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日本酒の「酸味」のお話

Gekkeikan Studioの研究開発担当です。前回に引き続き、少しマニアックなお話をしたいと思います。今回のお話のテーマは「日本酒の酸味」についてです。

日本酒にとって酸味とは?

「酸味」とはそのまま「酸っぱい味を感じる成分」のことで、ほとんどの食品に含まれています。では、日本酒の酸味について皆さんはご存じでしょうか。日本酒に詳しい方だと裏ラベルに書かれた日本酒の「酸度」を気にする方もいらっしゃるでしょう。この「酸度」は「いろんな酸味がトータルでどのくらい含まれるか」を示していますが、実は同じ酸度でも味わいが同じとは限りません。日本酒には、原料のお米・麹菌・酵母に由来する多種多様な酸味が含まれています。酸味は、その成分の種類によって味の感じ方が違いますので、日本酒の味わいにも大きく影響しています。
それでは具体的にみていきましょう。通常、日本酒にはコハク酸と乳酸が一番多く、その次にリンゴ酸、さらにクエン酸や酢酸が含まれています。一番多く含まれるコハク酸はうま味成分でもあり、日本酒の味わいを特徴づける重要な酸味ですが、量が多いと渋みや苦みとしても感じられることがあります。一方でリンゴ酸は多くなっても味わいが爽やかなため、月桂冠ではリンゴ酸を多く作る酵母を独自開発し、商品に利用しています。また、「Gekkeikan Studio no.3」では通常日本酒にあまり多くは含まれないクエン酸を多く含ませる製法を試しました。このクエン酸は果物に多く含まれる酸で、清酒の華やかな香りと合わさるとパイナップルのようにも感じられるというのが「no.3」の特徴の一つでした。「酸味」は日本酒の味を大きく左右する成分の一つですので、ご興味のある方は日本酒をお飲みの際に注目していただくと楽しみ方が少し広がるかもしれません。
今後も香り・味・(見た目も?)など様々な面から新たな日本酒を生み出すべく検討していきますので、引き続き月桂冠とGekkeikan Studioの取り組みを応援していただければ幸いです。
(ちなみに、月桂冠の日本酒に含まれる「酸味」は麹菌や酵母による発酵で作られており、原材料としての「酸味料」は使用していません。このあたりも、ラベルや中身などを気にされる方は良かったら調べてみてください。)

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