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発信の苦手なGK、note始めます。


自分のことについて発信をするのは、正直苦手です。


現在プロサッカー選手として活動する私は、思いを言葉にするというよりも、どちらかというとプレーで示したいタイプ。口だけの人には誰もついていかないし、まずは行動で示すことが大事だと思っています。


でも、1年くらい前からチームでキャプテンを任せてもらうようになったことで、最近は少しずつ言葉で伝えることも増えてきました。


これからは、
行動と言葉の両方で思いを伝える。
そのための一歩として、noteでの発信を始めてみたいと思います。

・・・

実は、約2年半前に私は、
選手生命に関わるケガをしました。
当時は、同じケガをした人は周りに誰もいませんでした。

その後、
同じケガをした仲間に会う機会があったときに
症例が少なくて大変だったことなど、お互いに共感することがたくさんありました。

ーーーこのケガで苦しんでる選手が、全国にいるのではないか。自分がそのときのことについて発信することで、1人ではないと思ってもらえるのではないかーーー

そんなことを考えて、最初はこのケガのことを発信しようと思いました。

あのときの自分と同じように、今ケガで苦しむ人にとって、少しでも励みになったらうれしいです。

手術をしても、治るかはわからない

海外のデータでは、治る可能性は半分ほど。

医者からそういわれるケガをしたのは、
2020年のシーズン中のことでした。


リーグ戦終盤の、アウェイでの試合。
相手のオフサイドでのフリーキックで、軸足を踏み込んだときに、ぶちぶちと音が聞こえました。
「え、なんでだろう」「自分の膝かな」と最初は不思議に思ったのを覚えています。

そのまま試合に出場していたけれど、徐々に強くなる膝の痛み。
ハーフタイムには立つことさえできなくなり、GKコーチにおんぶをされて退場しました。

交代してベンチで観戦していると、座っているだけで増していく痛みに「これは当分プレーは無理だな」と感じていました。


この膝はどうなるんだろう……と不安を抱えたまま病院に行って言われたのが、

「復帰できたとしても、ケガをする前と比べて8割のパフォーマンスしか出せない」

という言葉。
このときは、かなりメンタルが落ちました。

私のケガは「左膝膝蓋腱(しつがいけん)損傷」というもので、膝のお皿を繋ぐ腱が部分的に切れてしまうものでした。

膝蓋腱は他の腱よりも強いことから、切れることが少ないらしく、その医者も初めて見たと言っていました。


手術しても復帰できる可能性は半分ほど。
手術をしないまま、リハビリで良くなるかはわからない。

「手術」か「保存」か。
選択を迫られた結果、手術はせずにリハビリで治していくことを決めました。

正直なところ、特別な決め手があったというよりは、手術して「何が変わんの?」と思ったのが本音です。最終的にはトレーナーさんと意見が一致したことで、手術をせずにリハビリを行うことにしました。

このときはまだ、治る気がする!という変な自信を持ち合わせていたけれど。リハビリを進めるうちに、だんだんとマイナス思考に陥っていきました。

人生で初めての「終わりの見えないリハビリ」

最初は歩くことも困難で、松葉杖で生活していました。
すぐに松葉杖はとれたけれど、少しの段差で膝崩れを起こしてしまう。3日歩かなかった左足はすぐに細くなってしまい、体重を支えることができませんでした。

まずは炎症を抑えることに重点を置いて、
上半身は筋トレ、下半身はとにかく、電気・アイシングを繰り返す毎日。
1週間経っても痛みが引かなかったのを覚えています。

元々自分は、ケガをしたとき。
「全治○ヶ月」と言われたら、言われたメニューよりも多くリハビリをこなすことで、復帰を早めようとするタイプでした。

でもこのときは、
初めての、復帰までの期間がわからないケガ。

わからない状態でも、
一個ずつ進めていかなくてはいけない。

どんなにリハビリをしても焦りが生まれてきて、もうサッカーできないのかな、サッカーしたいな、と弱気になる自分がいました


炎症がおさまってからも思うようには回復せず、特に、太もも前の筋肉がつかないことが悩みでした。

足の筋トレでは、たった4キロがすごく重たい。筋力測定でも、目標の数値を超えないと次のリハビリに進めないのに、どうしても到達できない。


誰にもその姿は見せなかったけれど、
正直きつくて、何度も泣きました

このときもまだ、復帰できるかどうかがわからない中でのリハビリだったので、これからずっとプレーできないかもしれない焦りや不安を隠しながらリハビリしていました。


みんなサッカーして頑張ってんのに
なにしてんだろ自分、って。

笑顔でいるのが辛かったです。


サッカーをしているチームメイトをみるのも辛くて、クラブハウスに行くのが精神的にきつくなりました。
でも、家に1人でいるとマイナスなことばかり考えてしまうから。なにも考えない時間を作るためにも、結局ずっとクラブハウスにいて、リハビリをしていました。

