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最近読んだ本紹介【日記:2023/5/25】

①みずほ、中学生、世界崩壊は突然に

『バタフライ効果』という言葉がある通り、この世は些細なことをきっかけに滅びても可笑しくはない。大型隕石の軌道がちょっとずれて地球に落ちてくれば、独裁者がヤケを起こして核の発射スイッチを押したら、些細なミスで致死性のウイルスが研究所から漏れだしたら…可能性はいくらでもある。
世界や大事な人をそんな危機から救うため、何度もタイムリ―プして活路を探すというのがいわゆるループものの基礎プロットで、多くの場合そんな物語は壮大でシリアスな雰囲気に満ちている。
本作も広義の意味ではそんなループものの一作なのですが、随分雰囲気が違う一話完結のオムニバスコメディ。
まだまだ始まったばかりで、これからどうやって展開していってくれるかは分かりませんが、現状面白い。星新一のショートショートみたいに、笑えるんだけどどこか”確かに”と思わせるような、そんな興味深い作品です。

②ジキル博士とハイド氏

最近、図書館に通うようになり、いつも一冊は古典文学を借りるようにしている。古典も面白いのだが、青空文庫で借りると読む気力が湧かなくなることが多いので、返却期限という縛りをつけると読む弾みがつく。
それはそうと内容の話。多重人格物の原典的作品というだけあって面白い。
正体不明の謎の人物が、実は身近な何度も登場しているあの人物の別人格だった。現代では設定自体はありふれている「多重人格者」という属性だが、それが明らかになった時の心の盛り上がりを超えるものは未だにそう無い。特にそれが明かされる前に自分で気づいた時はもう最高。友人に「俺はあのシーンで気づいちゃったね」と自慢するついでに、さりげなく本作を読んでることをアピールすれば、格の違いを分からせることができてもっと気持ちよくなります。さあ、古典を読んで「違いの分かる俺」になろう!

③笑わせる技術~世界は9つの笑いでできている~

昨日の日記の好奇心に関する本のところでも書いたが、最近は人の感情に関する心理学の本に嵌っている。
一応これでもたまに小説を書くなどしているので、物語作りの参考用だ。
こちらは世の中にある笑いを9つのパターンに分類し、それぞれが笑える理由や実例を紹介した本。心理学的なエビデンスに富んでいるというわけではありませんが、9つのパターンが笑いになる理由は納得感があり、実例も分かりやすかった。
あるあるネタは何故面白いのか、漫才は何故ボケとツッコミの分業制なのか、コントの舞台でやたら葬儀場が多いのは何故なのか。
基礎的な考え方のベースができると、物事に対して感想を抱くことができるようになるので良い。
今まで流していた、お笑いの有名なネタでも見返してみようかな。

④いじめるヤバいやつ

前に『放課後ひみつクラブ』という作品を読んだ時に、「脊髄反射のユーモアは面白い」という風に書いたが、この作品もまさにそれ。
(余談ですが”脊髄反射のユーモア”って、上述の9つの笑いでいう所の裏切りと無茶の複合技なんだなと気づいた。どうりで難しいわけだ)
『ライフ』のような酷いイジメの話かと思いきや、出るわ出るわのイカれた馬鹿ども。気がつけばいつの間にか能力バトルもののような様相まで呈してくるし……いじめという題材で、こんなファンキーな作品が出てくるとは思わないだろ普通。作者の『中村なん』先生は天才ですね全く。
先日最終巻が出たところなので、一気読みするなら今ですよ。
おススメです。

⑤アサシンズプライド 暗殺教師と無能才女

本作とは直接関係ないが、最近昔買った脚本術の本を読み返している都合で、いわゆるプロット分析をしながら読み進めた。
おかげで本が付箋の生えた森みたいになっている。
それはそうと内容の話。
本作は、俗に言うところの”育成もの”と呼ばれるジャンルで、表紙の映っている二人が主人公。世界を脅かす敵が街の外を闊歩し、マナと呼ばれる特殊な力を使える貴族がそれを倒すという世界構造の作品。
で、そんな作品の例に漏れず、女の子の方が貴族にかかわらず力が発現しないので、男の方が家庭教師としてそれを教えるという流れ。テンプレと言えばテンプレなのだが、しっかり練られておりそれが面白い。
昔は誰も考えついていない独創的な作品を作りたい、などと思っていたが、こういうことで良いんだなと最近になって本当の意味で納得できるようになってきた気がする。
テンプレだパクリだと簡単に言ってしまうのは、自分の無知と読解の浅さを露呈するだけ。私も本作を深く読んだことで、ラノベにありがちなバディものの『W主人公形式』と『主人公&ヒロインのペア形式』の何が違うか理解できました。(本作はどちらかといえば、W主人公の方だと思います。)
何かに気づけた瞬間はとても気持ちがいい。気づきをくれたこの本には本当に感謝しかないです。

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