問屋からブランドプロデュースへ 〜物流から変革するサービスデザインの挑戦
グラグリッドでは、この春、サービスデザインの実践的なチャレンジがいくつか始まります。その中のひとつ。和菓子素材を中心とした卸問屋さんの新しいチャレンジについてご紹介します。
新しいビジョンをもった社長との出会い
お声がけいただいたのは、秀和産業の植田社長。
秀和産業は、千葉県浦安市にある和菓子の材料の卸問屋さんです。
(秀和産業さんのホームページより)
以前、浦安のまちづくりプロジェクトでご一緒したことを機に、新しいビジョンづくりのタイミングにお声がけいただきました。
秀和産業さんは、日本全国さらには世界にもネットワークをもち、5,000種類を超えるさまざまな和菓子材料の流通を支えている会社です。日本全国の農家さん、加工者さん、素材メーカーさん、和菓子屋さんや洋菓子屋さんのたくさんの声に耳を傾けながら、多くの取引をしてきました。
産業の負の連鎖を、チャンスに変えたいという想い
一方で、植田社長は、これまで和菓子産業の衰退という課題に悩まされてきました。
これまで、和菓子は、美味しいものが作れれば売れていました。贈答品として需要があったのです。しかし、新しい市場を切り開いてこなかったため、生活スタイルが変わった現代では、急激に衰退しています。
また、和菓子の素材づくり(材料の下ごしらえなど)には、大変な技術が必要ですが、なかなか日の目を見ることもなく、人気も下がり、担い手が少なくなっています。
秀和産業さんは、問屋さんとして、生産者、素材メーカー、和菓子職人、それぞれの痛みがわかるからこそ、この状況をなんとか打破できないか?と考えてきたそうです。
そして、つながりをつくり、価値をつくり出すことで、産業そのものを活性化できないか!と考えています。
さて。
和菓子といえば!金沢美大のサービスデザイン。
グラグリッドでは、金沢美大の取組をずっと見守ってきました。その内容も秀和産業さんにも見ていただきましたよ!
そういった、たくさんの偶然が重なり、新しいチャレンジをサポートする活動が始まりました。
サービスデザインの肝は、つながりと物流の中に
秀和産業さんの倉庫をいろいろと見せていただきながら、今の物流の課題についてもいろいろとお話を伺いました。
たとえば、
ーーこれまでの大量消費型ビジネスの限界について
ロット数が決まっている中で、大量の発注をしなければならないが、実際受注して送り出せる量には大きな波があります。以前のように、大量に売れる時代ではなくなっているからこそ、工夫が必要となっています。
また、働き手が高齢化し、さらに女性も働きやすい職場づくりをしていくと「重い荷物の運搬」が深刻に。物流の中にも小ロット化が進んでいると言います。
ーー届け先の間にあるビジネスのチャンスについて
今までは届けるだけがミッションだったが、それでは、時間も人件費も浪費してしまいます。これからは、届けるまでの間に多くのタッチポイントをつくることで、チャンスをつくっていけるような、動けば動くほど価値を生み出す働き方を考えていきたい、とおっしゃっていました。
さらに、どこに届けるのか?どう届けるのか?といったデータの把握も、分析し活用する方向へ、戦略的にシフトしているそうです。
ちょうど季節ものの桜の塩漬けが届いていました。
使い方も提案されているそうです。
運搬の大変さを実感「10kgでも重い!」
これからの新しい発信にむけた戦略
そんな中、秀和産業さんが、新しく取り組み出したビジョンは、とても革新的でした。
それは、生産者の雇用創出、ブランドづくり、店舗プロデュース、世界への発信など。ワクワクする構想が動いています。
そして、今、ビジョンの可視化を行いながら、社員や取引先の方がたへ、発信していくために、取組をはじめています。
どんなことが起こるのか?
物流から変革を起こす新しいサービスデザインに注目です!
(三澤・沼野)
サービスデザインを支援するグラグリッドの事業
サービスデザインとは?
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