メニューを行いながら、
自分の身体の反応を細かく気にする。
体がきつくても毎日やり続ける。
1回で判断せずに、何週間かやって「これは続ける」「これは向いてない」と判断していく。

色んな人に教えてもらったメニューは全て、片っ端からやりまくることで、不安と闘っていました。


普段はそこまで物事をマイナスに捉える方でもないですが、この膝のケガに関しては常にネガティブだった気がします。プラスになった記憶がそんなにありません。

でも「またサッカーがしたい」という思いだけで、なんとか自分を奮い立たせていたと思います。

このケガを経て変化したこと

そしてケガから、約4カ月後。
多くの人に助けてもらいながら、チームの練習に合流することができました。

私の復帰に向けて本気で悩み、考え、
時間を使い続けてくれ、寄り添い続けてくれたトレーナー陣には、
感謝してもしきれないくらい、いろいろなことをしてもらいました。

振り返れば、たった4カ月かもしれません。

でも、自分にとって
「復帰できるかどうかわからない」「復帰しても8割までしか戻らないかもしれない」中での、4カ月は、本当に長かったです。
絶望的な気持ちでいることが多かったし、もう二度と戻りたくないなと思います。

でも、その時間があったからこそ、
前の自分と変わったと感じることもあります。


それまでも、ケガをしている選手に対して、かける言葉には気を遣っていました。
けれど、その選手たちの気持ちをしっかりとはわかっていなかったから、今思うと、本当の意味では寄り添えてはなかった気がします。

「いつ治るの?」とか「(復帰まで)今どの辺なの?」と言われることさえも、しんどくなるんです、長期離脱って。終わりが見えないリハビリのときは、なおさら。

この経験をしてから、何も話しをされていないのに、相手の気持ちを勝手に決めつけて声をかけるのは、ちょっと違うのかなと思うようになりました。

「お前に言われたかねえよ」みたいなの。
あるじゃないですか、たぶん。

そこまで強く思わなくとも、自分とあなたのケガは違うのに、と思う人も絶対いる。

だからこそ、ケガのことには触れずに、他愛もない話をすることは、すごい大事だなと感じました。
そのうえで、相手がケガのことについて話してきたら、ちゃんと話を聞く。

ケガをしている人に周りは、寄り添うことしかできないのかもしれないと、今は思います。

でも、寄り添ってくれる人がいるから、ケガを乗り越えることができる、とも思いました。


吐き出す場所を作ってほしい

そして、
もし同じようなケガをしている人がいたら。
1人で抱え込まないでって伝えたいです。
……まじで。

信頼できる人であったり、聞いてくれる人に、
きついだの辛いだのいうべきだと思う。
ムカつくでもいいし。なんでもいいから、吐き出すべきだと思います。

いやいや。
弱いとこなんて見せられない。とか。
どうせわかってくれないから話さない。とか。

思う人もいますよね。すごくわかります。
自分も、あまり表に出せないので。

いった方が楽になるっていうのも、自分でもわかってるけど。
でも、それが難しいんですよね。

でも、それでも。
吐き出さないと、自分が壊れちゃうから。

自分にも言い聞かせてるくらい、
吐き出すことは大事だと思っています。


……どんなに考えても、結局
「そんなこといえる人なんていないよ」って人には、自分がいるよって言いたいです。

さっきもいったように、
自分は、人になにも言わないんじゃないかなと思う。なにも言えない、とも思う。

それでも、寄り添ってほしい人がいたら、言ってほしい……なんてことを、今の自分は思っています。


少しでも「明日も頑張ろう」と思ってもらえるように


やっぱり、
自分のことについて発信をするのは苦手です。

今も、すごく緊張しています。

でも、
自分の経験や思っていることを伝えることで

誰にも打ち明けられずに苦しんでいる人に、
「明日もがんばろう」と少しでも思ってもらえたら。


そんなことを思って、
これからnoteで発信していけたらと思います。


今後ともお付き合いいただけたらうれしいです。

※実際にリハビリで行っていたメニューなどが気になる方は、こちらまでご連絡ください。
時間はかかるかもしれないですが、しっかりと返します。

※通常のTwitterアカウントでは、DMの返信は行っていません。

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