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67)食生活と病気の関係(その1):現代人の体は高糖質の食事に適応できない

体がみるみる若返るミトコンドリア活性化術67

ミトコンドリアを活性化して体を若返らせる医薬品やサプリメントを解説しています。

【旧石器時代と現代の食事の内容の違いが、現代病の発生と関連している】

 私たちの遺伝子(ゲノム)は、変化する存在条件(環境)にゆっくりと適応しながら進化してきました。現代社会における多くの病気は、私たち人類の旧石器時代のゲノムと現代における食事を含む急速に変化する環境との間の不一致から生じています。

例えば、私たちは旧石器時代の200万年の間に、食糧が不足する環境で進化してきました。人間は、ブドウ糖(グルコース)の血中濃度(血糖)を下げるのはインスリンだけですが、血糖を上げるホルモンはグルカゴン、エピネフリン(アドレナリン)、糖質コルチコイド 、成長ホルモン、甲状腺ホルモンがあります。高血糖を防ぐホルモンより低血糖を防ぐホルモンを多く持っていることは、人間ではもともと血糖が上がらない食事(糖質の少ない食事)が基本であることを示唆しています。

 

このような人類の代謝の特徴は、現代社会における食糧過多の環境では、肥満や糖尿病や高脂血症や動脈硬化やがんなど多くの疾患を増やしています。実際のところ、これらの病気は狩猟採集を行なっていた旧石器時代の人類には見られない病気です。

旧石器時代と現代の食事の内容の違いが、現在の西洋諸国に見られる病気の原因の根底にある重要な要因である可能性が指摘されています。つまり、食事内容を適切に変えれば、糖尿病や心臓病やがんなど現代病と言われる多くの病気を防ぐことができます。

旧石器時代と現代の食事の内容の違いにおいて、現代病の発生と強く関連しているのが、精製した糖質の増加です。



【人類の食事は3度大きく変化した】

 人類の食事の内容は、その長い歴史の中で3度大きく変化したと言われています。

初期人類がアフリカの森林に住んでいたころ(250万年前より以前)は、木の葉や果実や木の実などの植物性食物が主体で、主要な栄養素は炭水化物(糖質)でした。

約250万年前ころから氷河期に入って森林が縮小し、人類は草原で狩猟採集を行い、動物性食物が主体になってタンパク質や脂肪の多い食事になります。これが第1回目の変化です。

約1万年前に最後の氷河期が終わって地球が温暖化して農耕と牧畜が始まります。農耕によって穀物の摂取が増え、再び糖質の多い食事に戻りました。これが第2回目の変化です。

さらに18世紀末に起こった産業革命以降は穀物の生産性が飛躍的に向上し、穀物の精製技術や貯蔵技術が進歩し、糖質摂取量と摂取カロリーが増えるようになりました。近年(1970年代以降)になると、さらに砂糖のような精製糖や異性化糖(でんぷんを酵素などで処理して作ったグルコースとフルクトースの混在した糖)など吸収の早い単純糖質の摂取が増えるようになりました。このように産業革命以降、精製した糖質や砂糖の多い食事になったのが第3回目の変化です。


つまり、人類の長い歴史のなかで、①氷河期という気候変動による狩猟の開始、②農耕の開始、③産業革命といった出来事によって、食事の内容は高糖質食から低糖質食へ、ついで低糖質食から高糖質食へ戻り、近年は精製した糖質の多い高糖質・高カロリー食になったというのが人類の食事における3度の大きな変化です。(下図)

図:人類の長い歴史の中で、初めは糖質主体の食事で、氷河期になって狩猟採集時代に入ると動物性食物が中心になって低糖質食になった(①)。約1万年くらい前に農耕が始まると糖質摂取量が増えた(②)。さらに18世紀終わりから起こった産業革命によって農業の生産性は高まり穀物の摂取量が増加した(③)。さらに穀物の精製度も高くなり、精製した糖質の摂取量が増えた。1970年代以降は砂糖や異性化糖など単純糖質の摂取が多くなりグリセミック指数の高い食事が増加した(④)。単純糖質の摂取が増えて、肥満や糖尿病やがんなどの現代病が増えた(⑤)。



