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43)クエン酸を増やすとがん細胞は死滅する

体がみるみる若返るミトコンドリア活性化術43

ミトコンドリアを活性化して体を若返らせる医薬品やサプリメントを解説しています。

【クエン酸はレモンから見つかった】

 クエン酸は炭素原子6個、水素原子8個、酸素原子7個から成り、 C6H8O7という分子式を持つ分子量192の化合物です。カルボキシ基(COOH)を3個持つ弱酸性の有機化合物です。構造式は様々な書き方がありますが、その幾つかを下図に示しています。(下図)。

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図:クエン酸はカルボキシ基(COOH)を3個持つ弱酸性の有機化合物で、構造式は様々な書き方があり、その代表的な物を示している。


クエン酸はレモンやライムなどの柑橘類に多く含まれています。柑橘類はみかんの仲間です。ミカン科の常緑樹の果実で、世界中に数百種類もあります。温州みかん、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ライムなど様々な柑橘類が販売されています。柑橘は英語で「Citrus」と言います。
 

クエン酸は1784年にレモン汁から発見されました。クエン酸は英語で「Citric acid」と言い、Citric acidは「柑橘類に含まれる酸」という意味です。
 

漢字では枸櫞酸と書きます。枸櫞(クエン)とは漢名でマルブシュカン(丸仏手柑)のことで、広く柑橘類の果物を指す場合もあります。
 

つまり、「Citric acid」も「クエン酸」もレモンをはじめ柑橘類に多く含まれていることから由来します。
 

柑橘類の酸味の原因はクエン酸の味に依るものです。レモンが酸っぱいのはビタミンCによるものと思っている人が多くいます。広告で「レモン〇〇個分のビタミンC」などと宣伝されているので、レモンの酸味をビタミンCによるものと思っている人が多いのですが、ビタミンC自体には強い酸味はありません。レモンの酸味はクエン酸によるものです。
 

商業用のクエン酸は初めはレモン汁から抽出されていましたが、1919年にデンプンや糖をコウジカビの一種( Aspergillus niger)で発酵させて製造する方法が発見され、きわめて安価に大量のクエン酸を製造できるようになっています。
 

クエン酸は爽やかな酸味を持つことから食品添加物として多用されています。クエン酸は酸味により、唾液や胃液の分泌を促して食欲を増進させる効果があります。

さらに弱酸性の性質を利用して、トイレの黄ばみや、お風呂やポットの水垢の除去など、様々な汚れを落とす目的にもクエン酸は利用されています。


【クエン酸は代謝を活性化し、体液をアルカリにする】

 私たちの体の細胞外液(血液やリンパ液)のpHは7.4とややアルカリ性に維持されており、しかも、7.40 ± 0.05 と非常に狭い範囲で調節されています。この体液のpHの調節は肺と腎臓で行われています。
 

強い運動をして体内で乳酸が増えると、血液は酸性に傾きます。がん細胞はブドウ糖を多く取り込み、酸素を使わない解糖系での代謝が亢進して乳酸の産生が増えています。そのため、進行がんの患者さんでは血液が酸性化しています。
 

乳酸が蓄積し、血液が酸性化すると、疲労や倦怠感を感じるようになります。体は腎臓から乳酸などの酸性物質の排泄を促進して血液のpHを正常に保とうとします。つまり、尿のpHを測定すると体内の酸性度を知ることができます。
 

クエン酸の健康作用に関しては、東大教授の秋谷七郎博士の研究が有名です。クエン酸を多く摂取すると尿がアルカリになること、さらに体調を良くし体力を高めることを科学的に明らかにしています。
 

秋谷教授は、第2次世界大戦中に、潜水艦で使用する味噌のカビを防止するためクエン酸の添加を試みたところ、カビ防止の効果以外に乗組員の疲労度が目立って低くなり、健康状態が著しく向上して長時間の潜行に耐えられるようになったことを知りました。そこで、自分でもクエン酸を飲用し、尿中の乳酸量が減少する事実を突き止めました。以下の論文に報告しています。

有機酸摂取による尿成分の変化について (第1報):有機酸摂取が尿pH値及び    乳酸量に及ぼす影響について 薬学雑誌 1956 年 76 巻 2 号 p. 111-115

