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【読書】五月病にならないための本8選

5月ってなんだか憂鬱。そんな人、多いと思う。私も毎年そう。
理由はわからない。わからないからこその苦しさみたいなものがある。
そんな時は、本に頼ろう。
ページを開けば、別世界。心が軽くなるような言葉。気がついたら没入していて、苦しみが少し和らいだ…?そんな瞬間を願って。

①赤川次郎「悪魔シリーズ」

第一作は「灰の中の悪魔」。おどろおどろしいタイトルとは対照的に、コメディ色が強いミステリーシリーズ。文章も比較的簡素で非常にテンポが良く、楽しくさらさらと読める。
このシリーズの何が良いかって、とにかく愛すべきキャラクターたち。主人公は花園学園の名物仲良し3人組。由利子・旭子・香子。3人の周りで事件が起こり、解決目指して奔走する、というのがこのシリーズの定石。
ちょっぴり彼女たちを紹介すると、由利子はボーイッシュで大胆。旭子は役者志望でたびたび変装で活躍。香子は資産家の一人娘で超お嬢様。
このでこぼこ3人娘の掛け合いと活躍が、元気をくれること間違いなし。

②平松洋子「肉まんを新大阪で」

“どんな時でも読めば食欲が湧いてくるエッセイ70篇を収録した文庫オリジナル”と、裏のあらすじにあるが、実際この本は私自身もメンタルが疲れている時に読んでひたすら癒された。
私は食べることが好きだけれど、そんな“食べること”の喜びの世界を広げてくれる…と言うとまあ本当なんだけど少し大げさかな。どちらかというとサラッとしたお茶漬けのような味わいの一冊に仕上がっていると感じる。ので、気楽に読めます。それはもう。
いろいろな場所やいろいろな美味しいがどんどん登場する。美味しいものを求めて旅をするような気分なのに、ベッドの上で、ソファに寝そべって、好きなところで楽しめるのが良い良い。

③江國香織 「泣く大人」

心が苦しい時は江國香織のエッセイを読もう。何度でも。
“大人”になって良かった。最近よく思うこと。私がそう思うのは、やっぱり大人は“小さな贅沢”ができるから。ここにはそんななんてことのない、それでも大切な事柄のヒントがたくさん転がっている。朝のお風呂、気の赴くまま読書、ドラマの一気見、好きな献立、ソファで映画、夜更かし…“贅沢と言うのは日常にこそするものだ”とあるが、疲れている時にそんな小さな贅沢が、私たちを癒してくれるかもしれない。
その他「泣かない子供」「やわらかなレタス」「旅ドロップ」などもおすすめ。

④近藤史恵 「タルト・タタンの夢」

商店街の小さなフレンチレストラン、ビストロ・パ・マル。シェフ三舟の料理は気取らない、本当にフランス料理が好きな客の心と舌を掴むものばかり。そんな彼が客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎を鮮やかに解決。料理とミステリー。最高の組み合わせ。登場する料理たちの美味しそうなこと!良いなと思うのは、見たことがなくても、それがどんな料理なのかよくわかること。舌の上で想像が膨らむ。個性的なキャラクターも魅力的でメインの4人の掛け合いがなんとも楽しい。ここには殺人も強盗もない、言うならば“心ほっこり”ミステリー。

⑤リチャード・カールソン 「小さいことにくよくよするな!」

人生の一大事とは、よく見たら小さなこと。それらにとらわれないための実践的なヒントを100項目集め、世界中で幅広い層の読者が共感した大ベストセラーがここに。生きるためのありとあらゆるヒントが書いてある。簡潔で明確なところが、疲れた頭に心地よい。辞書のようにパラパラとめくって、なんとなく心に響く言葉だけを拾って読む、というのでも良いと思う。イメージとしては、人生における様々な障害を“乗り越える”というよりは、優雅に“かわして”いきましょうという感じ。悩んでいるその時によって必要なアドバイスももちろん異なるが、100項目もあるのでコレだ、というものが大抵見つかる、気がする。

⑥三浦しをん 「人生劇場」

“繰り返しの毎日も、しをんフィルターで劇場に!”
心が苦しい時は三浦しをんのエッセイを読もう。何度でも。(2回目)
気軽な読書こそ、贅沢な時間をプレゼントしてくれる、というのを改めてわからせてくれる珠玉の言葉たち。率直に言う。面白い。楽しい場面で思わずクスリと笑い、あるところでは“わかるー!”と共感して足をばたつかせる。読みながら、素直に感情を開放すれば、ありのままの自分に返っていくような…そんな感覚。あたりさわりがなくて、なんでも無いようなことなんだけど、本当に楽しい話がたくさん詰まっていて、いろんなおかずがたくさん入った駅弁のようなエッセイ。
その他「しをんのしおり」「乙女なげやり」などもおすすめ。

⑦あらゐけいいち 「日常」シリーズ (漫画)

疲れた時は黙って「日常」。万能薬のようになんにでも効く(当社比)。
作者独特のなんともかわいらしいイラストとキャラクターに、これまた独特の世界観がベストマッチ。個人的に読んでいる時は瞑想をしているような感覚。はかせ可愛いよはかせ。

⑧つづ井 「まるごと腐女子のつづ井さん」 (漫画)

腐女子。男性同士の恋愛ものの作品、いわゆるBL(ボーイズラブ)を好む女性たちのことを、自虐を込めてこう呼ぶ。本書は腐女子でオタクという性質を持った主人公、つづ井さんとその仲間たちとの楽しく、発見に満ち溢れていて、時に切なく、時にエキセントリックな日常を、ゆるい漫画で描いた作品。好きなキャラクターの身長と同じ高さに夜な夜なマスキングテープを貼り続けたり、推しのカップル「推しカプ」のイメージソングを勝手に発見し、歌詞をワードで打ち込んで印刷、その解釈について仲間と議論を白熱させたりする、愛すべき「無駄な」時間たち。描かれているのはあくまで、一人の腐女子の日常なのだけれど、平凡な日々を様々な工夫と発想で楽しく彩っていくつづ井さんを見ていると、「あ、私、こういう気持ち忘れていたな」という気分になってメンタル的に非常に良い。

以上独断と偏見で8冊選んでみた。
言うて5月ももう中旬ですが、あと半分、一緒に乗り切っていきましょう。

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