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詩を書いてみる

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詩を書いてみました。
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#詩

詩を書いてみる 「灯り」

シャッターの閉じたネオン街
人の流れはカラスと逆方向
飲みかけのパックジュース握りつぶして
アスファルトの乾きを癒す
お漏らしした様な世界地図

月明かりより暗いネオン灯
背筋の伸びは歩行者信号が一等賞
アスファルトの地図に赤い印をつける
住所のない目的地
頭の回転より速い人の流れに
頼りない懐中電灯で探し回る
通り過ぎたかも分からないその場所

短い光が灯す横顔
目的のない目の光は何を映す?

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詩を書いてみる 「日めくりカレンダー」

今日の日付は昨日とお揃い
日めくりカレンダーめくって出てくる同じ数字
明日も明後日もまだ遠い最後の1枚も
まるで等身大マトリョーシカ
見分けもつかず
見出し記事は本日もお休みです
昨日と同じシルエットで動く誤差も感じられない有象無象な今日

無限ループの擬似体験
同じ今日に嫌気はささない
一期一会の出会いなど知らず
どうせ昨日と同じメンバーの満員電車
ループ再生繰り返し
ディスクが傷ついたこの世界

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詩を書いてみる 「喪失」

音がした
瞬間奪われた過去の視界
目に見える今もただ真っ白で
残像も残さぬフォトグラフ
映るのは
始まったばかりの時間
辿る背後の一寸先は闇
今の光も届きはせず

みしらぬ痛み
目を覚ます
ただの今に怯える身体
消えた色も知らず白を探る透明な手
失くした鍵を
手の置かれた場所も知らず
無に溶ける錠の形はいつどこに

音がした
瞬間奪われた過去の視界
目に見える今もただ真っ白で
残像も残さぬフォトグ

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詩を書いてみる 「怠惰」

黒く塗りつぶした手帳の今日
意味もなく
怠惰だけの器
狭い部屋に漂う薄気味悪さ
床に転がる孤独感
耳鳴りの話はいつも愚痴ばかり
手土産も持たずに満足するまで居座る
耳掻きで引っ張り出そうとしても
少し、痛い

怠惰を極めてもう何年
陰湿溜め込み陽捨てて
湿度のゴミ屋敷
耳鳴りが巣食う
何かが生まれるこの部屋
今日は新たな耳鳴りの産声
高い
高い

黒く塗りつぶした手帳の明日
意味もなく
時間も塗り

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詩を書いてみる 「空を」

暗闇に紛れる
見つからないように
息を殺して
月明かりすら恐れる臆病な体
優しく流れる冷たい風が
そっと
通りすぎた

不思議と時間の経過の感覚は無く
流れる風だけが時間の証明を唱えていた
「誰にも見つからぬように」
との祈りは虚しく
月明かりのスポットライトはすぐそこに
何から逃げたいのか
何に守られたいのか
アスファルトに転がった体は分からず
目を閉じても睨む
黄色く丸い光の残影に怯える
触れ

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詩を書いてみる 「『嫌い』上映禁止令」

この目はいつだって「好き」を映す
「嫌い」は上映禁止中です

否が応でも目に入ってくる「嫌い」の1つや2つ
そんな時は瞼を閉じて
さもなくば数十分程度の不快感
もしくはメンタルジェンガのぐらつきの刑に処されます
好きなように嫌いを排除して
監督は自分自身
端っこに映り込んだ汚いコバエ
まばたきしてる間に誰か
モンシロチョウに差し替えといて

超リアリティーノンフィクション大長編映画
命有る限りは上

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詩を書いてみる 「どうしようもないな」

箇条書きにしたやりたいことの全て
スタミナ切れの行動力じゃ全部は厳しいな
せいぜい2、3個が限界
どれを選ぶか悩んだけど
いっそのこと全部諦めることに決めた

二乗線で消えてったやりたいことの全て
何でかすぐに諦める事が出来た
10秒でやりたいことを全て消した僕は
たしかに存在したカレンダーの昨日すらも塗りつぶして無かった事にした

電池切れの目の輝き
錆び付いた学習意欲
何年も守り続けてる寿命の

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詩を書いてみる 「誰か」

自分では何も決められない
自分の生きる人生すらも
誰かに決めてほしくて
無責任にこの手を引いて
未来へ置き去りにしてくれたらいい
どれだけ暗くても
冷たくても
空っぽでも
未来ならどこでも
想像出来るだけ描いてみようとした人生は
描き方が分からず透明なまま
誰か描いてよ
何もない人生を
余った絵の具
拾った筆を貸すからさ
立派なセンスは無くていいよ
色と形が欲しいだけ
そしていつか
誰かが描いた僕

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