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最近読んだ本紹介【日記:2023/6/14】

①鉄鍋のジャン

料理系・美食系の作品といえば、漫画・アニメ・ラノベと沢山ありますが、そのことごとくを私は履修できていないんですよね……
単純に巻数が多くて触れずらいっているのもあるんですが、それ以上に私が食に対してさほどの興味がないせいだと思います。
食によって人が変わると信じられていないから、その手の作品を”お料理豆知識”と”リアクション芸”ありきだと思い込んでいる節があるから、だからそれらにリアリティを感じられず見ていて乗り切れないのかもしれません。
(物語としての都合だったりすると思うけど、料理の腕だけで伝説級の幻獣とかを仲間にしたり~とかは無理があるんじゃ?と思ってしまう……)

……という偏見込みで読み出したのですが、『鉄鍋のジャン』面白ぇ!
「料理は勝負」と言い放ち、審査員を昏倒させたりして他の参加者の料理を食べさせないなど外道戦法をも厭わない、主人公『秋山醤』のダークヒーローぶりはインパクト抜群ですし、脇を固めるキャラもちょうどいい。
(この世界で料理通・食通は性格が終わっている奴しかいないのか?というのは気になりますが……まあ面白いからよし!)
料理バトル漫画としては邪道なのかもしれませんが、あまり食に興味がないタイプの人間が読む”最初の”料理バトル漫画としては一番向いているかもしれません。全22巻+続編があれこれと比較的短めだしね。

②元彼の遺言状

しばらく前から、個人的にミステリーブームが来ていて積んでいたミステリー小説を読んでいます。この本は1カ月ぐらい前に有隣堂のYoutubeチャンネルで、作者の方が出られていて紹介されているのを見て買ったっきりかな?
面白い予感はしてたんですけど、普段文庫本サイズばかり手に取っているもので、単行本サイズの大きな本には少し委縮してしまう所があります。

で、実際に読んでみた感想なんですけど、とても良かったです。
ざっくり言えば、”元恋人の富豪のお坊ちゃんの残した遺産を受け取るため、依頼人を犯人に仕立て上げようと画策する弁護士が主人公の遺産相続ミステリー”、という派手で見目を引くあらすじなんですが、意外と中身は堅実な仕上がり。
主人公の「剣持麗子」も”恋人が渡してきた指輪の値段の安さを詰める”という守銭奴系悪女ムーブを冒頭2ページでやってのける女傑ですが、読んでいくと意外と常識人で、自分の性質に多少なりとも苦悩しているのが分かるので個人的には結構好感が持てますね。
ミステリーの真相としては、物凄く良かったというタイプの話ではないように思えましたが、その分主人公を軸にした成長物語としてのミステリーとしてはとても楽しめました。ミステリー好きなら買いですね。

ちなみに章タイトルがTYPE-MOON作品みたいでカッコイイ

③サユリ

昔から、ホラーというジャンルはさほど好きではありませんでした。
別に苦手とか嫌いという訳じゃないんですが、楽しみ方がいまいちわからないという感じ。幽霊は未だ見れていないので、いまいち恐怖の対象にできるほど信じられていないし、不良が多い田舎出身なのもあって、「ヤンキーとか半グレとかの方が正直怖いしな……」と考えしまうんですよね。
(スプラッター系に出てくるヤバい殺人鬼とかはちょっと怖いけど、「そのレベルになるとこっちも本気だし」とか思ってしまう。極限状態の殺し合いならワンちゃんこっちも殺人鬼に勝てるかもしれないけど、日常の延長として考えるとヤンキーに殴り合いで勝てるとは思えないし、そもそも勝ってしまったらその後が大変だという理性が働いてしまうから。)

ただまあ、食わず嫌いもいけないのかなと思っており、最近では少しずつこのジャンルも嗜むようにしています。それで読んだ一冊がこの作品。元職場の後輩からオススメしてもらいました。
で、読んだ感想としては、主人公の婆さんがめちゃくちゃ最高です。
老人とは思えない圧倒的な生命力の持ち主で、霊に憑り殺された自分の家族の復讐として霊の家族をハイエースしてくるというヤクザもびっくりの無法者。彼女が出てきた瞬間からの安心感たるやですよ。

ただ、面白かったんですけど、ホラーとしてどうこうっていうのはやっぱり特に感じなかったのは残念です。
「怖がらないなんて凄い!」みたいなことたまに言われますが、ホラーに関しては間違いなく怖がれる方が得ですから。皆様はお化け屋敷に行って、お化け役のスタッフに挨拶するような人間にはならないで下さい。

④ロクでなし魔術講師と禁忌教典

ファンタジー系の作品を見てると思いますが、みんな”魔術”や”魔法”の設定をどうするかひどく悩んでいる気がします。
昔からそうですが、特に近年オタク業界ではファンタジー系の作品が大流行、”魔術”や”魔法”の概念もそりゃあ溢れかえる程氾濫しています。
だから、どうあがいても既存の作品と理論が似てしまうのはしょうがないんですが、やっぱり作家として独自性を出したいと思う人が多いんでしょう。
あまりにも深堀しすぎて意味不明にならないよう、それでいて新しさを感じさせられるよう苦心している姿が見られます。

その点で言うと、本作はかなり上手くやっているように感じました。
魔術を式のような形で、半ば科学的に扱っている例はいくつか見たことがありましたが、呪文の区切り方や長さという部分に着目し、詠唱破棄ができないが強い主人公というものを作り出したのは脱帽です。
全体的な世界観も中世ファンタジー真ん中、というよりは近世イギリス的な雰囲気もあって格好いい。より具体的に言えば、TYPE-MOONとかとある魔術の禁書目録に出てくるような魔術の雰囲気というか。
(現実で言う所の『黄金の夜明け団』などの魔術理論に影響を受けている気がする。)
まあともかく、魔術を扱ったライトノベルとしてはちょっと一昔の雰囲気があり、今時ありがちなゆめかわファンタジーを苦手としている私としてはとても楽しめました。私みたいな小五月蠅ぇオタクにはとてもオススメです。

女の子も可愛いしね。こういう謎制服、謎髪型、謎リボンを見るとライトノベルを読んでいる気がしていてとても安心します。

にしても、この作品の制服は役満レベルだと思うけど……

⑤犯罪捜査の心理学: プロファイリングで犯人に迫る

最近見た映画に”プロファイラー”のキャラクターが出ていて、どんなことをしているのかが気になり購入。
読んでみて初めて知ったのですが、プロファイリングってほとんど統計学みたいなものなんですね。
さすがにフィクションに出てくるような、会って一目見ただけで人の特徴をズバズバ言い当てるようなスーパーマンだとは思っていませんでしたが、もう少し演繹的な手法を取るものだと勘違いしていました。
後、まだまだ技術として若い手法だというのも知らなかった。
昔の名探偵は素でプロファイラーみたいなことをしていたイメージがありますが、確かにキャラとしてそれっぽい人が出てくるのは1900年代後半以降の作品だったりするしなぁ。

なので、現実としてはまだまだデータ不足、技術としては未完成らしいのですが、いつかの未来になったら『PSYCHO-PASS サイコパス』みたいに統計からの予測とかで犯人が見つけられるようになったりするんですかね?
個人的には、倫理云々の前に統計にあんまり信頼をおいていないので無理なんじゃないかと思っていますが……一個一個の影響が弱い物ならともかく、犯罪みたいな一個のウェイトが大きいものの例外を予測するのは無理な気がするし。まあ、ベイズ統計が分かんな過ぎて勉強を放り投げた人間のいうことなんて当てにならないでしょうけど。

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