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【日本酒】"国際唎酒師"資格取得までの方法と費用などについて

タイトルにあります通り、SSIこと"日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会"さんの定める国際唎酒師の資格を取得いたしました。

数ある資格の中で国際唎酒師を選択した理由と、取得までの流れについて紹介したいと思います。

※費用や期間に関しては2021年4月現在の情報となります。


国内における日本酒関連の資格について

日本酒を好きになってから、たくさんのお酒を飲むようになりインターネット等で記事を読み漁るようになって「もっと日本酒について造詣を深めたい」と考えるようになり、日本酒関連の資格について調べました。

・唎酒師(国際唎酒師含む)

・SAKE DIPLOMA

・日本酒検定

・新潟清酒達人検定 

・酒匠 etc...

調べてみると結構な数の検定や資格があることがわかります。


唎酒師は「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会」による販売者向け資格で、近年では自分のように一般消費者でも興味があって資格取得をする方が増えています。日本酒検定・酒匠も同団体による資格で、日本酒検定はよりライトな消費者向け、酒匠は日本酒だけでなく焼酎も含めたテイスティングも必要な、より専門的な資格です。


SAKE DIPLOMAはワインソムリエとしても有名な田崎真也氏が会長をつとめる「一般社団法人 日本ソムリエ協会」による日本酒の資格です。こちらはテイスティングを含めた二次試験まであり、唎酒師よりも難易度が高めの資格となっています。


新潟清酒達人検定は「新潟県酒造組合・新潟県酒造協同組合」による資格で、新潟県の日本酒に対して愛着や興味を持ってもらうことを目的とした検定です。金・銀・銅(1~3級)とあり、金の達人はテイスティングの他に作成した小論文が評価基準とのことで難易度が高めとなっています。


また、検定にはありませんが、SAKE DIPLOMA・唎酒師のいずれも認定料や入会費、資格維持のための年会費が必要となります。これは日本酒を扱わなければ飲食関連ですらない自分にはかなりの出費となります。

参考にSAKE DIPLOMAは

一次試験:29,600円

二次試験:14,210円

認定料:20,950円

入会金:10,000円

と1回の受検で合格した際に 合計74,760円。これに加えて、年会費:15,000円 


唎酒師は1日か2日での会場での講座を含むコースや通信コース、インターネット教材を使ったeラーニングコースなどがあります。1日で内容についての講義を受けて1年以内に受検する「1日通学コース」での受検を仮定すると

受講受験料:58,800円

認定料:25,000円

入会金:19,000円

と合計102,800円。これに加えて年会費:15,900円 が必要となります。


キツい… いずれの資格を取得するにせよ10万円近い費用が必要で、それに加えて年会費が必要となります。仕事の為ならともかく、趣味の為に出費する金額としては決して小さくない、むしろ大きすぎる金額です。どうにか方法はないのかと調べていて辿りついたのが「国際唎酒師」でした。


国際唎酒師の詳細と取得にかかる費用などについて

国際唎酒師とはインバウンド客など消費が拡大してきている海外向けの唎酒師資格です。国内からは英語、中国語のみの受検しかできませんが、フランス語、韓国語でも実施されているようです。

公式のページを確認しても国際唎酒師に関しては年会費の記述がなく、年会費が不要な模様。おそらく、日本国外から受検する方もおり定期的に年会費の徴収が難しいからだと考えられます。

そうなると次に考えるのは国際唎酒師の取得方法です。取得方法には3つあり、

1)自身で勉強し国内会場で受検する方法

2)通信プログラムでの受講

3)国外向けの提携学校での受講…となります。

1)の受検は東京・大阪・石川・北海道の4会場で受験し、合格後に別途書類が送られてきて正式に認定されます。費用は受験料25,000円と認定料5,000円の合計30,000円です。

2)の通信プログラムはテキストと共にレポートがあり、3回のレポート課題(最長で1年間)を提出し、3回とも合格ラインに達していれば認定証などが送られてきます。費用は教材、認定料、認定証(証書、胸章)など全部ふくんで合計60,000円です。

3)に関しては海外の認定校での講座と受検となります。詳細は各校により変わってきます。国内での受験を考えている方には関係してこないと思われます。

自身で勉強して受験をする方が半額と割安となっていますが、感染症の流行もありましたので会場での受験を断念し、通信プログラムでの取得を選択しました。


国際唎酒師 通信プログラム詳細について

公式ページで申し込み後、Paypalでの送金が完了すると1週間程度でテキストやレポート課題が送付されてきます。写真に使用感がある点に関してはすいません(笑

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テキストは当たり前ですが、全て英語です。日本語版のテキスト「日本酒の基」と比較すると内容はほぼ変わりありませんが、国際唎酒師のテキストにのみ世界のアルコール飲料とその特徴について記載があります。

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通信プログラムは以下の様なカリキュラムになっており、それぞれの内容に対する課題レポートを提出すると、翌月末までに採点結果が送付されてきますので、合格すると次のカリキュラムに進むようになっています。

第一回

 ・Requirements for a successful kikisake-shi
 ・Alcoholic beverages:the basics
 ・Sake history

第二回

 ・Ingredients of sake
 ・How sake is made
 ・Sake labels

第三回

 ・Sake tasting
 ・Serving sake


第三回に関してはテイスティングと日本酒の提供に関係する内容になっており、テイスティングのレポート用に自分で2種類の日本酒を用意する必要があります。唎酒師の通信プログラムだとテイスティング用の日本酒がありますので、ここも異なる点となります。


取得に関して皆さんが気になるのはレポートの内容と難易度だと思います。詳細な内容に関して開示するわけにはいきませんが、4択の選択問題と、問われたものに対して英文で内容を説明するDESCRIBE形式の問題、お酒に関連した自分の考えを英文で述べるレポート式の問題があります。唎酒師の試験問題と大きな差はないようですので、唎酒師用の過去の例題を参考にしてみるのが良いと思います。


また、国際唎酒師の試験やレポート作成にあたるうえで一番の点は全文が英文というところです。自分のTOEICのスコアは550点で英語は得意とまで言えるレベルではありません。日本語でなら回答できる問題も英語となっているため、回答が難しいと感じることもしばしばありました。

DESCRIB形式問題の一例として「水とは何か説明せよ」といった設問があります。テキスト内での説明をかいつまむと「水素と酸素の化合物で無味、無色透明な液体」といった記載があるのですが、それを自分の力で英訳して答える必要があります。レポート課題の提出なのでテキストや辞書を片手に出来ましたが、試験会場でサラッと英訳して回答できるほどの自信はありません。設問はこのような自身での受験を考えている方はこれを回答できるかを目安にしても良いかもしれません。


通信プログラムが完了した後について

こうして3回のレポート課題を提出し、合格するとその旨のメールがあり、翌月末に認定証書とステッカー、胸章などが送られてきます。ステッカーは飲食店や酒販店用のものです。

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自分は今回の取得で英語の復習にもなりましたし、発酵(fermented)などといった普段つかわないような単語を身に付けたことで以前よりも英語で日本酒を説明することに対する苦手意識が薄れました。国際唎酒師としての真価が発揮されるタイミングはなかなか来ないかもしれませんが、いち日本酒好きとして知識が深まってよりいっそう日本酒を飲むことが楽しみになりました。

興味はあるけど、普通の唎酒師の資格はお金がかかりすぎる…といった方や海外の人と日本酒について話す機会がある方は検討してみても良いかもしれません。

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