3分で読める眠りにつく前の話
『感動』
彼女とデートしていたら友達から連絡が入った。映画を見ようと選んでいたから、無視してやろうと思ったが、コールがしつこいので出ることにした。
「驚くなよ」
「デート中なんだけど」
「まぁ聞け。俺に感謝することになるから」
「なんだよ、早く要件を言えい」
「急に行けなくなった友達からチケットもらった。アリーナだ。」
「え」
「ミスチルだよ」
「ま、まじ!?」
「彼女に土下座してデート延期してもらえ、3時間後だ」
「え、今日!?」
彼女に土下座してライブに行かせてもらうことにした。今考えてもヒドイ話だが、ミスチルにはかえられなかった。
さて、1時間後、友達と駅で合流した。ここから会場までは30分ほど。グッズをじっくり見て開演前の雰囲気をじっくり味わおう。
「いや〜チケット譲ってくれた人に感謝だな。ありがとな」
「ちゃんとチケット代はもらうぞ」
「そりゃもちろん、早くチケット見せてくれよ」
「おお!この…あれ、ちょっと待って…」
まさかと思ったけど友達はチケットを家に忘れていた。
たとえ裸でもチケットだけは持ってきて欲しかった!
その後、ライブにはギリギリで間に合った。
あの日の一曲目も、別れた彼女と見ようとしていた映画も忘れてしまった。
でも、彼がチケットを忘れた衝撃だけは今でも思い出す。
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