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日大アメフト問題:「人は目で聴く」関東学生連盟 専務理事 森本氏の「好プレゼンス」

関東学生アメリカンフットボール連盟(関東学連)が29日に行った会見について、印象的だったことを備忘録として。

登壇者は左から森本啓司 専務理事、柿澤優二 理事長、寺田昌弘 監事。
遅れて始まったこの会見を見ながら、登壇者の会見場入室時から「この人は誰だろう?」と最初から目が釘付けとなったのが専務理事の森本啓司氏。

体幹がしっかりしているぶれない動き方で姿勢が良く、お辞儀も深くキレが良い。
原稿があるとはいえ、今回の問題について連盟が調査した結果と決断を冷静にわかりやすく説明。話すスピードも言葉も聞き取りやすく、人前に出ること・話すことに慣れている。
 
何が素晴らしいって、会見場に出てきて記者の前に立った際のこと
映像39分46秒:ネクタイが曲がっていることに自分で気づく

映像39.49:ささっと直している

映像40.02:大写しにされた時にはネクタイが正しい位置になっている。
 
実際、テレビ画面に映った自分のネクタイがスーツの下で曲がっているのに気づいたのか、誰かが合図したのか、本当のことはわからないけれど、9割方前者でしょう。理由は、理事長は上着の前が入室時点で全開、その後も直していない。誰かが尚させようとして合図したのであれば、これに関しても当然合図があるはず。従って、誰かからの合図があったとは思えない。
(ただ、緊張していると関係者が合図を送っても目に入らないとも言えるのですが)
 
また、装いにおけるスーツ及び周辺パーツもシンプルかつオーセンティックで、バランス良く整っており、場面・目的・立場・ご自身を理解していて、”文脈に沿っている”ことがわかる。それが理由に、彼の全体像は記憶していても、服装が一つ一つどのようなものだったかに関しては、ほぼ記憶には残らないはず。(反対に理事長の服装、監事のネクタイは記憶に残ってしまう)。
特に今回のような状況や場面では、装いの特徴を記憶に残さないことで、本来言わんとしているメッセージとそれを話した人の顔を記憶に残すことができるわけだ。
 
人間とは、誠実に質問に応える姿勢や、落ち着いた話口調、丁寧な言葉使いのできる、安心して話を聞いていられる人にこそ耳を傾ける。「人は目で聴く」は真理だといういい例。
 
だからこそ、メッセージを発信したいのであれば、聞いてもらえる状況・環境としての、話す側の人間のアピアランスやプレゼンスを整えなくてはならない。
それと同時に、こういう場面では、誰を前に出して、誰に話させるかの人選も重要。大失敗例は、先日の日大会見の司会者。まさに人選ミスの最たる例。
 
連盟が調査した結果と決断報告だけでなく、その後の質疑応答も非常に明瞭。この連盟の誠実かつ理知的な判断ということを正確に伝えることができていた。
 
会見最後のお辞儀も、体の横に手をつけ、深く頭を下げ、それも急に教えられたり指示されたからやっているのではないことがわかる、ご自身の体の動きが見て取れた。
 
その後、退出前も、他のお二人が机に置いた手元の資料をガサゴソまとめている際にも、この方だけ落ち着いてきちんと立って待っている姿勢を崩さなかった。これは毎回会見を見るにつけ私がとても気になること。早くその場を立ち去りたい・逃げたい気持ちがありありと現れるので、気をつけねばならない点なのだが、それが彼にはないのがますます堂々とした姿勢を印象付けた。
 
無駄な物、無駄な動きが無いことは、これほどまでに本来伝えるべき明快なメッセージ伝達と潔さが伝わることを、世の中に発信したはず。
 
最後に、関東大学連盟としての責任の取り方について、説明を付け加え誤解を与えないようにという意思表示と配慮も非常に誠実さとして残る。
 
どういうバックグラウンドをお持ちの方なのかとサーチしてみたところ、私と同じように思う人は少なくない模様。今のところあまり情報はないようですが、今回の問題のように喜ばしくない方面の会見において、良い意味で目を引く貴重な存在とその「好プレゼンス」効果を知ることができた会見でした。
 
日大アメフト問題は、引き続き見守るとしましょう。

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