クエン酸が代謝を促進して疲労の原因である乳酸の生成を減少させ、体液をアルカリに維持し、疲労回復や持久力の向上に有効であることを明らかにしたのです。現在では、クエン酸は健康増進や病気の予防だけでなく、様々な病気に対して治療効果を発揮する万能薬という意見もあります。

【体内ではクエン酸はTCA回路で作られる】

 前述のようにクエン酸は柑橘類に多く含まれる有機酸ですが、体内ではミトコンドリアのTCA回路(クエン酸回路ともいう)でできる物質です。TCA回路はトリカルボン酸回路(tricarboxylic acid cycle)の略語です。トリカルボン酸とは3つのカルボキシル酸基(COOH)を持つクエン酸のことで、そのため「クエン酸回路」とも言います。TCA回路の1番目の生成物がクエン酸だからです(下図)。

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図:グルコース(ブドウ糖)が解糖(①)で分解されてできたピルビン酸はミトコンドリア内に取り込まれてピルビン酸脱水素酵素(②)で補酵素A(CoA)と結合してアセチルCoA(③)となる。アセチルCoAは、クエン酸シンターゼ(④)によってオキサロ酢酸と縮合してクエン酸(⑤)になる。クエン酸はクエン酸回路(TCA回路)でさらに代謝される。


クエン酸回路(TCA回路)は、この回路の発見者のハンス・クレブス(Hans Krebs)の名前をとってクレブス回路とも呼ばれます。クレブス博士はTCA回路の解明で1953年にノーベル賞を受賞しています。

クエン酸回路(TCA回路)はミトコンドリア内で起こり、クエン酸シンターゼ酵素によって触媒されるオキサロ酢酸とアセチルCoAの縮合によるクエン酸の合成から始まり、8つの酵素反応によって進行します。

クエン酸回路は、NADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)とFADH2(還元型フラビンアデニンジヌクレオチド)を生成します。

TCA回路で生成されたNADHやFADH2は、ミトコンドリア内膜に埋め込まれた酵素複合体に電子を渡し、この電子は最終的に酸素に渡され、まわりにある水素イオンと結合して水を生成します。このようにTCA回路で産生されたNADHやFADH2の持っている高エネルギー電子をATPに変換する一連の過程を酸化的リン酸化と呼び、これの酵素反応をおこなうシステムを電子伝達系と呼びます。こうしてつくられたATPはミトコンドリアから細胞質へ出て行き、そこで細胞の活動に使われます。

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図:グルコースが解糖系(①)で分解されてできたピルビン酸(②)はミトコンドリア内に取り込まれて補酵素A(CoA)と結合してアセチルCoA(③)となり、オキサロ酢酸とアセチルCoAが縮合してクエン酸(④)が生成され、TCA回路(クエン酸回路)に入る。2炭素のアセチル基を完全に酸化して2分子の二酸化炭素にする過程で放出される自由エネルギーは電子伝達体のNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)とFAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)に捕捉され、NADHやFADH2として保存される(⑤)。これらの高エネルギー電子はミトコンドリア内膜の電子伝達系(呼吸酵素複合体I〜V)でATP産生に使われる(⑥)。このように、グルコース(ブドウ糖)は細胞質内での解糖と、ミトコンドリアでのTCA回路と電子伝達系(呼吸鎖)によってATPが産生される。


【メキシコはがん死亡率が低い】

 メキシコではがんの死亡率が極端に低いことが知られています。経済協力開発機構(OECD)が国別のがん死亡率を報告しています。OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development)は国際経済全般について協議することを目的とした国際機関で、国別に比較した様々な統計を発表しています。
 

OECDのホームページに国別の年齢調整がん死亡率が報告されています。(以下のサイト)
https://www.oecd-ilibrary.org/sites/health_glance-2017-10-en/index.html?itemId=/content/component/health_glance-2017-10-en

OECD加盟国の2010年の人口構成を基準にして年齢調整した数値なので、高齢化によるがん死亡の増加の影響を無くして、人口構成の異なる国の間のがん死亡率を比較できます。

