年4月1日から大きく組織構造を変え、5月にこのような記事を公開しました。

今回は、組織を大胆に変えて8ヶ月後、実際どのようになったのか、良かった点・悪かった点などを振り返って、可能な限り包み隠さずお伝えします。


4月の改革内容のサマリ

  • 3チームを8チームに分割

  • 長期的なビジョンやミッションの達成に責任を持つMission Teamと、具体的なプロジェクトの遂行に集中するProject Teamにグループ分け

  • 狙いは「検討コスト・調整コスト・スイッチングコストをなるべく抑えて各チームが目標達成に集中できるようにする」「コラボレーションが生まれやすく、かつ個々人のチャレンジのハードルを下げる」こと

4月に新しく変えたチーム編成

新体制にしてよかったこと

リリース頻度やプロジェクトの進捗が劇的に上がった

Great Work!

この8ヶ月は過去イチリリースが多く、かつ大型プロジェクトや長年悩まされてきた技術的負債の解消も大きく進捗した期間でした。チームを細かく分けた狙い通り、調整コストやスイッチングコストが下がり、目標達成に集中できたおかげだと思います。

リリースをいくつか紹介します。

①AIフィードバック機能

4月下旬には、chatGPTを活用したフィードバック機能をβ版として実装しました。GPTが利用可能になってからかなりのスピードでリリースでき、その後も改善を加えて今ではかなり高い精度になっています。

②GLOPLA LMSとの連携

7月には、我々の別プロダクトであるGLOPLA LMSとの連携機能をリリースしました。GLOBIS 学び放題よりも細かい研修管理ができるGLOPLS LMSにコンテンツや受講履歴データの連携し、より効率的・効果的な育成研修を可能にしました。こちらも検討開始からリリースまで2~3ヶ月という短期間でした。

③DXアセスメント機能

10月には、DX領域のスキル測定ができる「DXアセスメント」を法人顧客向けにリリースしました。従業員の方々のDXに関する知識を測定され、弱点を補うためのGLOBIS 学び放題のコースがすぐにレコメンドされます。私もあるイベントで直接顧客にデモをしましたが、非常に好評な機能です。

これ以外にもたくさんリリースしましたし、システムアーキテクチャの移管・刷新や技術的負債の解消など、かなりハードなプロジェクトも大きく進捗しました。その結果、さらに未来のことも考えられるようになり、来年度はよりチャレンジングな方針を立てられる見込みです。これは素晴らしい成果でした。Marvelous!

チーム編成の小さな改善ができるようになった

一度大きな変革をしたおかげか、これまで躊躇いがちだった組織改善のハードルも下がり、課題が見つかればすぐに動けるようになりました。

解決すべき課題があればすぐ改善


またリーダー陣は半年経過後に振り返りを行い、元々目指していた組織になれているのかを話し合い、しっかり軌道修正をすることができました。

深い議論をしました

新たなチャレンジと成長の機会が増えた

大きな組織変革を行なったため、4月から新たな領域やロールに挑むメンバーも増えました。これは総じてポジティブな影響があったと思います。新たな領域(ドメイン)に挑んだメンバーは視野が広がり仕事の質がグンと上がりましたし、新たなロールに挑んだメンバーは試行錯誤しながらも前向きに新たなスキル・経験の獲得に励んでいます。

また、初めて一緒のチームになるメンバーの組み合わせが増えたことで、いい刺激や学びも生まれています。

新体制にしてよくなかったこと

少しビルドトラップになってしまった

デリバリーのスピードはかなり上がった分、それが一種の基準になってしまい、そのスピードを維持しようとする力も生まれてきました。その結果、アウトカムよりもアウトプットを目指す状態、いわゆるビルドトラップ状態に陥ってしまいました。

ここは既に打ち手を打っており、チーム目標やロードマップをアウトカムベースで設定したり、PBIに必ず期待するアウトカムを記載するようにするなどの改善を加えています。まだ完璧に修正はできていないですが、確実に改善の方向に進んでいます。

目指すべきゴールの目線が合いづらくなった

チームを細かく分けたことで、プロダクト全体の戦略は8チーム共通の上位概念となるよう、以前より抽象的に定義せざるを得なくなりました。その結果、各チームの目標との距離が遠くなり、「あれ、何がゴールだったっけ?」という発言がチラホラ出たり、エンゲージメントスコアで「方針への納得感」に関するスコアに若干の低下傾向が見られました。

これは私含めリーダー陣による戦略の定義と目標の分解がうまくできなかったのが原因です。これに対して、リーダー陣で「改めて何がしたいんだっけ?」というディスカッションを行い、戦略の立て方と目標の分解のやり方をアップデートし、より具体化・フォーカスすることを決めました。耳障りのいい抽象的な戦略ではなく、より現実的かつ具体的な戦略にアップデートをしています。

未来を考えるワークショップ

一部のマネージャーの負担が増えた

当たり前ではありますが、チームが細かくなったのでマネジメントのコストは上がりましたし、チーム数よりマネージャーの人数がまだ少ない状態なので何人かは複数のチームを担当しています。これにより一部のマネージャーの負担がかなり増えました。「マネージャーの人一倍の頑張りによってマネジメントが保たれている状態」は健全ではないので早めに解決したいところです。

これに対しては権限移譲を進めたりして打ち手を打っていますが、まだマネージャー不足の根本解決はできていないため、現在進行形で改善に向けて動いています。

総括

以上、4月の大規模な組織改革の振り返りでした。
総じて「やってよかった」と思います。上記の通りうまくいかなかったポイントもありますが、全て改善に向けて動き出せているため、今後はさらによくなっていくと信じています。

ただ、組織変革をリードする立場としては、この8ヶ月はかなり大変でした。4月時点では「ぼくのかんがえたさいきょうの組織編成」だったはずなのに、すぐに問題が起こって「方針変えます」「やり方変えます」を繰り返すのはなかなかにしんどかったですが、それをやっていくうちに少しずつ、時には飛躍的に組織が強くなってるのを見れたので、信じてここまでやり切れたと思います。

というわけで、大きく組織を変えようとしているそこのあなた、大事なのは変えた後ですよ!


さて、そろそろ来年度の体制を考える時期ですね

はい、来年度に向けてまた組織編成を変えるつもりです。

理由は、上述の通り2023年度にかなりのリリースと進捗を実現できたため、事業の未来の成長に向けた新たなかつ大胆な戦略を立ち上げることができました。つまり、来年度は飛躍の年にしたいと思っています。そのためには組織もそれに合わせて最適化していきます。また、今回はより大胆に個人のチャレンジを創発していきたいと思っています。これを残りの3ヶ月で主にリーダー陣と喧々諤々の議論をして固めていくつもりです。

というわけで、その新組織に必要だが決定的に足りていないポジションはこちらです。是非ご応募下さいませ。

↑大きめのアーキテクチャ構築&変更を伴う大規模なプロジェクトを予定しており、そこのプロダクト&プロジェクトマネジメントをリードするプロダクトオペレーションマネージャーのポジション、そしてアーキテクチャ設計と構築をリードするサーバーサイドエンジニアポジションは、猛烈に募集中です!かなりチャレンジングなプロジェクトになること間違い無いので、ぜひ力を貸してください!

↑来年度は「アプリ強化元年」になる予定です。まだ課題の多いアプリに「アプリならではの価値」を創出していきます。それを担うiOS/Androidエンジなも猛烈に募集しております!


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