【人間は肉食動物として進化した】

 チンパンジーの脳容積は400cc程度で、現代人の成人男性の脳容積の平均は約1350ccです。チンパンジーと同程度の脳容積しかなかった初期人類から、高度の知能をもった現生人類に進化する過程で脳容積は3倍以上に増えました。チンパンジーの脳容積は500万年前と同じで、人類の脳容積が3倍も増えた理由は、人類が動物性食糧を多く摂取するようになったからです。チンパンジーやゴリラは今だに草食です。草食を続けていたために脳が大きくならなかったと考えられています。

特にシーフードを食べるようになって脳が大きくなったと考えられています。 シーフード(seafood)は 魚介類や海藻など海産物を主とする食品です。脳が大きくなるためにはドコサヘキサエン酸(DHA)が必要なのですが、森やサバンナにはDHAを含む食品は無いためです。

 初期人類の食事は植物性食糧由来の糖質が多いものでしたが、250万年くらい前から動物性食糧が増えるようになり、少なくとも150万年前くらいから農耕が始まる1万年前くらいまでは、低糖質・高蛋白食であったことになります。このような食事が人類を進化させました。基本的に、人類は肉食として進化し、脳を発達させ、知能を高めたと言えます。

 

動物は食事の内容によって肉食や草食や雑食と分けられていますが、消化管の構造や体の代謝系はその食事の内容に適応するように進化しています。

例えば、肉食動物のネコには唾液にアミラーゼ(デンプンを分解する酵素)が無く、腸や膵臓の消化液も糖質を分解する酵素の活性が低くなっています。肝臓ではアミノ酸などからブドウ糖を作り出す酵素の活性が高くなっています。さらに、タンパク質を分解して得られるアミノ酸からミトコンドリアでエネルギー(ATP)を産生できるような代謝系が発達しています。このように肉食の動物は肉が多く糖質の少ない食事に適応するように消化管の構造や体の代謝系が進化しています。

 

一方、ウシやヒツジのような草食動物は、セルロース繊維の多い植物を消化するために長い腸をもち、胃腸には莫大な量のバクテリアが住み着いて食物繊維や糖質を発酵させています。炭水化物の発酵によって生成した酢酸やプロピオン酸や酪酸などの有機酸を吸収して、細胞内のミトコンドリアでさらに分解してエネルギーを産生しています。消化管内のバクテリアはアミノ酸も合成して草食動物に供給しています。
 
草食動物において炭水化物を発酵させて有機酸を作る部位は、ウシやヤギやヒツジのような反芻動物では反芻胃で行われ、ウサギは盲腸で、ウマでは大腸です。このように、草食動物は炭水化物をバクテリアで発酵させる「発酵タンク」を持つのが特徴です。 

 

犬は雑食ですが、肉食に近い雑食と言われています。人間も雑食ですが、現代の一般的な食事は炭水化物が半分以上を占めており、草食に近い雑食ということになります。

しかし、人間の消化管の構造は犬や猫に似ており、肉食動物の特徴を備えています。つまり、人間は草食動物に必要な発酵タンクを持っていないという意味において肉食が基本だと言われています。

また、人間はアミノ酸からミトコンドリアでエネルギーを産生する代謝系や、アミノ酸から肝臓でブドウ糖を合成する代謝系も発達しています。つまり、タンパク質を分解してエネルギー産生と物質合成を行う代謝系が肉食動物と同じように発達しています。



【人類は氷河期に入って肉食になった】

 オランウータンやゴリラやチンパンジーのような類人猿から初期人類(猿人)にいたる1000万年以上の年月において、私たち祖先はアフリカの森林に生息し、主に植物性の食糧を食べていました。

約400万年〜200万年前に生存したアウストラロピテクス (Australopithecus)は二足歩行を行うようになり、密林からより開けた草原で住むようになります。アフリカ東部や南部のサバンナ(乾期と雨期のある熱帯に分布する疎林と灌木を交えた熱帯長草草原地帯)の環境に適応し、歯が発達して硬い殻をもつ大きな種子や地下の根なども食べるようになります。植物性食物を中心にして、さらに小動物の狩猟や、動物の死肉や肉食獣の食べ残しから動物質性食糧を得るようになりました。

 

