見出し画像

不倫裁判百選78【番外編】どうして不倫・離婚・男女問題の弁護を続けるか

0 はじめに

私は、自他ともに認めてよいはず不倫・離婚・男女問題を多く扱っています。正直、365日、この手の話に触れない日はありません。他の分野は専門外ですか?と問われることもありますが、そういうわけでもありません。

弁護する件数がダントツで多いのは不倫・離婚・男女問題です。私はどんな弁護士なのか?

1 弁護士以前

司法試験の勉強をしているとき、あろうことか私は、弁護士が具体的にどんな仕事をしているのか、知りませんでした。法律の勉強をするのはとても楽しく、朝は5時に起き、6時30分に大学に行き、22時前後に帰宅する生活を続けていました。四六時中理屈を考えていた。下北沢の街を歩いていても、渋谷でも、です。抽象的に、この場合はこうなる、この場合はどう判断される、なることを知り、考えることに喜びを感じていました。はっきり言って自己満です。

ちなみにこの時レッドブルを一日20本は飲んでいた。

2 弁護士直前

司法試験に合格すると、司法修習なる、研修医のような期間があります。漠然と、また大学に戻って思う存分勉強しようと思っていた私は、裁判官のもとで勉強をしても、検察官のもとで取り調べをしても、弁護士事務所で実務を見ていても、ある意味ぼーっとしていました。

弁護士事務所で依頼者の方と話をすると、いろんな悩みがあって、自分に話をしてくれる目の前の人の表情に、自分なんかでいいのだろうか?と不思議に感じたことさえありました。漠然と、抽象的に議論をしていた法律の規定を使いこなしている実感が少しだけ、ありました。

ちなみにこの時、コーラに牛乳を混ぜることにはまっていました(伊坂幸太郎の小説にも出てくる)。

3 一応弁護士

ある時、司法修習を終えました。明日から弁護士です。仕事は当初、全くありませんでした。当然です。私になにができて、何ができないのか、私は誰なのか知りません。私自身も、わかっていない。そんな私に、相談がありました。今すぐ会いたい、と言われ、依頼者に会いました。

不倫をした。被害者から脅迫の電話が鳴りやまない。旦那が来週長期出張から帰ってくる前にどうしても解決したい。

ここで、民法だと慰謝料請求をするには故意過失が必要で・・と、弁護士前に好き好んでこしらえた理論を説明しても何の意味もない。そんなのは、目の前の依頼者をみれば明らかです。どうして私に会いたいといってくれたのか?不思議でも、そんなことを考える暇もありません。その日のうちに方針を設計し、次の日に、被害者と会うことになりました。弁護士直前に書いたような漠然とした気持ちは、この時点ではもう皆無でした。「なんとかしたい。」それだけです。

その時、レッドブルを飲む時間が無くなりました。

4 弁護士になったとき

加害者と話をし、その日のうちに、合意書を締結できました。初仕事で内心はそれなりにびくついていたけれど、その日のうちに終了できました。今後の接触は禁止できている。昨日の依頼者の要求に添えています。この時点でもまだ私は(資格はあるけど)弁護士ではありませんでした。

その日のうちに依頼者にまた会い、合意書をわたし、事件を集結しました。その時に、依頼者にいただいた言葉によって弁護士になりました。

どうしてわたしだったのでしょうか?
あなたを見た瞬間直感しました。私のためになってくれるはずだと。

言葉にならない気持ちを感じたのと同時に、私は、弁護士になれた気がしました。資格を手にして、2週間程度かかっていました。

いまもこの分野を扱い続けるのは、この時の経験があったからだとか、この時の成功体験が突き動かしているのだとか、理由は今でも見つかりません。

ただ、この分野の問題は、どんな優秀な方でも、どんな聡明な方でも、自分自身を見失うことがある。冷静でいられないことがある。殻にとじこもり、人比較して、自己満に過ぎない勉強をしていた私の知識が、ともすると、世のため人のためになる可能性を感じ、人と比較などして意味のない時間は存在しない、ある意味で生きる価値?を感じた瞬間であったのかもしれません。今日もラインでメールで電話で対面で、話を聞き続けているのだろうと思います。

日本の法律が適用されている人に共通するルール=マクロなルールを自己満的に身に着けた私が、目の前の依頼者・相談者のために自分にできること必死にやる、ミクロに動く弁護士になれた。

積極的に専門・専門外を位置付けていないのはなぜか、それは依頼者のために必要とされることを、マクロな視点で考える、そしてミクロな部分で還元していきたいからなのだろう‥と自己分析をしつつ、自己満的な散文を終えます。人の琴線に触れることができる、この分野不貞・離婚・男女問題の弁護をこれからも続けていくつもり。

画像1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?