2015年の統計によると、人口10万人当たりの1年間のがん死亡数が一番多いのがハンガリーの282人です。イギリスは222人、アメリカ合衆国は188人、日本は177人です。最も少ないのがメキシコの115人です。つまり、メキシコの年齢調整がん死亡率は他の国と比べて極端に少ないことがわかります。先進国を中心にしたOECDの統計で、がん死亡率が一番多いハンガリーの40%、日本の65%くらいです。

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図:2015年の国別年齢調整がん死亡率(人口10万人当たりのがん死亡数)。メキシコは他の国に比べて極端にがん死亡が少ない。 


がん死亡が少ない理由は様々考えられると思います。たとえば、日光によるビタミンDの産生量が発がんに影響する可能性を報告されています。北アメリカで、緯度が高いところ(北)に住む人は南の人よりもがんの発生率が高いことが1941年に報告され、その後もビタミンDの産生が少ない状況(緯度の高いところに住んでいる、日光に当たらない生活習慣など)ががんの発生や増殖を促進することは多くの研究で示されています。
 

緯度の高い地域では日照時間が短いので、体内のビタミンDの量が低下し、様々ながんの増加が指摘されています。血清のビタミンDレベルと発がん率やがんの死亡率との関連はメラノーマ(悪性黒色腫)、乳がん、前立腺がん、結腸直腸がん、卵巣がん、腎臓がん、食道がん、胃がん、非ホジキンリンパ腫など多くの悪性腫瘍で示されています。
 

人種による遺伝的理由も存在するかもしれません。がんになりやすい遺伝的素因の存在は、人種によるがん発生率の差に寄与しています。
 

私は、食事とがん予防の関係から、メキシコではライムとアボカドの摂取量が多いことが関係しているのではと考えています。
 

ライムとアボカドの生産量はメキシコが世界一で、メキシコ料理では、ライムとアボカドをふんだんに使用しています。ライムはレモンと並んでクエン酸の多い柑橘類で、メキシコでは飲料や食事にライムを丸ごと絞って使います。個人一人当たりの消費量は世界一です。
 

アボカドには脂質が果肉可食部100g中に15g以上含まれ、脂質に含まれる脂肪酸の約65%はオレイン酸です。オレイン酸はオリーブオイルに多く含まれるn-9系の一価不飽和脂肪酸で、循環器疾患やがんの予防に効果がある脂肪酸です。善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やし、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を減らし、動脈硬化を予防する効果があります。
 

さらに、多種類のカロテノイド(βカロテン、αカロテン、ルテイン、ゼアキサンチンなど)、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミンや、カリウムやマグネシウムやリンなど多くのミネラル、食物繊維、蛋白質などが多く含まれています。世界一栄養価が高い果物と言われています。原産地の中央アメリカでは「生命の源」と呼ばれるほど貴重な果実です。
 

アボカドにはクエン酸は含まれていません。従って、アボカドとライムの組み合わせは、がん予防効果を相乗的に高めると言えます。アボカドとライムの組み合わせはメキシコ料理の定番の一つで、実際にこの組み合わせは病み付きになるほど美味です。


【クエン酸は様々なメカニズムでがん細胞の増殖を抑制する】

 メキシコの小児科医のハラベ医師(Dr. Alberto Halabe Bucay)がクエン酸の大量投与によるがん治療による著効例を論文で多数報告しています。80人以上の末期がんの患者さんをクエン 酸の経口摂取で治療して、多くに効果を認めたと言っています。そのプロトコールは、1日3回、毎食後に10~15gのクエン酸を摂取という方法です。
クエン酸によるがん治療の可能性を解説した論文はいくつかあります。以下のような論文があります。

Effect of citrate on malignant pleural mesothelioma cells: a synergistic effect with cisplatin.(悪性胸膜中皮腫に対するクエン酸の効果:シスプラチンとの相乗効果)Anticancer Res. 29(4):1249-54.2009年

抗がん剤抵抗性のヒト中皮腫細胞株を使った培養細胞レベルでの実験で、クエン酸を添加するとアポトーシスが誘導されること、抗がん剤のシスプラチンの効果を高めることが報告されています。そのメカニズムとして解糖系のフルクトキナーゼの活性を阻害することによってATPの産生が減少することを挙げています。

Dichloroacetate restores drug sensitivity in paclitaxel-resistant cells by inducing citric acid accumulation.(ジクロロ酢酸はクエン酸の蓄積を誘導することによってパクリタキセル抵抗性のがん細胞の薬剤感受性を回復する) Mol Cancer. 2015; 14: 63.

