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映画『ホビット』EE版考察(二周目)

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主人公側から観てしまうと分かりにくい裏ストーリーを主観的合理性とリアリズム(IR)の観点から掘り下げる。全11回。考察一周目⇒ https://www.nicovideo.jp/…
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2022年3月の記事一覧

#8 王子として生まれてくるということ──グンダバド攻めの時レゴラス何してた?

当考察も第8回目。久し振りにもう一度確認。第2回の時に宣言した通りこの考察では時系列は無視していくよ。 原作時系列ではアングマールとの戦いが終結した頃、レゴラスはもう4ケタ歳なはずだけど、ここ以外にも色々時系列合わないとこあるからね。 【拙訳】 レゴラス「母はその戦争で亡くなったんだ。父はその時のことを話さない。お墓もない。記憶もない。何もないんだ」 キーリは生きて帰って新しい家族を母に会わせたかった記憶がないのは単純に考えて物心つく前だったから。 トールキンの設定では

#7 なぜ“黒い矢”は必要だったのか──スランドゥイルの虎の尾を踏んだギリオン

そんなわけで、ルールに従って淡々と掘り下げていくと、ちゃんと矛盾なく収まる。つまり弩砲(”風切り弓”と”黒い矢”)以外にも竜を倒す方法はある。 でも真似したくはない。 第7回目はじゃあ"黒い矢"の意義は何なのさ?ってとこ掘り下げてくよ。 そもそも”エレボール”こそ自国にバリスタを配備すればよかったよね。なのにバリスタは”デイル”にしかなく、ドワーフたちは剣や槍といった近接武器だけで対峙してた。「ウロコは現存するどんな鎧よりも硬い」と知っていたはずなのに。では逆にデイルが

#6 レゴラスの母の死 どこまで掘り下げられるかやってみた(後)──”黒い矢”以外で竜を倒すたった一つの方法

さて"闇の森"参戦の条件が揃った前回。第6回目はその続きから。 ここまで"北方の竜"の話は出てきておらず、エルロンドもガンダルフもスランドゥイルも、誰ひとりとして北方の竜を予見していなかった……のであれば一体竜はどこに? 竜の生息地は闇の森の「北方」にある。案外近い所に棲んでた。でもスランドゥイルは一度しか顔を突き合わせてない。一瞬で生物を焼き切るような怪物にあえてちょっかい出す必要ないもんね。それはグンダバドにとっても同じ。現実世界でだって野生動物とは棲み分ける。「エサ

#5 レゴラスの母の死 どこまで掘り下げられるかやってみた──"闇の森"はなぜ参戦したか?

さて第5回目は作中に全く登場しない人物。レゴラスの母の死はどこまで掘り下げ可能か限界に挑むよ! さて…死んだと聞かされているママのお墓がない。お墓がないのは埋葬する対象がないからで、ということは本当は生きてるか、遺体を回収できなかったか──。 【拙訳】 スランドゥイル「レゴラス…母さんはお前を愛していたよ…この世の誰よりも…自身の命よりも」 そう…つまり、レゴラスの母(闇の森の王妃)の最期…遺体を回収してあげられなかったのです。 【拙訳】 レゴラス「かつての敵だ。"ア