詩を書いてみる 「灯り」

シャッターの閉じたネオン街
人の流れはカラスと逆方向
飲みかけのパックジュース握りつぶして
アスファルトの乾きを癒す
お漏らしした様な世界地図

月明かりより暗いネオン灯
背筋の伸びは歩行者信号が一等賞
アスファルトの地図に赤い印をつける
住所のない目的地
頭の回転より速い人の流れに
頼りない懐中電灯で探し回る
通り過ぎたかも分からないその場所

短い光が灯す横顔
目的のない目の光は何を映す?
「どこに向かうか?」
難しい自問
早押しの手は止まったまま
答えは多分すぐ近く
早く答えなきゃ
怒られても知らないぞ


誰かが消した誰かの灯
犯人に選ばれたのは僕と思しき
背の低い不恰好な猫背のシルエット
事件も知らない真犯人
頭の回転より遅い事件解明に
真犯人へのスポットライトの光度は増す
ネオン灯をかき消すハロゲンランプ

強い光が照らす人のゴミ
照らし過ぎた光は犯人を匿う
「どこに逃げるか?」
難しい問題
心の拠り所はどこにも
現場に居座る犯人
早く逃げなきゃ
捕まっても知らないぞ


シャッターの閉じたネオン街
半開きに霞む暗い大都市
個性は歩行者信号が一等賞
単色にも染まれない
乾ききった何もかも
頭の回転より速い人の流れ
信号無視して造り出す数十メートル下のレッドカーペット
「どこに向かうか?」
震える足は留まることを知らず
後悔しても知らないぞ

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