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新しい宗教を創ろう#2

 新しい宗教を創ろう#2

 アメリカ産まれである『空飛ぶスパゲッティ・モンスター教』というふざけた名前のその宗教は、とある大学生によって創作され、実際にずっと以前から世界中で話題になっている。成立の意図はインテリジェント・デザインへの反駁というとても創意的なもので、彼らの教義のひとつには
“教祖や教団にお布施をする代わりに、そのお金は「貧困をなくす」、「病気を治す」、「平和に生きて、燃えるように愛して、電話の通話料を下げる」ことに使う」(wiki)
 というものがある。
 私はピースしか吸わないが、大麻を囲むことすら宗教的儀式になっていた人類の過去もある。
 宗教には、これくらいの平和を吸うべき時期だってあるべきだ。

 たとえば各種の教会は「神の家」が無ければ運営・存続することが出来ず、宗派によっては信徒に対して収入の一割どころか、それ以上を献金するよう定められていることもある。もちろん、そういった出費が無理である人々を受け入れるのも教会だ。幾つかの金銭トラブルは実際に目の当たりにしたけれど、財産の理由でそもそもの入会さえ拒否された例を私は知らない。まぁ入ってもらわないと金払いの可能性も無いので当然のことではある。とはいえ、懐疑的な方々が思っているほど宗教は(少なくとも大多数の信徒にとって)、金銭的な詐欺の世界では無い。

 ここで読者に質問だけれど、人間の女性はどのように創られたのか御存知でしょうか?
 旧約聖書(55年改訳日本聖書教会)に正解があります。以下引用。
「主なる神は人から取ったあばら骨でひとりの女を造り、人のところへ連れてこられた」
 そんなわけはねぇんですが、気になる方は創世記2章を是非、御覧ください(カップラーメンが出来上がるより早く読めます)。驚くべきはここまでの旧約聖書の冒頭(原稿用紙ならほんの数枚)だけで、科学的には地球のほぼすべての歴史を描いてしまっていること。
 太陽と月の関係は紀元前の当時でさえ天文的に導き出せるとしても、創世記の冒頭には興味深い箇所があります。
“神は二つの大きな光を造り、大きい光に昼をつかどらせ、小さい光に夜をつかどらせ、また星を造られた”
 ここまではまだ地球が誕生したとされている46億年前あたりまでの説明なのだけれど、これが最初のページの文章であり、そして数行後にはどうなるか?
“水は生き物の群れで満ち、鳥は地の上、天のおおぞらを飛べ”
 海中に生命らしきものが発生したのは地球誕生からだいたい35億年後と言われている。それからさらに数億年ほどでようやく植物が繁栄し、この影響で他の生き物が陸地に出てくる。つまり、地球誕生から鳥類が発生するまでの四十数億年以上を、創世記はたった数ページで描いている。
 こんなに面白い書物はとても珍しい。

 とはいえ、ここで問題がひとつ。
 宗教の人間は権威の証明として科学に頼ることがありますが、逆に問うならば、科学は果たして宗教を権威の証明として頼るだろうか? 医者にそれが許されるのか? 
 という点と、教典というものは編纂と改編を重ねられて現状の姿を保っているわけです。いついかなる時点で“宗旨”が政治的に改変され、それと知らぬ間に教典が変遷してきたのか? あるいは解釈がどのように捻じ曲げられてきたのか? これは「今」しか知らない教徒には知ることが出来ない。
 ここでもうひとつ問題になるのが、
「今」しか知らない教徒が自身の意志で「昔」のことを調べ始めてしまった場合。
 凝り性なのであれこれ調べて現在の教義とまったく違うものを見つけてしまった経験は、おそらく私だけでは無いはずです。

 例えば私は生まれつきの阿呆なので外国語がまったく解りませんが、まぁ頑張れば明治後期くらいまでの日本語なら少しだけ原文で読めます。現代仮名遣いにしてもらえれば江戸くらいまで読めるんですが、江戸時代の文章はわかり易くて驚く。大正のやつらの「Hey文明開化 おれに惚れたか 雅文調 マジヘビーユーズ YoYo!」的なノリのほうが肌に合わない。
 国内の文章に限るならば、たとえばただ単純に漢字がたくさん読めるとか、あたりまえの文脈理解ができるとか、それだけでじつはかなりの知らない範囲の文章が読めるようになっているし、それだけで世界は、べつに、というかまったく広くはならないけれど、個人的趣味としては深くなるのです。

 皆様お住まいの近くに古書店はありますでしょうか?
 ちょっと外から見た感じは古書店に見えても中身はエロ本屋なんてことも結構あるので慣れないかたは勇気が必要かもしれませんが、思い切って飛び込んでみてください。
 もしその店がちゃんとした本屋で、なおかつ運が良ければ太平洋戦争時の新聞が安値で買えたりします。他にも日本が露西亜と戦っていた頃の婦人向け雑誌なんかも、今のところさほど高くはありません。広告で覚醒剤を売ってたりする衝撃の内容があります。あと江戸時代の人が使っていた家計簿の書きかけなんてものを見つけたこともあって、これは少し可愛かった。

 えーっと、何の話だっけw
 ん?
 インテリジェント・デザイン?
 ……あ、それだった!

 というわけでもうひとつ、読者のあなたに質問です。
『キリンの首はなぜ長いのか?』
 おそらく、神が造ったから長いわけではありません。そもそも聖書にキリンが出てこないので(全部覚えてるわけじゃないので、キリンの例があったらごめんよぅ)、おそらく神はキリンのようなものを造る気がそもそも無かったのかもしれない。だとしたら、少なくとも原理主義的にキリンは「神による創造」(インテリジェント・デザイン)では無いわけです。
 ここで“進化論”が登場します。
 キリンはなぜキリンになったのか?
 陸上に生命が歩き始めてほんの数億年、なぜキリンの首は伸びたのか?
 いや? あるいは縮んだのかも?

 私は答えを知りません。

 もし新しい宗教を創るなら、
 このへんもでっちあげたいと考えています。

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