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映画『ホビット』EE版考察(二周目)

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主人公側から観てしまうと分かりにくい裏ストーリーを主観的合理性とリアリズム(IR)の観点から掘り下げる。全11回。考察一周目⇒ https://www.nicovideo.jp/…
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2022年2月の記事一覧

#4 全力でギリオンの名誉を回復する──定住民族vs移動民族 解り合えない私たち『デイル魂』

第4回目は"デイル"の話を。 デイルはスマウグが”エレボール”を襲撃した際、目と鼻の先の地理なために巻き添えになった隣国。エレボールだけがスマウグの被害者じゃないんだね。 【拙訳】 ビルボ「それは理不尽な死だった。スマウグにとって人間の街に価値はなく、その眼は別の獲物を捉えていたのだから。邪悪で貪欲な竜は金に垂涎していた」 なのにデイルは同情して貰えないばかりか、デイルの領主ギリオンが悪かったことにされている。 【拙訳】 統領「我らが忘れちゃいけないのはギリオンの不始

#3 魚を食べないなら川上から出て行け──闇の森とエスガロスの地政学『エスガロス魂』

それでは前回の続きから、映画『ホビット』EE版の考察。助けに来なかった者たちについて。 スマウグに襲われる”エレボール”を助けなかったのは、スランドゥイルだけじゃなかった。実際には同族のドワーフを含め、誰ひとりとして助けには来なかった。 人間たちの国”デイル”がスマウグに応戦したのは、あくまで巻き込まれた自国を守るため。 【拙訳】 ビルボ「それは理不尽な死だった。スマウグにとって人間の街に価値はなく、その眼は別の獲物を捉えていたのだから。邪悪で貪欲な竜は金に垂涎していた

#2 なぜキーリだけ命懸けの旅で恋に現(うつつ)を抜かしているのか──全ての登場人物は合理的に動く

第二回は、この考察の掘り下げ手法やルールについて触れながら表題を紐解いていくよ。このシリーズは映画『ホビット』EE版(エクステンデットエディション版)の考察だよ。劇場公開版の方ではないよ。そして原作の考察でもないのだ。 考察一周目も二周目も同じルールで掘り下げてるよ。 全ての登場人物は 主観的であり 合理的に動く主観的とは、それぞれ立場が違うこと。知り得る情報には限界があること。特に他者の心の内は知りようがないこと(相手の心は見えない)。 合理的とは、リスク及び損失を最

#1 何故スランドゥイルはエレボールを助けなかったか──前回言及しなかった最初に戻り考察二周目を始める

※映画『ホビット』EE版(エクステンデットエディション版)の考察です。劇場公開版の方ではありませんので注意! 読者が映画視聴済みであることを前提に執筆しています。 今回は、ここnoteで考察の第二段を語っていきます。 前回の考察では、首飾り”ラスガレンの白い宝石”を中心に、エルフ王スランドゥイルを掘り下げ、主人公側から観てしまうと気がつきにくい、スランドゥイル側の親子の物語を示しました。 前回の考察『スランドゥイルの首飾り』(※以下:考察一周目) この考察一周目では一