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国家の財政

先日(8月1日)、自民党衆議院議員・木原誠二さんの「国家財政」に関する講演を聞く機会がありました。

内容的には、さまざまなメディアでも紹介されていることなのですが、現職の国会議員からこの数字を直接言われると、厳しい現実を目の当たりにさせられた気がしました。いただいた資料の数字を使って、私なりに下記に整理しましたのでご覧になってください。


1.「借金返済」と「社会保障」

コロナ禍前の国会予算は、102.6兆円
    内借金返済分は、 23.3兆円(2割借金返済)

よって実質使えるのは、 79.3兆円
 社会保障費(国家分)は、 35.8兆円(45%)
 社会保障費(地方分)は、 15.8兆円(計65%)

よって社会保障以外は、 27.7兆円

つまり使う予算の2割が借金返済、それから残りの65%が高齢化社会を支えるための社会保障だということです。


2.「追加の借金」

さらに、
コロナ禍前の国会予算は、102.6兆円
     内税収分分は、 63.6兆円

よって足りない分は国債、 32.5兆円(4割が借金)

つまり(2割借金返済)しても、(4割が借金)なので借金は増え続けるばかりで、プライマリーバランスは、 -9.2兆円(23.3兆円-32.5兆円)


3.「財政破綻? NO! but Yes?」

でも、この差分は消費税の4%程度なので、消費税を14%にすれば直ぐにバランスは取れるので、すぐに国家財政が破たんするというレベルではない。(このままではいずれ破たん)

(《参考》消費税1%で約2兆円の税収です。是非、皆さん覚えておいてください。)


ただ借金1000兆円は巨額。今の低金利だからできるだけ、「薄氷の上を歩く」状態。例)金利が1%上がるだけで、10兆円もの利息が増える!


4.「コロナ禍で借金さらに増加」

さらにこのコロナ禍で 57.6兆円が追加

コロナ禍後の国会予算は、160.2兆円(102.6兆円+57.6兆円)

プライマリーバランスは -66.1兆円(24.0兆円-90.1兆円)へと悪化。


5.「課題」

緊急事態の予算のはずが、恒常化する傾向が国家予算にはあるため、コロナ禍の後、元のレベルに戻すことができる必要がある。(例:リーマンショックの後、経済が正常に戻っても国家予算は戻らなかった。)


6.「希望的観測」

国家財政を立て直すために必要なのは、「成長戦略」。5年を目途に対策を講じる。

 ・官のデジタルトランスフォーメーション
 ・科学技術&イノベーションの推進
 ・集中から分散(デジタル田園都市構想)
 ・経済安全保障(セキュリティクリアランス他)
 ・環境・エネルギー(カーボンニュートラル)
 ・金融、宇宙、海洋


針の穴も通さないようなロジカルな説明に圧倒されました。
このような国会議員であれば官僚に論破されずに、意志を通せるだろうと安心した半面、希望的観測は「蜃気楼」のようにも聞こえました。

国の政策とは、一度走り出すと止めることはとても難しいためです。
とても多くの人たちが関与して利害関係が生まれると、早々止められない。原発政策、諫早湾干拓、他。

質問した際の返答は、しっかりとPDCAを回すと仰っていましたが、「C」がチェックではなく、チャレンジになっていないか不安がどうしても残りました。

日本の財政状況に危機感を持つことも重要ですが、他の国のことを知ることも重要です。たぶんどこの国も、さまざまな課題を抱えており、盤石な財政状況を維持できている国はないからです。過去の歴史が物語るように、戦争さえ引き起こすきっかけとなるのですから...。

いずれにせよ、私たちの国家です。国会議員だけに任せるのではなく、国民一人ひとりがより意識を持つことが求められると思います。

異文化コミュニケーション研究所(R)では、リクルートイベントで留学生にワークショップをしてもらいますが、母国の財政について説明をさせると、情報収集力、分析力、課題、プレゼンテーション力等々を知ることにもなり、とても役に立ちます。


異文化コミュニケーション研究所(R)
https://www.globalforce.link/
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