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休日に美術館へ行く大人に

休みの日何をしていましたか、と聞かれた。
たまたまその前の週末はバンクシー展に行っていた。

「壁じゃなくフムスを作ろう」というメッセージや、世界一眺めの悪いホテルと呼ばれるウォールドオフホテルといった皮肉の効いたアート、それからコロナ禍にInstagramで投稿した家の中のネズミのアートを見て何となく記憶に残っていて、行くことにした。
誰かと語らうほど詳しくもないので、ひとりで朝っぱらの時間帯のチケットを取り、朝の原宿へ向かった。

そんな話をしたら、質問してきた人はこう言った。
「私も休みの日に美術館に行くような、そんな大人になりたかったんですけどね」

その人は二十代後半。
これからでもなればいいのにと反射的に思った。
なんですでに諦めモードなんだろう。

チケットを取って行くだけで理想としていた大人像に一歩近づけるのに。
チケットはたかだか1,000円、2,000円。
行動するかどうかが、理想に近づけるかを決めるのだ、と改めて思った。

かくいう私も「美術館とか展覧会とか博物館とか、そういう遊びを知ってる大人ってクールだよなー。いつかそうなりたいなー」と思っている二十代だったことがある。

友達から「〇〇展あるよ。行かない?」と言われたら(何着ていけばいいんだろう…。しかも絵画なんて全然わからないし…)と思いつつも行ってみたし、そこで絵の素晴らしさがわからなくても気にしないことにした。

有名な人が手がけた衣装展とか、建築を学んでいたわけではないけれどなんとなく名前を聞いたことあるから、という理由だけで建築家の展示を見に行ったりした。
美術や芸術がわからなくても行って経験するってことが大切なのだと思う。
そのなんとなくの感覚に導かれて、花森安治の暮しの手帖展に行ってから、そこから芋づる式につながっていった趣味や興味が今もたくさんある。

年に1、2回でもいい。頻度が多いことだけが趣味と名乗れるという法律があるわけでもない。
軽い趣味と、どっしり重たい趣味とどっちもがあっていい。趣味がたくさんあれば人生が豊かになっていく気がする。推し1人に傾けていると、そこに何かあったときにしんどくて立ち直れない。そういった外的要因にやられないためにも、趣味をいくつか持ってぜんぶつまみ食い、そんなスタンスで私は趣味を楽しんでいきたい。

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