ホモ属(Homo)が現れたのは今から250万年〜200万年前です。ホモ属は現代の人類(ホモ・サピエンス)と同じ属です。この頃から人類は石器を道具として利用し、狩猟や肉食獣の食べ残しから動物性の食糧が増えてきます。さらに、160万年前くらいから人類は火を使うようになり、食物を火で加熱することによって、栄養の吸収が良くなります。

 

人類が狩猟を開始する直接のきっかけは250万年前くらいから起こってきた気候や環境の変化です。このころから氷河期に移行し、地球上の気温が低下していき、アフリカのジャングルは縮小し、草原やサバンナに変化していきます。

氷期の間は地球全体が乾燥し、降雨量が少なくなると大きな樹木は育たなくなり、草原が増えてきます。そこに草食動物が増え、草食動物を獲物とする大型の肉食動物が棲息するようになります。

人類はそのような獣を狩猟によって食糧にしてきました。動物以外にも、漁によって魚介類も多く摂取しています。間氷期になって気候が暖かくなって樹木が成長すると木の実や果物なども増えますが、基本的には動物性の食糧が半分以上を占めていたようです。

氷河期というのは地球の気候が長期にわたって寒冷化する期間で、北アメリカやヨーロッパ大陸に氷床が拡大し、アジアやアフリカも気温が低下して涼しくなり、熱帯性の密林は縮小していきます。氷河期は数万年続いて再び温かい気候に戻ります。氷期と氷期の間を間氷期と呼びます。

約250万年以降、4万年から10万年の周期で氷期と間氷期を繰り返しています。最後の氷期が終わったのが約1万年前で現在は間氷期にあたります。

現代人類の祖先であるホモ・サピエンスは約14万年前にアフリカにいた小集団で、約10万年前にアフリカを出て、世界に分布を広げていきました。

 

食糧の調達を狩猟採集に頼っていた人類は、約1万年前に牧畜と農業を発明しました。牧畜が始まったのは紀元前1万1000年頃のメソポタミア(ティグリス川とユーフラテス川の間の平野で、現在のイラクの一部にあたる)で、ブタやヒツジの飼育が始まったとされています。紀元前9500年頃に農業が始まり、人類は安定した食糧供給を実現した結果、人口が急速に増加し始めました。



【肉食になってインスリン抵抗性を獲得した】

インスリンは様々な作用を持っていますが、最も重要な作用は血糖を下げることです。この血糖降下作用においてインスリンの標的になる組織が骨格筋と脂肪組織と肝臓です。

グルコースは細胞膜にあるグルコース・トランスポーター(グルコース輸送担体)を使って細胞膜を通過します。グルコース・トランスポーターには幾つかの種類があり、組織の違いなどによって種類の異なるトランスポーターが使われます。脂肪細胞と筋肉細胞(骨格筋と心筋)ではインスリン感受性のグルコース・トランスポーター4(GLUT4)が使われます。

GLUT4は細胞内に貯蔵されていて、インスリンが細胞に作用するとGLUT4が細胞膜上へと浮上してグルコースを取り込みます。つまり、インスリン依存性のグルコース・トランスポーターで、血糖が高くなると膵臓からインスリンが分泌され、骨格筋と脂肪組織のGLUT4が細胞膜に輸送されてグルコースの取込みが増えるという仕組みです。

 

肝臓ではアミノ酸やグリセオールや乳酸などからグルコースを合成できます。これを糖新生と言います。インスリンはこの糖新生を抑制する作用があります。つまりインスリンは、骨格筋と脂肪組織でのグルコースの取込みを増やし、肝臓での糖新生を抑制することによって血糖を下げる作用をしめすのです。肝臓でのインスリンの働きを弱めることは糖新生を増やすことになります。

 さて、進化の系統樹でオランウータンと分岐する1300万年以上前から初期人類の時期を含めて、現生人類の祖先は長く森林に生息し糖質が主体の食事を行っていました。そのため、エネルギー産生も脳の働きもグルコースを中心とした代謝系に依存してきました。それが氷河期に入って糖質摂取が減少したことに適応するために人類はインスリン抵抗性の体質を獲得するようになったのです。

脳はエネルギー消費量が多く、安静時で全身が消費するエネルギーの20%以上が脳で消費されます。脳組織でのグルコースの取込みはインスリンの作用が不要なGLUT3で行われます。糖質摂取が少ない状況でインスリンが作用して血糖が骨格筋と脂肪細胞に多く取込まれると脳へ行くグルコースの量が減ります。

