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普通の結婚

 本エッセイ『普通の結婚』は、私(ガーリエンヌ)が27歳で一念発起して婚活を意識し、夫となる人と出会い、2年半後に結婚するまでを書いたものです。入籍は2015年11月、執筆したのは約1年半後の2017年5月。「文学フリマ」にて販売しました。
 婚活の具体的なノウハウというよりは、婚活~結婚と進んでいくなかで感じたことを書きとめました。結婚というごく私的なことを文章化するのは、おこがましい、恥ずかしいという気持ちもあります。ただ同時に、書く意義があるとしたら、結婚に正解がないからこそだとも思います。十人十色の結婚観のなかで、「こういう考え方もあるんだな」と思ってもらえたら嬉しいです。

 ちょこちょこと「読みたい」と言ってくださる方がいらっしゃるので、noteで販売することにしました。「おわりに」(ここでは「はじめに」として配置)の部分のみ無料公開、それ以降は有料となります。ご了承ください。

はじめに兼おわりに

 結婚にまつわるあれこれを書いた。結婚を意識してから、実際にそれを経験するなかで、「これは非常に書きがいのある経験だ」と感じていたが、入籍から1年半経って、やっとまとまった文章にすることができた。途中、一般論のように語っている部分もあるが、根拠はどれもあまりにも個人的なことだ。ここに書かれていることはすべて書き手の主観と経験に基づきます、と断り書きを入れようとして改めて、結婚というのは本当にこの言葉通りで、ひとつとして同じものはないし、他人と比べていいとか悪いとか評価するものでもない、と実感する。「みんな違ってみんないい」が大前提にあるからこそ、結婚はすべて平等であり、特別な結婚などない、どんな結婚も普通である、と私は言っていい気がしている。

 それでも、この期間で私が見知った「結婚」は氷山の一角であり、この先きっと、新しい出来事、新しい感情を経験するだろう。
 年下の友人から「なぜ結婚というスタイルを選んだのか」と訊かれたとき、最初はうまく答えられなかった。確かにパートナーと一緒に暮らすなら、同棲でも事実婚でもいい。「将来子どもを作ることを考えると、現在の日本では結婚という制度のほうが」などとまわりくどい理由付けをしてみたが、ベストな答えではないと自分でも感じていた。だが、いま少し時間が経って思うのは、私は新しい経験をしたかったのだ、ということだ。
 29年間の独身生活は、本当に楽しかった。特に大学進学で上京してからの10年は、やりたいことをやり尽くすことを目標に生きてきた10年だった。独身として経験できることを十分試した頃、夫に出会って、自然と「結婚するならこの相手、このタイミングだな」と思った。結婚というものを私もしてみたい、と素直に思ったのだ。実際に結婚という選択をしたことで、今までとはまったく違う経験をしている。結婚生活は、細かい意見の相違は日常茶飯事で、トラブルが起こることもあるが、今のところ楽しさや面白さのほうが上回る。

 そういう意味では、私の結婚への最大のモチベーションは、経済でも子供でも老後でもなく、もっというと愛でもなく、好奇心なのかもしれない。このパートナーと一緒に、どんな人生を送れるんだろうという好奇心だ。その証拠に、私は結婚後の人生に対して、今日もワクワクし続けている。

普通の結婚 目次

・はじめに兼おわりに
・長野新幹線で婚活に目覚める
・出会いは短期集中プロジェクト
・13番目の女
・結婚まであと何キログラム?
・ゼクシィの対極の世界
・食洗機より必要なもの
・呼び名問題

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