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ファンの出口

永遠はない、と知るタイミングが人生には幾度か訪れる。
2016年にSMAP解散が発表された時も、あ、終わるものだったのか、と驚いた。

だが解散自体より更に驚かされたのは、その前後のファンの行動だ。「花摘み」と称してシングルCD「世界に一つだけの花」の購買運動が始まった。その輪はSNSで広がり続け、累計売上枚数は300万枚を突破し、平成に発売されたシングルCDの売り上げランキングで1位にまで上り詰めた。(2020年7月現在)

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発売は2003年、初週の売り上げは63万枚だ。ドラマ主題歌にも使われ日本中で歌われていたので、俗世と切り離されて暮らす仙人でもない限り、誰もが知っている国民的名曲と言って差し支えないだろう。特にファンでもない私ですら、そらで歌えるし、とても良い歌だと思う。

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だが、「花摘み」は私にとって腑に落ちないものだった。はっきり言って、潔さが皆無で気持ちが悪いとすら思った。そのように感じた理由を以下に記していく。花摘み参加者?はもちろん、好意的な人はこの先を読まないでいただきたい。

【「花摘み」が腑に落ちない理由】

 理由はズバリ、当人たちの決意を尊重していない行為だから。裏を返せば、自分自身の思い入れや、ファンであることの証明ばかりに囚われている。寂しさを紛らわせるために終わりを引き延ばす様は、苦しくて死にたがっている人を、この世に無理やり繋ぎ止めているようで不快だ。
 構造上は誰も損をしていないように見えるが、SMAPのメンバーや関係者はどうだろうか。決して元には戻らない過去を眼前に晒され美談にされ続ける。しかも、ファンからの愛だ、と言われれば蔑ろにはできない。偶像としての務めかもしれないが残酷じゃないか。愛しているから、という理由ひとつで繋ぎとめようとするのは、愛情表現として倒錯してしまっている。
 生きている限り人間は変わっていく。いかに仲の良い、国民的アイドルグループであろうとそれは同じだ。良い変化だと捉えるか、悪い変化だと捉えるかは、当人と未来が決めるだろう。無理な存続よりも、未来を応援する方が、よほど前向きで健全に愛を伝えられる気がする。ファンなら終わりを見届け、縛ることなく、未来を応援してあげた方が良い、と私は思う。

<参考>
【SMAP連載16】「世界に一つ」300万枚突破を成し遂げたSMAPファンの底力https://www.oricon.co.jp/special/49633/

槇原敬之の逮捕で『世界に一つだけの花』救いたいSMAPファンが“早速動いた”https://news.livedoor.com/article/detail/17817186/

SMAP・香取慎吾、“花摘み”にメッセージ? 『SmaSTATION!!』の奇跡にファン感激https://www.cyzowoman.com/2016/12/post_122791_1.html

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