映画『リスペクト』を見て感じた、ギンザレコードを通じてできること。


先日アレサの伝記映画ジェニファーハドソン主演の「リスペクト」を見ました。とても丁寧に作られてて、ストーリーが腑に落ちる内容で、大満足の映画でした。

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中でもマスルショールズでのレコーディングシーンは、当時あの場所にいたミュージシャン、スタッフの気持ちが伝わってくる気がしました。

圧倒的な歌唱力で周囲を巻き込んで行く姿はマジックそのもの。ミュージックの語源がマジックと一緒というのはこういうところからも想像できます。
アレサの声を聴いた瞬間、きっとあの場の人達は、何かの違いに気が付き、びっくりして、頭からつま先まで衝撃が走ったと思うんです。

優れたリーダーは現場をまとめるのがうまい。これは組織論と一緒です。
音楽の場合、それは圧倒的な才能なんだろうなと思います。この才能そのものが競争力の源泉で、当時は過度なマーケティングを必要としない時代だったと思います。
ビートルズやマイルスが今も人気なのは、他と比べ物にならないくらい圧倒的だからです。

それぞれの役割を担ったスタッフが、自分の仕事人生の中で一番の仕事をしようと感じ、情熱を注いだもの。
ミュージシャンやエンジニア以外の人達、スタジオを掃除する人やコーヒーを入れる人とか(いたかどうかわかりませんが)
そういう人たちもただならぬ空気を感じながら、何度もレビューされる曲を鼻歌混じりにせっせと仕事をしたと思うんです。
これから世に出ていく素晴らしい楽曲がどのように広がっていくか期待をして。
いざひとたびリリースされれば、それを受け取ったメディアの人たちも、こういうものをリスナーに届けたいと願ったんだろうなと想像します。

人が沢山関わり、良い音楽を作る時代は90年代半ばに消滅していきます。PCで音楽が作れる環境が整い、次第に移行していく中で
省力化が進んだためです。音楽業界におけるパラダイムシフトが起きました。
音楽も手軽になり、作ることも、聴くことも昔ほどコストがかからない時代に突入します。

コスト削減や省力化は決して文化のためにならない。無駄だと感じていることは無駄ではないと最近思っています。
むしろ大切にしなければならないのではないか。質素なあつらえものより豪奢な作品のほうがやっぱり聴き心地がいい。
この「耳の心地よさ」を音楽ファンには体験してもらいたいです。

でも、好きになったアーティストを通じて、そのアーティストの源流に近づきたいと渇望するリスナーの気持ちは今も昔も変わらない。そういう音楽ファンがいることはお店を通じて、今感じています。

僕がギンザレコードを通じてできることは、音楽を純粋に愛するお客様に「聴き心地」を通じて「音楽がどのようにして作られたのか」
その発見を促すことだと思っています。自分の好きな音楽をより深く理解することができた時、音楽はその人にとってかけがえのないものになるはずです。ギンザレコードではきっと今まで知らなかった音楽の楽しさを味わっていただけると思います。


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