脳へのグルコースを確保するため、骨格筋と脂肪細胞でのグルコースの取込みを制限するためにインスリン抵抗性が高い方が生存に有利に働くということです。

 

また、胎児は大きく生まれる方が出生後の生存に有利です。したがって、妊娠時はより多くのグルコースを胎児に送るためにもインスリン抵抗性は有利になります。

妊娠中は血糖が上がりやすく、妊婦は糖尿病になりやすいことは医学の常識です。妊娠週数が進むにつれて進み、より血糖値が上がりやすくなります。これは胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリン抵抗性が強くなるためです。このように妊娠中にインスリン抵抗性が強くなるのは胎児にブドウ糖を供給するための生理的な現象です。旧石器時代の低糖質の食事に適応するための名残りとも言えます。


インスリンは食事から吸収されたグルコースを血中から早く消失させる作用がありますが、食事からの糖質摂取量が少ない状況では、血中からグルコースが早く無くなると脳の働きや胎児の発育に支障をきたすのです。少ない血糖を脳や胎児に多く確保するためにインスリン抵抗性の性質を持つ方が生存に有利になるというわけです。

氷河期に糖質を多く含む植物性食物の入手が困難になったために、人類はインスリン抵抗性を獲得したという仮説は「肉食関連仮説(Carnivor Connection Hypothesis)」と呼ばれ、オーストラリアのブランド・ミラー(Jennie Brand-Miller)博士らが1994年に提唱した仮説です。このように、糖質の摂取量が減少したことに適応するため、人類はインスリン抵抗性を獲得したと考えられています。(下図) 

図:血糖が上昇するとインスリンが分泌される(①)。インスリンは標的組織の筋肉細胞と脂肪細胞のグルコーストランスポーター4(GLUT4)の細胞膜輸送を促進して、筋肉細胞と脂肪細胞へのグルコースの取込みを亢進する(②)。さらに、肝細胞に対してはインスリンは糖新生を抑制する(③)。この作用によって食事から摂取したグルコースは血中から速やかに減少する(④)。脳や胎児のグルコーストランスポーターはインスリン非依存性であり発現量はインスリンによって増えない(⑤)。そのため、低糖質食になってグルコースの摂取量が減ると、脳の働きや胎児の発育が低下する。低糖質食でも脳や胎児に十分なグルコースを供給するため(⑥)、筋肉細胞や脂肪細胞や肝細胞でのインスリンの働きを低下させて血糖低下を阻止し(⑦)、血糖を維持するためにインスリン抵抗性が進化した(⑧)。つまり、人類が肉食中心で低糖質食を行っているときにインスリン抵抗性が進化した。



【農耕が始まって高糖質食に適応するように進化している】

 初期人類における数百万年に及ぶ糖質主体の食事から肉食中心の食事への移行は数十万年の時間をかけて徐々に起こったため、その変化に適応するように遺伝的に代謝系が変化する時間は十分にありました。
 
低糖質の食事でも脳のエネルギー源を十分に確保するために骨格筋と脂肪組織におけるインスリン抵抗性を高め、獲物が取れない期間のために基礎代謝量を低下させたり、食事で余ったエネルギーを脂肪に貯蔵するための遺伝子(いわゆる倹約遺伝子)の働きを高めるように進化しました。
 
そして低糖質の食事に完全に適応していた時に、最後の氷期が終わった約1万年前に農耕が始まり、穀物からの糖質摂取が増えました。農耕が始まる前の狩猟採集時代の人類の糖質の摂取量は1日に10から125グラム程度と言われています。糖質を含む植物性食料は温かくなる間氷期には増えますが氷期には減少します。現代人は1日に250から400グラムの糖質を摂取するようになっています。 

糖質摂取が増えてから、人類は高糖質食に適応するように遺伝的に進化してきたと考えられます。穀物の栽培は約1万2千年前に中東地域(ティグリス川とユーフラテス川で挟まれた地域)において始まり、すぐにヨーロッパに広がりました。すなわちヨーロッパに住む人間は穀物の多い食事に変わってから1万年くらいが経過しています。
 
