現代ポーランドの歴史・地理・社会的背景(2)

地域間発展格差の要因
前述の3分割、第二次大戦後の国境変更という歴史的要因が今日の地域間格差問題の根底にある。

大過を招いた第2次世界大戦後の復興を共産主義体制下で遂行することになるが、戦後もまた茨の道であった。

戦後から70年代に渡る約30年間、国家の工業化は確かに進んだが、この裏で政府指導部は農業セクターに対して「搾取的態度」を示し続けた。70年代に入りようやく農民を配慮した農業政策へと変換され、70年代後半には一般労働者と同等の社会保障制度も導入された。80年代入り農民の収入は増加しはじめ、80年代後半には一般労働者の水準を上回るまでに達したものの、農民生活の向上は表面的なもので、農業技術の発展や農地利用方法の向上を含めた構造的変化には至らなかった。このため、工業・商業で発展した都市部に対し、農村部の経済・社会・文化的後進性は温存され、工業地域と農業地域間の格差が拡大する結果となった。

内政政策のテコ入れを強いられた政府は1975年、それまでの17県制を廃止し49新県を創設する行政区分改革を断行したものの、各地域はかえって統合性を欠いた発展を辿っている。

つまり、国家三分割、国境移動、強制移住といった要素は共産主義体制に突入する時点においてすでに経済的・社会的・文化的地域格差として表れており、この傾向は共産主義時代を通じて是正されなかったといえる 。



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