この論文では、抗がん剤のパクリタキセルに抵抗性のがん細胞はミトコンドリアでの酸素呼吸に欠陥があり、ピルビン酸脱水素酵素を活性化してミトコンドリアの酸素呼吸を亢進するジクロロ酢酸を投与するとパクリタキセル抵抗性が抑制されることを示しています。そして、そのメカニズムとして、クエン酸の蓄積が重要であることを示しています。
ジクロロ酢酸はピルビン酸脱水素酵素を活性化して、ピルビン酸からアセチルCoAの変換を亢進してTCA回路を促進し、クエン酸の産生を増やします。このクエン酸が蓄積するとパクリテキセルに抵抗性のがん細胞が、パクリタキセルに感受性を回復するという結果です。

2017年に米国のハーバード大学医学部のヴィカス・スカトメ(Vikas P. Sukhatme)博士らの研究グループから「クエン酸が様々な機序でがん細胞の増殖を抑える」という趣旨の総説論文が発表されています。

Citrate Suppresses Tumor Growth in Multiple Models through Inhibition of Glycolysis, the Tricarboxylic Acid Cycle and the IGF-1R Pathway (クエン酸は解糖系やTCA回路やIGF-1受容体経路の阻害を介した多彩なメカニズムで腫瘍の増殖を抑制する) Sci Rep. 2017; 7: 4537.

この論文では、様々ながん細胞株を用いた実験系(培養細胞と動物実験)でクエン酸が抗腫瘍効果を示すことを報告しています。そのメカニズムとして、①がん細胞の分化誘導、②腫瘍組織内のリンパ球のT細胞の動員と活性化、③インスリン様増殖因子-1(IGF-1)受容体の活性化(リン酸化)の阻害、④AKTリン酸化の阻害、⑤解糖系とTCA回路の両方の抑制など多様なメカニズムでがん細胞の増殖を阻害し、アポトーシスを誘導することを報告してまり、クエン酸は、免疫系を活性化し、がん細胞の増殖シグナルの伝達系を抑制し、エネルギー産生系を阻害してATPを枯渇するという結果です。
この論文の結論は「食事からのクエン酸の補充はがん治療として有用であるかもしれない(Dietary supplementation with citrate may be beneficial as a cancer therapy. )」となっています。


この論文の責任著者のヴィカス・スカトメ博士は、がん細胞の代謝や抗腫瘍免疫など腫瘍学の広い範囲における基礎研究や臨床研究で顕著な業績を挙げている研究者です。つい最近まで、がんのクエン酸療法はインチキ医療という意見が大勢を占めていましたが、最新の研究結果はクエン酸の抗がん作用を支持しているのです。

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図:解糖系の律速酵素の一つであるホスホフルクトキナーゼ(フルクトース6-リン酸をフルクトース1,6-ビスリン酸に変換する)はクエン酸回路(TCA回路)の生成物質であるクエン酸(①)とATP(②)によってフィードバック阻害を受ける。外来性に摂取したクエン酸もホスホフルクトキナーゼを阻害して解糖系を阻害する(③)。さらに、クエン酸はリンパ球のT細胞の活性化(④)、細胞内の増殖シグナル伝達系の阻害(⑤)、スーパーオキシド・ディスムターゼやグルタチオン・ペルオキシダーゼなどの抗酸化酵素の活性に必要な金属(銅、亜鉛、セレニウム)と結合(キレート)して除去するメカニズムで抗酸化酵素の活性を阻害する作用(⑥)なども報告されている。つまり、食事やサプリメントでクエン酸を多く摂取すると、多彩なメカニズムでがん細胞の増殖を抑える効果が得られる。


【クエン酸療法の実施法】

 クエン酸飲用でがん患者を多数治療しているメキシコのハラベ・ブケイ医師の最初のプロトコールは、1日3回、毎食後に10~15gのクエン酸を水やジュースなどの飲料に溶かして摂取するという方法でした。1日の服用量の目安は、体重1kg当たり0.5gです。胃腸に刺激になって下痢になるときは服用量を減らします。しかし、この量は多くの人にとって長く継続するのは困難です。酸っぱい味と胃腸粘膜への刺激症状が問題になります。
 

