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お金のこと。

コンビニでお昼ご飯を買う。
つまらないお弁当とチルドカップのカフェラテ。
800円程度。
これに食後のチョコレートなんて買うと、1000円程度。
45分お昼休憩に食すものたちは、私の時給を超えてくる。

いいんだ、ものが高くなるのはいいんだ。
生産者や労働者には正当な賃金が支払われるべきだから。
もともと、私は安いものが少し怖い。
最近流行りの激安の中華系ECサイトは開いたことすらない。
100均も、300円均一も怖い。
安くてペラペラの来年には着れなくなる形のレディース服が一番怖い。
誰かが犠牲になっている…と考え込んでしまう。

とはいえ、私は低賃金労働者だ。
本屋さんの仕事は最低賃金だし、非常勤講師は悪名高い通りの賃金システム。
二つ仕事を掛け持ちしても月給は15万に届かない。
本当は、フェアトレードのもの、大量生産ではないものを買いたい。
この大量生産のシステムに抗っている人たちを応援したい。
しかし、自分の賃金ではそれができない。
まさに悪循環の中にいる。
低賃金労働者が、安価なものを購入することで、低賃金労働者が低賃金のまま。

ものの値段が上がり、賃金も上がっていくことが理想的な経済の状態らしい。
私は経済に疎いので、細かいことはよくわからないが、それが健全なのだそうな。

ものの値段が高いことよりも、賃金が低いことにきちんと怒りたいよなぁ…と、普通のことを思う。

普通に暮らしたい。
贅沢をしたい気持ちはこれっぽっちもない。
何かものが欲しいとか、素敵なディナーがしたいとか、リゾートへ行きたいとかそういうことではない。
コーヒーが飲めて、本を躊躇なく買える。安心して勉強をする。それだけでいい。
今はとにかく、時間もないお金もない。この状態に疲弊している。

それでも腐らずやるしかない。
レジに立っている時間、正直「あぁ今の時間に授業つくりたい…」と思ってしまう。
毎日汗だくで肉体労働して、「今の時間、ポストついてる人たちは涼しいとこで座って仕事してんのかな」とも思ってしまう。
それでも、毎日ちいさな喜びを見過ごさないようにする。
特にお金にはならないけれど、職場で、文章を書いてと頼まれれば私は嬉しい。
本との偶然の出会いが起こりやすいのも嬉しい。
ありきたりだが、お客様の「ありがとうね」に救われる瞬間もある。
そう、こういうことをなかったことにしたら腐ってしまう。
やりがい搾取と言われればそれまでだし、「なんまかなぁ」と思うことも多いけど、なんだかんだ仕事があるってだけで有り難かったりもする。
と言いつつ、やはりこのやりがい搾取でなんとか保っている業界には慣れたくない。

よくみんなやっている。
毎日偉いと思う。すごいと思う。
ニコニコ接客して、困ったお客様にも上手に対応して、荷物を出して、発注して、返品して、本当にすごい。
一人暮らしの同僚はほとんどいない。この賃金じゃ無理だからだ。
全国の書店員さん、本当に偉いよ。
彼らが、普通に生きていけるように、当たり前の賃金が支払われるようになってほしい。
本当にそう思っている。

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