一方、日本において農耕が本格的に行われるようになったのは稲作が伝来した弥生時代に入ってからで、今から3000年から3500年くらい前と言われています。
 
日本人はインスリンの分泌能が欧米人に比べて半分程度と言われています。インスリンは血糖を下げる作用と肥満を促進する作用があります。インスリンの分泌能が高い欧米人は糖質摂取によって肥満になりやすい体質を持っていますが、糖尿病は発症しにくい体質です。欧米人は著明な肥満にならないと糖尿病は発症しません。
 
一方、インスリン分泌能の低い日本人は、高糖質食でも肥満になりにくい代わりに糖尿病になりやすい体質を持っています。実際に、日本人は欧米人に比べると肥満は非常に少ないのですが、糖質摂取量が増えて糖尿病が増えています。

このような欧米人と日本人のインスリン分泌能の違いは、食事に糖質が増えてからの時間の長さが関連しています。糖質摂取が増えてインスリンの産生とインスリン感受性を高めるように人類は進化している途中にあり、糖質摂取が増えてからの期間の長さによって適応の度合いが違うということです。

人類が肉食主体だった期間は約250万年です。1世代を25年とすると約10万世代になります。農耕が始まって約1万年というのは約400世代です。産業革命によって精製した糖質が増えるようになってから200年くらい経過していますが、せいぜい6〜8世代程度です。糖質摂取が増えて、少しづつ人間も適応するために進化したと思われますが、肉食中心の期間に比べて1%以下の期間しかないので、高糖質食には十分に適応できていないと言えます。特に近年のような単純糖質の多くグリセミック指数の高い食事には人間は適応する十分な時間を経ていないということです。



【精製した糖質の摂取に現代人は適応できていない】

 農耕が始まって穀物からの糖質の摂取量が増えても、健康上の問題は現れなかったと思われます。それは、この頃に摂取していた糖質は食物繊維が豊富で吸収が遅かったからです。
 
食品がどれほど血糖値を上げやすいかを示す指標としてグリセミック指数が使われます。食品中に含まれる炭水化物が消化されてグルコース(ブドウ糖)に変化する速さを、グルコースを摂取した場合を100として相対値で表します。糖質として同じ量を摂取しても、素材が異なると血糖値への影響は異なるという考えに基づいた指数です。
 
グリセミック指数の高い食品はインスリンの分泌を刺激する作用が高い食品です。精白していない穀物は食物繊維が豊富で消化管での消化や吸収がゆっくりなので血糖を急激に上げることもないのでインスリンの分泌を抑えることができます。インスリン分泌の負荷が少なければ、肥満や糖尿病のリスクは上がりません。

 

問題は、産業革命以降の急速な工業化と、近代における精製した単純糖質の摂取が増えたことです。単純糖質は殆ど糖質で出来上がっている食品で、代表は砂糖です。穀類は糖質が主体ですが、タンパク質や脂質や食物繊維も含まれます。穀類を精製して糖質だけにした食品や、砂糖や異性化糖(でんぷんを酵素などで処理して作ったグルコースとフルクトースの混在した糖)は近代に入るまで人類の食事には無かった食品です。この単純糖質の摂取に対して人間は遺伝的にほとんど無防備な状態です。

 

産業革命は機械や動力の発明によって18世紀末から英国を中心に起こりました。機械化や燃料の進歩によって農業の生産性が飛躍的に向上し、貯蔵技術の進歩と相まって、それ以前は起こりえた飢饉(天候異変などで、農作物の収穫が少なく、食糧が欠乏すること)は先進国では起こらなくなりました。

穀物は機械による脱穀によって高度に精製され、砂糖の消費や摂取カロリーが増えています。食品中からビタミンやミネラルのような微量栄養素は減少し、食物繊維の摂取は極端に減少しています。さらに、機械化された生活と交通機関の発達と自動車の普及によって体を動かす量が減っています。
 
精製した糖質の摂取と運動量の減少が肥満や糖尿病やメタボリック症候群など多くの病気を引き起こしているのは明らかです。このような食事と生活環境の変化が急激に起こったために、人類は適応できていないのが原因となっています。

体がみるみる若返るミトコンドリア活性化術 記事まとめ

『健康になりたければ糖質をやめなさい! ―糖質を減らせば、病気も肥満も遠ざかる』


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