その後、ハラベ・ブケイ医師は1日に5から10グラム程度の投与を行って、有効例を多数報告しています。

ハーバード大学医学部のヴィカス・スカトメ(Vikas P. Sukhatme)博士らの研究グループのマウスの実験では1日体重1kg当たり4gを投与しています。マウスと人間のように体重が大きく異なる時は、体重でなく体表面積で比較します。標準代謝量は体重の3/4乗(正確には0.751乗)に比例するという法則があり、一般にマウスの体重当たりのエネルギー消費量や薬物の代謝速度は人間の約7倍と言われています。したがって、マウスの4g/kgは人間に換算すると1日に体重1kg当たり約0.5gになります。これはハラベ・ブケイ医師が最初の実施した服用量に類似します。

日本でも「クエン酸健康法」を提唱した書籍などもあり、そのような書籍の内容では1日15g程度を推奨しています。

クエン酸の服用量は多いほど良いのですが、多く摂取すると副作用もでます。その兼ね合いから、1日に10から15g程度が妥当と言えます。実際に15gを500ccの水に溶かしてペットボトルに入れ、毎食後に飲む方法だと、それほど苦痛になりません。500ccの水に10〜15gであれば、酸っぱさもそれほど強くありません。

クエン酸ナトリウムなどの塩ではなく、純粋なクエン酸を使用します。クエン酸ナトリウムだと分子量の約4分の1がナトリウムなので、クエン酸を多く摂取する場合にナトリウムの摂取量が過剰になるためです。

また、ハラベ・ブケイ医師はレモンジュースに含まれるクエン酸は他の成分と結合しているので、吸収が悪いので、純粋なクエン酸を使うべきだと言っています。

クエン酸の結晶粉末は白色、無臭で純度が高く、水に簡単に溶けます。医薬品用や食品用が販売されています。医療では、緩衝・矯味・発泡の目的で調剤に用いています。また,リモナーデ剤の調剤にも用います。

食品添加物としては、清涼飲料水やアルコールに加えたり、PH調整剤や酸味料として様々な食品に使用されています。食品を適切なpH領域に保つことによって微生物の増殖を防いで食品の保存性を高めることができます。

牛乳やヨーグルトなどに混ぜても問題ありません。クエン酸が胃に刺激になるときは、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害剤、胃痛や胃部不快感があるときはさらにスクラルファート(アルサルミン)を服用すると良いとハベラ・ブケイ医師は言っています。プロトンポンプ阻害剤はがん組織のアルカリ化にも効果があるので、がん治療に積極的に利用して良いと言えます。
 

クエン酸はカルシウムを溶かすので、濃い濃度のクエン酸を長く摂取すると歯を溶かす可能性があります。ストローを使って歯につかないように摂取するか、歯につく場合には、服用後に水で口をすすぐのが良いと思います。
 

クエン酸が酸っぱいのは酸性だからです。味覚の基本は甘味・塩味・酸味・旨味・苦味の5種類で、舌の舌乳頭という小さな突起部に存在する味蕾(みらい)という味を検出するセンサー(化学受容体)でこれらの味覚を感じています。クエン酸は弱酸性で、酸味を検出する受容体を刺激するので、酸っぱい味を感じます。クエン酸を重曹(炭酸水素ナトリウム)で中和すると酸味は感じなくなります。酸味が強くて飲みにくいときはアルカリ性の飲料に混ぜると飲みやすくなります。
 

クエン酸と重曹を混ぜると、クエン酸はクエン酸ソーダ(クエン酸ナトリウム)になって、体内でのクエン酸としての働きは残ります。しかし、重曹は二酸化炭素と水に分解されます。つまり、クエン酸と重曹を混ぜると、クエン酸ナトリウムと二酸化炭素と水になります。二酸化炭素は泡となって放散します。

クエン酸の作用だけが目的の時は、重曹で中和して飲みやすくするのは問題ありません。ただ、重曹をがん組織の酸性化を中和する目的で飲用する場合は、クエン酸と混ぜると効果が無くなります。

体がみるみる若返るミトコンドリア活性化術 記事まとめ

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