詩を書いてみる 「喪失」

音がした
瞬間奪われた過去の視界
目に見える今もただ真っ白で
残像も残さぬフォトグラフ
映るのは
始まったばかりの時間
辿る背後の一寸先は闇
今の光も届きはせず

みしらぬ痛み
目を覚ます
ただの今に怯える身体
消えた色も知らず白を探る透明な手
失くした鍵を
手の置かれた場所も知らず
無に溶ける錠の形はいつどこに

音がした
瞬間奪われた過去の視界
目に見える今もただ真っ白で
残像も残さぬフォトグラフ
映るのは始まったばかりの時間
辿る背後の一寸先は闇
今の光も届きはせず

迷い込んだ迷路
時間の進路すら
定かでなく
どこかの色の残像を探る透明な目
失くした風を
揺れる訳すら知りもせず
無に溶けた風向きはいつどこに

思い出せない音
奪われてないはずの過去の視界
今の色はいつどこに
記憶すら残さないフォトグラフ
ただの今さえかすみゆく
辿る背後の一寸先は闇
今の光も届きはせず

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