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話し合いを変える、グラレコのパーツをつくろう! ~新宿区立落合第六小学校×グラグリッド 参加型体験授業【2019年6年生③】 ~

2019年11月、落合第六小学校の6年生に向けて、話し合いを変える絵の使い方を学ぶ授業を実施しました。

授業を実施する背景には、1年生〜6年生が縦割りで班を組み、班ごとにテーマを決めて活動する『落六DASH』という総合授業のなかで、話し合いがうまくいかないという大きな困りごとがありました。
そこで、話し合いを変える絵の使い方を、2つのアプローチで学べる授業を実施しました。1つ目は弊社、尾形が担当する未来の星を探すワーク。
そして、2つ目は私(小野)が担当する「話し合いグラレコ!〜話し合いを変えるパーツをつくろう!〜」ワーク。

本記事では、「話し合いグラレコ!〜話し合いを変えるパーツをつくろう!〜」についてご紹介したいと思います。

描くことは表現することだけではない
話し合いも変えられることに気づく授業を

これまでの授業では、描きながら考え方や、物の見方、新しい意味の捉え方を学んできました。
しかし、子どもたちは、描くことで様々な可能性が広がることを掴んで来ましたが「描くことで話し合いは変えられる」「描くことは表現することだけではない」ことには気づいていません。

そこで「話し合いグラレコ!〜話し合いを変えるパーツをつくろう!〜」では、話し合いを変えるパーツづくりを通して、ファシリテーションの基礎(ファシリテーターとしての姿勢や、全員が参加できる場づくりの意識)を学んでほしい。
描くことは表現だけでなく、話し合いも変えられることに気づいてほしいという思いを込めました。

全学年が集まると、話し合いがうまくいかない

2019年の落六DASH全体のテーマは「常識を超えて新しいものを生みだす」。
リーダーになった6年生が下級生たちと協力し合い、新しいものを生み出すことに挑戦していきます。
しかし、年齢も経験もバラバラな学年の子ども達が話し合うことは大変なことです。話し合いの中での困りごとを聞いてみると、たくさんの声が聞こえてきました。

「意見が対立してしまい、決まらない」
「多数決で決まらない」
「話を聞いてもらえない」
「声が小さくて、聞き直す時間が発生してしまう」
「班の人数が多くて誰か話してくれるだろうと思って、黙ってしまう人がいる」
などなど。

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決まらない、話を聞いてもらえない、まとまらないと言った困りごとは、ビジネスの現場でもよく耳にする内容ですよね。

自分が興味がある、やってみたいと思うワークはなんだろう?

まず、授業の冒頭で尾形と私から、授業のポイントをプレゼンテーション!
選べるのはどちらか1つだけ!子どもたちは悩みながら、自分が興味がある、または、やってみたいと思うワークを選んでいきます。

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授業内容のプレゼンテーションをする小野と尾形

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どちらにしようか迷う…

広々と開放的な空間で授業スタート!

「話し合いグラレコ!〜話し合いを変えるパーツをつくろう!〜」を選んだ子どもたちとともに、教室を飛び出して図書室へ移動!
用意するものはプロッキーとハサミ、模造紙だけ。ワクワクした気持ちで授業がスタートしました。

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広々と開放的な図書室で気持ちもクリエイティブに!

話し合いのためのパーツを描こう!

自分が実際に使いたい、話し合いのためのパーツを模造紙に描いていきます。
忘れてはいけないのは、ただパーツを描くのではなく、話し合いをサポートしファシリテートしてくれるツールを作るという意識
そのため授業の冒頭では、描くときの大事なポイントとして、みんなで話し合っていることを意識する、参加しているみんなで話し合うためにプロッキーは太い方を使うことを伝えていきました。

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大事なポイントは目に付く場所に掲示し、意識させます

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テンプレートを参考にしながら描く子どもたち

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普段とは違う紙の大きさでワクワクが止まらない!

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みんなの意見をまとめるパーツ

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黒いプロッキーを使い、身体全体を使って大きく描きます

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机から離れて、床でダイナミックに描き始める男子生徒たち

色を追加することで意識を向け、注目してもらう存在に

落六DASHでは、1班10人程度の子どもたちが集まります。集中して話し合いに参加できる子、友達と話し込んでしまう子、話を聞いていない子と様々です。
そのような状態では、黒い線で書かれたパーツでは、注目してもらえません。
モノクロのパーツに色を追加することで、注目し、話し合いに意識を向ける存在へと変えていきます。

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パーツを切り抜いていく

最後にはさみを使い、模造紙に描いたパーツを切り抜いていきます。
切り抜くことで平面だったパーツが、オブジェクトとして機能し始めます。話し合いのなかでかざすことで、注目を集めたり、意識をさせることで、参加している子どもたちが話し合いに向き合う姿勢をサポートします。

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自分のイチオシを発表!

最後に、自分のイチオシのパーツと、なぜつくったのか?を発表し合いました。
落六DASHで話し合いがうまくいかなかった実体験をもとに、オリジナルのパーツを考えたり、LINEスタンプのように自分の気持ちを伝えられるパーツを考えたりと、ひとりひとりが真剣に話し合うために必要なことを考えていきました。

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下級生や話すのが苦手な人も、LINEスタンプのように使えば、
自分の気持ちを伝えられる!

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遠くの人からも見えるように色を活用し、大事なことを強調する
3つのポイントを伝える
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今日のポイントがひと目でわかるように、色をつけて強調

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話し合いの関係性もわかりやすく

話し合いで活用するための、意味を理解する

この授業は話し合いをサポートしてくれるパーツを作成することを通して、ファシリテーションの基礎を学んできました。
身体全体を使って描き、考えてきた子どもたちは、一連の過程の中で話し合いを変えるための考え方を掴んできました。
最後に、ひとつひとつのもつ役割と、意味を解説していきました。

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ひとつひとつの役割がもつ意味を解説

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授業を通して、子どもたちの意識が変わり始める

これまでの授業では、絵を描きながら考え方の基礎を身に着けてきましたが、今回の授業で「絵を活用することで話し合いも変えられる」という意識が芽生えはじめました。

▼授業のふりかえりで聞こえてきた声
・「絵が会話の道具になるってことがわかった」
・「何を話すか、こうやって考えることができるとわかった」
・「低学年も、これなら自分の話を聞いてくれるかもしれないと思った」

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授業の感想の一部

参加しているひとの状況や気持ちを想像し、
話し合いをデザインする

60分間という短い時間の中でしたが、授業での様子や感想を見ると、参加してくれた子どもたちになかには「自分たちで話し合いをデザインすることができるんだ!」気づいた人もいたように感じました
授業で行う目的や、都度ポイントを伝えていきましたが、実体験をもとに手を動かし、考えることで気づきを得ていったのではないかと思います。

話し合いに参加している下級生の状況や気持ちを想像しながら、参加するために必要なことはなにか?を考えている
落六DASHなどで、うまくいかなかった出来事をもとに、もっとこうしたらうまくいくかもしれないことを想像し、つくり出す


2020年3月にグラグリッドの授業を受けてくれた子どもたちは、小学校を卒業し、中学生になりました。この先も、授業で掴んだことを活かしてもらえたらいいなと願っています。
(小野)

写真提供:逢坂写真事務所 逢坂憲吾さん

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