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【地球列車旅第1章】ユーラシア大陸横断鉄道の旅 #1 大連~北京
旅のルート
成田空港を離陸して2時間、飛行機は次第に高度を下げ始めた。空港を探すかのように何度か雲の中を旋回するが、日本の飛行機と違って着陸態勢に入るなどといったアナウンスは一切ない。
いつになったら着陸するのかと思い始めたころ、ふいに窓の外の雲が途切れ、褐色の街並みが見えてきた。
やってきたのは、中国・大連。この街が、人生初の海外の地となり、旅の出発地となる。
旅立ちに至るまでにあれこれ考えてきたことは前回の記事に書いたが、改めてここで旅のルートを記そう。
大連からまず北京へ移動し、その後国際列車に乗り込みモンゴルへ。草原の絶景を堪能した後、世界最長の鉄道・シベリア鉄道に乗り込み一路ヨーロッパへ向かう。モスクワからはバルト海に面した国々を通過して中欧へ。最後はパリからドーバー海峡を越えてゴールのロンドンに至る、全行程13,000キロ・約1か月の旅だ。
1日目 大連~(車中泊)
大連の街の建物や道路、車がゆっくり眼下に近づき、屹立するマンションが真横に来て、こんな町中に空港があるのかと思っていると、飛行機は静かに着陸した。
時刻は17時30分。夕日が眩しいが、窓の外の滑走路の奥には、明らかに日本とは違う街並みが広がっている。ついに海外に来てしまったなと思う。
本来の予定であれば、大連市内を少し見物した後駅に向かい、夜行列車に乗り込む予定だったが、成田空港の出発が2時間近くも遅れたため、すぐに駅に向かわなければならない。初めての海外だというのに慌ただしい旅立ちだ。
空港直結の地下鉄の駅に急いで向かい、北京行きの列車が出発する大連駅へ向かう。
降りる駅を間違えながらもなんとか出発1時間前に大連駅にたどり着く。地下鉄を降り地上に出ると、眼前に大連駅の巨大な駅舎が輝いていた。
大連駅は、戦前日本が満州を統治していた頃に造られた建物らしく、東京の上野駅そっくりだ。
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中国の駅はどこもセキュリティーチェックが厳しく、入口には空港のように金属探知機があり、荷物がX線にかけられる。
そこまで厳密にやる検査ではないので難なく通過したが、首都・北京に向かう列車の乗客に対してはさらに入念に検査をするらしく、待合室でまた荷物を開けられる。中国の駅は列車の発車時刻が近づくまでホームに降りられず、体育館のように巨大な待合室で待たされるのだが、この待合室の検査は厳しく、鞄の中の爪切りばさみまでつまみ出して何か言ってくる。「我不是中国人」と言い首を振っていると、中国語がわからない外国人が面倒になったのか、適当に見逃してくれる。
右も左も中国語が飛び交う待合室(当たり前だが)でしばらく待っていると、放送が流れ、ついにホームに降りられる時がやってきた。
待合室を出て通路を歩くと階段に行き当たる。その階段の上に立った瞬間、眼下には広々としたホームに止まる濃緑色の客車列車の姿があった。
中学生の時テレビで見て以来、何年も乗る日を夢見てきたあの濃緑色の列車が、今まさにそこに止まっている。この時感じたえも言われぬ感激は、この先どこかで味わうことはあるだろうか。
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興奮冷めやらぬままホームに降り、自分が乗るべき車両を探す。僕が手にしている切符には「新空調硬臥5号車1番」と書かれている。新空調はエアコン付きの車両、硬臥は三段寝台車を意味する。
長いホームを歩き5号車に乗り込む。デッキの扉を開け中に入ると、通路の左側にずらりと三段ベッドが並んでいる。居住性はすこぶる悪いが、旅情を感じる空間だ。
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僕が収まるべき寝台は三段のうちの上段であり、これが身長よりも高いところにある。揺れる車内なのにこんな高さのベッドで一晩過ごさないといけないのかと思うと少し怖い。一応簡単な落下防止の柵はついているが、寝返りを打ったらそのまま落下しそうだ。
荷物を棚に収納しながらそんなことを考えていると、列車は静かに動き出した。日本とは違い放送は一切なく、イマイチぱっとしない出だしだが、とにかくロンドンに向けて13,000kmの長い長い旅が始まった。
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○1日目 2018/8/29 大連→北京 913km
大連20:02【K683快速北京行き】北京(翌)8:50
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